JRA桜花賞(G1)混戦イコール「低レベル」とは限らない!? ナミュール、サークルオブライフがまさかの割引…… 前哨戦で最も評価が高かったのは
今週末の桜花賞(G1)からついに今年のクラシックが幕を開ける。将来の競馬界を背負うニューヒロインの登場に期待したいが、戦前の下馬評ではまだまだどの馬が勝っても不思議ではない混戦ムード。
抜けた馬がいない年は、世代レベルに疑問符がつくことも珍しくはないが、今年の3歳牝馬はどうだろうか。
桜花賞前に開催されたそれぞれの前哨戦から全体的な比較をしてみたい。
まずは、1番人気が予想されるナミュールが優勝したチューリップ賞(G2)から。勝ち時計1分33秒2は、3月阪神の芝1600m条件で最速。過去10年で5頭の桜花賞馬が出ているように、本番と相性のいいレースの存在感を見せた。
ただ、額面上の時計だけで評価するのも危険だ。当時の阪神開催は馬場状態もよく、1勝クラスのレースでも大差のない時計がマークされていた。
特に目を引いたのは、未勝利戦を1分33秒3で勝ったサンクフィーユ。勝ち時計は同日に行われたチューリップ賞と0秒1差でしかない。とはいえ、2着馬のハギノモーリスが3着に降着した前走でサブライムアンセムに先着していたことは触れておく。
次に比較したいのはアネモネS(L)の1分34秒4の勝ち時計。こちらは同日の10R東風S(L)の1分34秒1と0秒差だった。時計的に悪くはなかったものの、当時の中山は全体的に前残りも目立っていただけに、16キロ増の休み明けで2着に追い上げたラズベリームースの方に魅力を感じる。
その他では、クイーンC(G3)を33秒5の鬼脚で差し切ったプレサージュリフト、フェアリーS(G3)を制したライラックもいるが、いずれも2着馬はスターズオンアース。時計面でも特別速くなく、相手が強くなるG1でどこまで通用するかは疑問が残る。
むしろ面白そうなのはエルフィンS(L)を1分34秒0の好時計で快勝したアルーリングウェイか。万両賞(1勝クラス)では、後のシンザン記念馬マテンロウオリオンとクビ差の2着。デビュー戦で阪神コースも経験しており、不気味な1頭だろう。
最後は阪神JF(G1)から直行するラブリイユアアイズ。2着に敗れたとはいえ、ウォーターナビレラやナミュールには先着。実力は確かだけに再度の激走があっても驚けない。
ここまでの比較では、意外にもフィリーズレビューの評価が高くなったが、全体的に見ても各レースはそれなりに見どころのあるレースだったといえる。混戦の年は低レベルのケースも珍しくはないものの、今年の世代レベルはそれなりに高そうな雰囲気がある。
波乱の続く春のG1戦線だが、桜の女王に輝くのはどの馬だろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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