JRA【桜花賞(G1)予想】ナミュール×横山武史は人馬ともに「買い要素ナシ」で切り! 前走も実績の割に人気しなかった「アノ」馬の激走に期待!
今回は牝馬クラシック第一弾、桜花賞(G1)を予想していく。
まずは過去10年馬券に絡んだ30頭の前走データを見ていくことにしよう。
チューリップ賞 18頭
阪神JF、フィリーズレビュー 各3頭
クイーンC 2頭
フェアリーS、シンザン記念、朝日杯FS、エルフィンS(L) 各1頭
となっている。他のローテーションを圧倒するチューリップ賞(G2)経由の臨戦。ただし、G2格上げ後の2018年以降で見るとチューリップ賞経由で勝ち馬は出ていない。この4年で3冠牝馬が2頭出ているが、どちらもチューリップ賞を経由せずここを勝っているほか、マイル女王グランアレグリアもチューリップ賞は経由していない。
続いて人気順の成績を見てみる。
1番人気 1-3-1-5
2番人気 5-3-0-2
3番人気 1-1-3-5
4~6番人気 1-1-2-26
7~9番人気 2-2-3-23
10番人気以下 0-0-1-87
1番人気と3番人気が信用できない数字だ。半分は馬券に絡んでいるものの、勝ち馬はそれぞれ1頭しか出ていない。注目は7~9番人気。率でも上位人気の近似値であるだけでなく、7頭が馬券に絡んでいる好成績。近5年に絞ってみてもアーモンドアイが勝った18年こそ上位人気で堅く決まったが、それ以外の年はこの7~9番人気の馬が必ず絡んでいたことに注意したい。
これらを踏まえて「◎」は人気の一角だが16番サークルオブライフを推す。
前走はチューリップ賞。4番手から前でよく粘ったが内外で交わされ3着に敗れた。2歳女王の春初戦ということで人気になったが、これまでとは異なり前目での競馬を試みて3着に粘った、という見方ができる。それまでは後方からの競馬で切れる脚を活かして勝ち星を挙げてきたわけだが、そういう意味で負けてなお強しという印象だった。
当然のことではあるが、目標は前走ではなくここ。メイチの仕上げで臨むわけもなく、叩き1走からの本番で良化は疑いようがない。陣営も状態上向きのコメントを出しているほか、やはり前走は収穫があったとしており、展開にこだわらない競馬ができることが証明されただけに、人気になっても押さえは必要な1頭だろう。
さらに後押しするデータとして、近5年で国枝栄厩舎は1勝2着1回としっかり結果を残していることが挙げられる。片やアーモンドアイで、もう一頭もサトノレイナスと実力馬で残した成績だが、サークルオブライフはこの2頭に見劣らない実績の持ち主。関東馬不利の中、国枝厩舎のこの成績は無視できない。
「○」は11番ラブリイユアアイズとする。
前走は阪神JF(G1)。前で粘るウォーターナビレラをゴール前交わせたが、その前にいたサークルオブライフを捉えきれずの2着だった。
阪神JFの2着からの転戦は昨年2着のサトノレイナスと同じパターン。しかし、実績で言うなら新馬、オープンと2戦だけだったサトノレイナスに比べて、こちらは京王杯2歳S(G2)3着という重賞実績があった。阪神JFでも人気がなかったように、なぜか実力を低く見積もられている感がある。
チューリップ賞組に注目が集まるのは致し方ないところではあるが、G1からの直行組を侮ると痛い目に遭うもの。陣営も減り続けていた馬体の回復に努めた関係で直行にしたとのコメントを出しているが、調整は順調なようだ。
紛れのあった2着でないことはレース内容が証明している。加えて、あまりにも評価が低いので馬券妙味も十分。ここは押さえない手はない。
「▲」は7番のサブライムアンセムを挙げる。
前走はフィリーズレビュー(G2)。出遅れて後方待機の競馬になったが、直線よく伸びて上がり最速の脚でまとめて交わして勝利した。
2歳夏にデビューするも、勝ち上がったのは今年2月の中京。実に6戦を要しており、勝ち味に遅い馬だったのだが、未勝利を勝ち上がってすぐに重賞挑戦し、難なく勝ってしまうあたりは並みでない。
前走から1ハロン距離は延びるが、勝ち上がった未勝利戦がマイル戦で、その前3走がいずれも1400m戦で2着という結果だった。距離適性そのものはマイル以上と見ている。
陣営は前走の勝利を「鞍上の好騎乗によるもの」として、状態や展開に注文があるようなコメントを出しているが、それだけではないと考えている。それは勝ちタイムだ。重賞とはいえ、この時期の3歳牝馬の1400m戦で1:19.9の走破タイムは出色のもの。時計勝負になっても十分立ち回れる実力の持ち主だろう。
強いて言えば、未勝利戦の勝ち上がりに時間を要した関係で、デビュー以来使い詰めでここまで来ていることが不安材料か。だが、2戦目にマイナス10kgを記録して以降、大きな馬体重の変化はなく、今回もJRA発表の調教後馬体重に大きな変化はなかったので、ダメージがないものと判断して印を打った。
「△」は3番アルーリングウェイ、6番ウォーターナビレラ、14番プレサージュリフトの3頭とする。
