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JRA「逃げ職人」が大物狩りへ爪を研ぐ!? 武豊とサイレンススズカも逃げ切った中山記念(G2)で「大逃げ」宣言は新たなる伝説の前触れとなるか

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「大逃げ」

 それは「スタート直後から通常の逃げの作戦よりもさらに大きく後続を引き離して、そのまま最後まで逃げきろうとすること」(『ウマ娘 プリティーダービー』より引用)

 かつては「稀代の逃亡者」サイレンススズカをはじめ、メジロパーマーやツインターボなど、多くの逃げ馬たちが「大逃げ」の手を打ち、競馬史において数々の伝説を残した。その大胆な戦法は、レースの盛り上げ役としても一役買い、競馬ファンの記憶に深く刻まれている。

 27日、中山競馬場で行われる中山記念(G2)は、過去にサイレンススズカやローエングリンなどの逃げ馬が、その類稀なスピードを武器に逃げ切り勝ちを収めた舞台でもある。

 今年は、近走で脚質を「逃げ」それも「大逃げ」に転じて覚醒を遂げたパンサラッサ(牡5、栗東・矢作芳人厩舎)が出走を予定している。

 同馬の持ち味は、何と言ってもスピードだ。前走の有馬記念(G1)は大幅な距離延長と一線級が相手の影響か大敗を喫したが、近走の中距離戦で魅せたパフォーマンスは圧巻と言える内容だった。

 そのスピードの片鱗を見たのが、3走前のオクトーバーS(L)だ。

 最後の直線が長く逃げ切ることが難しいとされる東京・芝2000mで、序盤から後続を大きく引き離す「大逃げ」の手に打って出たのだ。レース後に「とりあえず出して行くようにと調教師から言われていました」と作戦だったことを明かした鞍上の吉田豊騎手は、陣営の指示通り軽快に飛ばし、最後は2着馬に詰め寄られたものの、何とかしのぎ切り勝利した。

 さらに、その次走福島記念(G3)では、同馬の神髄を見ることになる。

 前半1000m通過57秒3の超ハイペースで飛ばし、直線では誰もがバテると疑わなかったが、最後まで脚色は衰えず。2着に4馬身差をつけ後続を完封したのだ。これには多くの競馬ファンが驚嘆し、ネット上では「令和のツインターボ」などと囁かれ話題をさらった。

 そして今回は、2走前から鞍上を務めていた菱田裕二騎手から吉田豊騎手へ乗り替わる事も見逃せない点だ。

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吉田豊騎手

「吉田豊騎手は、3走前にテン乗りでパンサラッサを覚醒させた本人でもありますが、実は隠れた『逃げ職人』でもあるんです。あまり有名ではありませんが過去には、サイレントハンターをはじめ、メジロマントル、ミヤビランベリ、ケイアイドウソジン、ケイアイエレガントなど、人気に関係なく重賞でも多くの逃げ切り勝ちを決めています。

また矢作厩舎とあまり縁がなさそうなイメージがありますが、過去にこのコンビで重賞勝ちも。今回は、管理する矢作師がマルシュロレーヌのサウジC(G1)への遠征に付き添うため、師不在でのレースになりますが、陣営は『小細工せずに飛ばして行く競馬をしてくれれば』と早くも大逃げ宣言をしています。吉田豊騎手もやる事は1つでしょうね」(競馬誌ライター)

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ダノンザキッド 撮影:Ruriko.I

 断然の1番人気となりそうなダノンザキッドは、近2走はマイル戦へシフトして好走しているが、いずれもマイル戦らしからぬスローペースだった。パンサラッサが展開するようなハイペースは過去に経験がないだけに、レース中に戸惑う可能性も十分にある。

 昨年の中山記念では7着に敗れているパンサラッサだが、当時は中団でレースを進めていた事もあって、度外視していいだろう。今年は戦法が異なる上、前走からの距離短縮や先行馬有利な中山開催の開幕週という事も大きなプラス材料となりそうだ。

 メンバー唯一のG1馬ダノンザキッドを封じ、競馬史に新たなる「大逃げ」伝説を刻めるか。レースのスタート直後から、目が離せない一戦となりそうだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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