JRA武豊でも福永祐一でもない「桜花賞男」を侮ると痛い目に!? 勝った年は13番人気、8番人気…荒れるレースならこの男の出番
4月に突入し、いよいよ始まる春のクラシック。今週末の10日には阪神競馬場で桜花賞(G1)が行われる。
桜花賞といえば、真っ先に思い浮かぶのが天才・武豊騎手の存在だろう。1989年にシャダイカグラで初勝利を挙げて以降、現在まで現役最多の通算5勝を誇る好成績を残しており、競馬ファンの間で「桜花賞男」と呼ばれる。
また、福永祐一騎手も桜花賞を得意とする騎手として知られている。通算勝利数は2勝で武豊騎手には及ばないものの、「牝馬の福永」という異名もあるように、昨年の8番人気ファインルージュをはじめ、人気薄でも度々3着以内に食い込む好騎乗を見せている。
そんな桜花賞と好相性の名手二人ではあるが、ともに最後に勝利したのは15年以上も前の話で、近年は良くても馬券圏内止まりとなっている。さらに、二人がこのレースを得意としていることも競馬ファンの間では認知されており、馬券的妙味も徐々に薄くなってきている。
一方、実はこの桜花賞で驚きの勝負強さをみせているのが池添謙一騎手だ。過去、同レースで10回以上の騎乗経験がある騎手だけに限ると、意外にも武豊騎手に次ぐ2番目の好成績を残している。
通算勝利数は福永騎手と同じく2勝だが、同騎手が勝利した1999年のプリモディーネや2005年のラインクラフトが上位人気だったのに対し、池添騎手は2002年に自身初のG1制覇となったアローキャリーが13番人気、さらに2017年に制したレーヌミノルも8番人気の大穴で金星を挙げた。
他にも、2003年のシーイズトウショウ(13番人気、2着)や2015年のクルミナル(7番人気、2着)など、人気薄での激走がとにかく目立つ。回収率を見れば一目瞭然で、単勝回収率523%、複勝回収率202%と破格の数字だ。比較的人気になりやすい武豊騎手や福永騎手を狙うよりも、馬券的妙味はこちらの方が高いといえる。
そんな池添騎手は、10日に行われる桜花賞にラズベリームース(牝3、美浦・林徹厩舎)との初コンビで出走を予定している。
同馬は初勝利まで3戦を要したが、昨年10月の勝ち上がり時には、先月のフラワーC(G3)で2着に好走したニシノラブウインクを相手に2馬身半差をつけて完勝。さらに、前走のアネモネS(L)では、5か月ぶりの休み明けに加えプラス16キロの馬体増だったにもかかわらず、2着と好走し見事な一発回答で桜の切符を掴んだ。
6日に行われた最終追い切りには、美浦坂路で4ハロン55秒3-12秒4をマーク。時計のかかる馬場でも、1馬身半先行するウィンダミア(3歳1勝クラス)に1馬身先着した。
2010年の秋華賞(G1)で4着した母ワイルドラズベリーの背中も知る池添騎手は「動き的には十分合格点。お母さんは一瞬の切れがある馬だったけど、こっちは長くいい脚が使える。阪神外回りはベストの条件」(日刊スポーツ)と自信を覗かせた。
大穴を開けた桜花賞での過去2勝は、共に「人気薄」+「初騎乗」という条件だった池添騎手。今回まさに初騎乗となるラズベリームースは、7日現在『netkeiba.com』の予想オッズで単勝105.1倍の16番人気と低評価で、当日も人気薄必至だ。
昨年は7番人気ソングラインと初コンビで挑むも、道中に致命的な不利を受けて15着に敗れた。不完全燃焼に終わった昨年の鬱憤を晴らすべく、今年も同厩舎の伏兵とのタッグで一発を狙っているだろう。
波乱続きの春G1で、影の「桜花賞男」が再び波乱を巻き起こす使者となるのか。下手に侮ると痛い目に合うかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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