アルーリングウェイは前走エルフィンS(L)。終始番手に付ける競馬で、直線の叩き合いを制して勝利した。
エルフィンSからの転戦は、一昨年の3冠牝馬デアリングタクトと同じローテーション。走破タイムは多少見劣るが、1:34.0なら及第点と言えるだろう。
1200m戦でデビューし、1400m、マイルと距離を1ハロンずつ延ばしてしっかり結果を残してきたのは注目してもいいポイント。特に2走前の万両賞(1勝クラス)は、後にシンザン記念(G3)を勝ったマテンロウオリオンとタイム差なしの2着に入っているあたり、重賞未経験ではあるが重賞級の器であることは確実。実績馬が他に多数いる関係で人気していないが、だからこそ狙いたい1頭だ。
ウォーターナビレラは前走チューリップ賞。前目で競馬していたが、直線でもうひと粘りが利かず5着に敗れている。
この馬も重賞ウィナーであり、G1で3着と実績ではメンバー中でも上位。前走はやはり次が目標だからこその一叩きと見るのが正解だろう。陣営からもデキの良さをアピールするコメントが出ており、人気するのは確実だが無碍には切れない。
プレサージュリフトは前走クイーンC(G3)。先行馬有利の緩いペースの中、後方からゴール前届いて勝利を挙げている。
昨年秋の新馬戦を勝ってから3カ月半の休養明けで、馬体重もプラス12kgと大幅増になっていたにも関わらず、見事なパフォーマンスを見せた。陣営からはこの中間、調整に苦労しているような様子が伝わってきているが、折り合いなどもさほど気にせず立ち回れる外枠を引いたことで、実力通りの走りはできるだろう。この馬もそれなりに人気しそうだが、押さえる価値はある。
人気どころでは18番ナミュールが切り。
前走はチューリップ賞で、中団からレースを進め直線では外から豪快に差し切って勝利している。この勝ち方が鮮やかだったが故に「本来の実力を発揮」として人気しているところがあるのだが、大きな懸念点が3つある。
ひとつはチューリップ賞の勝ち馬が本番に直結していないこと。上で見た通り、ローテーションでは圧倒的にチューリップ賞組が優勢ではあるのだが、16年ジュエラーまで遡らないとチューリップ賞からの桜花賞制覇がない。さらにチューリップ賞と本番を連勝となると14年ハープスター以来前例がない。
2つ目は馬体重の問題。本サイトのこの記事に詳しいが、過去10年本番の馬体重が450kg以下の馬は勝っていない。ナミュールは直近の調教後馬体重でも430kgと大幅に下回っている。このデータがあったためにラブリイユアアイズは「◎」ではなく印をひとつ落として「○」としたのだ。2着、3着には小柄な馬が入っているデータが残っているので、勝ちはないが、馬券に絡む可能性はある、というわけだ。
さらに、鞍上の横山武史騎手に不安が残る。高松宮記念(G1)で1番人気レシステンシアを、先週の大阪杯(G1)では圧倒的1番人気のエフフォーリアをそれぞれ馬券圏外に飛ばしている。どちらもキャロットファームの所有馬で、ナミュールもまたその1頭だ。
海外遠征で派手なパフォーマンスを見せてすっかり国内の成績を忘れ去られているが、C.ルメール騎手が今年重賞未勝利のままである。直近のフラワーC(G3)では人気薄の馬で負けているので言い訳もできるが、その前のスプリングS(G2)は2番人気の馬を人気通り2着にしか持って来られていない。
こういう流れはそう簡単に断ち切れるものではない。さらに言えば、横山武騎手は今年19鞍の重賞に騎乗するもまだ1勝しかしていない。その1勝がナミュールの勝ったチューリップ賞で、19戦のうち7頭は人気薄ではあったが、残りはすべて1番人気か3番人気。それでいて馬券に絡んだのは半分以下の7戦という体たらく。印象以上に勝てていないのだ。
というところから考えても、また馬そのものの実績もチューリップ賞こそ勝っているが、これは阪神JFで賞金加算ができなかったため、前走でかなり仕上げた可能性がある。だからこそサークルオブライフやウォーターナビレラが敗れたとも言え、人気しすぎと考えて当然だろう。
馬体重の問題は2着、3着までならある、として押さえることもできなくはないが、横山武騎手は一分の隙もないような大本命馬をG1で2頭飛ばしたことを考えたら押さえるのに不安が残る。ということで、ここは切りが賢明だろう。
ということで、今回は3番、6番、7番、11番、14番、16番の6頭で3連複BOX20点勝負としたい。
人気しそうな馬が多いのだが、実績通りに評価されていないラブリイユアアイズやアルーリングウェイあたりが激走すると好配当に期待がかかる。
(文=トーラス神田)
<著者プロフィール>
オグリ引退の有馬記念をリアルタイムで見ている30年来の競馬好き。ウマ娘キャラがドンピシャの世代。競馬にロマンを求め、良血馬にとことん目がない。おかげで過去散々な目に遭っている。そのくせ馬券は完全データ派。座右の銘は「トリガミでも勝ちは勝ち」。
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