
JRA矢作芳人「凱旋門賞(G1)制覇」に秘策あり!? エルコンドルパサーが証明、エリシオで勝利したO.ペリエが語った「日本競馬の武器」とは
「フランスの競馬に合わせていては勝てない。日本馬が勝つには逃げ切りですよ」
昨年の米ブリーダーズCを始め、海外の舞台で目覚ましい活躍を見せている矢作芳人調教師。師が『BSイレブン競馬中継』(日本BS放送)のインタビューで、日本競馬の悲願である凱旋門賞(仏G1)を勝つための“秘策”を披露し、逃げ切り勝ちを狙うと宣言した。
そして先日、矢作厩舎が今年の凱旋門賞にステイフーリッシュ、パンサラッサ、ユニコーンライオンの3頭を登録した事を発表。各馬、国内外の重賞で逃げ切り勝ちの実績を持つ実力馬で、矢作調教師がインタビューで披露した『勝つには逃げ切り勝ち』を実現するには打って付けの面々を揃えた形だ。
世界最高峰の舞台での逃げ切りは至難の業とも思えるが、過去に凱旋門賞で逃げを打って好走した日本馬として、1999年のエルコンドルパサーを思い浮かべるファンも多いだろう。
世界を驚かせたエルコンドルパサーと「逃げ」
それまで凱旋門賞での日本馬は大敗続きで、世界の強豪相手に全く歯が立たない状況であった。しかし、同馬は蛯名正義元騎手を背に、好スタートから終始先頭を走り、最後はゴール直前でモンジューに交わされるも、3着以下には6馬身以上の差をつけて2着と好走。日本馬、そして逃げの作戦が世界で通用する事が証明された一戦でもあった。
矢作調教師はインタビュー内で、『フランスの競馬はペースがとにかく遅い。日本の馬がそれに合わせてしまっては勝てない』と語っている。海外ではスローペースからのロングスパート勝負が主流だ。ただでさえ背負い慣れていない59.5kg(古馬牡)の斤量を背負い、日本よりも重い芝でのスタミナ比べでは、タフな海外馬に勝つ事は難しい。一方で逃げにこだわる欧州の強豪馬は少なく、日本ほど積極的に前に行く馬は稀だ。
例えば、1996年にエリシオに騎乗して逃げ切りで凱旋門賞を勝利したO.ペリエは、「日本で騎乗経験がなければ、逃げの作戦を取ることは出来なかった」と述べている。欧州では、ペースメーカーとして格下の馬が逃げることが日常で、時には前に行ったペースメーカーがそのまま先頭でゴールしてしまう波乱も起こる。逆に言えば、それだけ逃げ馬に対する警戒心が低いのだ。
そう考えるとエルコンドルパサーの凱旋門賞好走や、昨年のフォワ賞(G2)でのディープボンドの逃げ切り勝ちは、まさに欧州競馬のスキをついた作戦ともいえる。
仮に実力のある日本馬が逃げた場合、海外の他の馬は追いかければ自身のペースを乱し、放っておけば逃げ馬にとってはシメシメといった状況にもなり得る。今回登録された3頭の内、ステイフーリッシュとパンサラッサは海外のレースでも逃げ切り勝ちを収めており、簡単には止まらない事をすでに証明している。実際に出走すれば面白い存在になりそうな事は間違いない。
矢作調教師が、競馬業界を志した頃からの夢であったと話す凱旋門賞制覇。「世界の矢作」が用意した“三本の矢”が、日本競馬の悲願を果たしてくれるのだろうか。秋が今から待ち遠しい限りだ。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。
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