
JRA安藤勝己氏「個人的にタイプやわ」ベタ惚れしたのは意外な馬!? 名手のお気に入りはダノンスコーピオンより「コソッと押さえたい」実力の持ち主

「元々ポテンシャルが高い馬ですから、まともに走ればと思っていました」
16日、阪神競馬場で行われたアーリントンC(G3)を1番人気ダノンスコーピオンで制した川田将雅騎手は、レース後にそう振り返った。調整不足と懸念されていた前走の共同通信杯(G3)では、見せ場なく7着に敗れたが、昨年の朝日杯FS(G1)で3着した実力で、今回は見事な巻き返しを決めた。
フルゲート18頭立ての芝1600mで行われた一戦。スタートを切ると、道中はちょうど中団を追走。前半3ハロン34秒3のミドルペースのなか、馬群のなかでじっくりと脚を溜め、最後の直線へ。直線半ばで進路が開けると、鞍上のGOサインに応えて外から猛然と追い込み、ゴール直前できっちり差し切った。
この結果を受けて、今や競馬界のご意見番ともいえる元JRA騎手の安藤勝己氏がすかさず反応。自身の公式Twitterを通じて、勝ち馬ダノンスコーピオンに対し「マイルがベストやね。気性的なもんか見栄えはせんけど、それでもこれだけ走るんやから」と評価しつつ、「G1で人気になる次走が将来を占いそうな気がする」と本番となるNHKマイルC(G1)が本当の試金石になるとツイートした。
名手が「コソッと押さえたい」実力の持ち主
その一方で、今回惜しくもクビ差の2着に敗れたタイセイディバイン(牡3、栗東・高野友和厩舎)についても言及。こちらには「個人的にタイプやわ」と触れつつ、「短距離なら先々まで走ってきそう。反対に過剰人気はせんタイプやけど、何時もコソッと押さえたい」と高評価を与えた。
同馬は、デビューから中距離を中心に使われていたが、2000mからの一気の距離短縮で臨んだ前走のファルコンS(G3)では、13番人気と低評価ながら2着に激走。ややフロック視された7番人気ながら、G1好走馬相手に2着と実力を証明した格好だ。

レース後には、主戦の松若風馬騎手も「元々素質はありましたし、距離を短縮していい方に出ています」と短距離適性に確かな手応えを感じているコメント。二人の発言からも、もはや実力は本物と見てよさそうだ。
また血統背景をみると、マイルでの好走も頷ける裏付けが隠されていた。
「タイセイディバインの母ダイワスピリットは、ダイワメジャーやダイワスカーレットなどの冠名『ダイワ』とのコンビでG1を幾つも勝利した安藤氏が、現役時にも跨った事のある牝馬です。通算2勝はともに中距離でしたが、デビュー戦は芝1600mで4着、2戦目は芝1400mで2着と短距離でも好走歴がありました。
さらに、伯母にはマイル重賞でも勝利経験のある2004年のオークス馬ダイワエルシエーロや伯父に2005年のアーリントンCや2006年の京都金杯(G3)を勝ったビッグプラネット、そして叔父には2018年の中京記念(G3)をレコードで制したグレーターロンドンなど、近親にはマイル重賞で活躍した馬がズラリと並びます。
父がルーラーシップという血統もあって、デビューから中距離路線を歩んできましたが、前走のファルコンSや今回のアーリントンCでの好走は、近親の短距離適性をみると何ら不思議ではありませんでした。
安藤氏が言うように、好走してもあまり人気にならない地味なタイプですが、仮にNHKマイルCに出走してくるようなら、侮れない存在となるでしょう」(競馬誌ライター)
勝ったダノンスコーピオンも勿論高い素質を感じるが、今後同じマイル戦線で馬券的に美味しいのは、もしかするとタイセイディバインの方かもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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