
JRA背水の陣「中1週」で狙うラスール斬り! 大目標オークス出走のために「世界の矢作」が全力投球

24日、東京競馬場ではフローラS(G2)が行われる。
来月22日に開催されるオークス(G1)へ向けた伝統のトライアルレースであるが、優先出走権を与えられるのは2着までという狭き門。桜花賞(G1)に間に合わなかった素質馬や、早くから長距離路線を見据えてきたスタミナ自慢の馬も名乗りを上げ、例年以上に粒揃いのメンバー構成となっている。
そんな中、桜花賞から中1週のローテーションでこのレースに挑むのがパーソナルハイ(牝3歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
かつて「サンケイスポーツ賞 4歳牝馬特別」の名称で開催されていた時期は桜花賞から中2週の間隔があり、メジロラモーヌやマックスビューティーが桜花賞とこのレース、そしてオークスという3連勝を成し遂げたこともあった。
しかし、現在の「フローラS」に名称が変わった2001年以降は桜花賞から中1週という間隔でレースが開催されており、桜花賞から挑んだ馬は9頭しかいない。成績も【0-0-2-7/9】と振るわず、今回のパーソナルハイは2017年のアロンザモナ(6着)以来、5年ぶりの挑戦ということになる。
昨年9月にデビューから3戦目で初勝利を挙げたパーソナルハイは、昇級戦の赤松賞(1勝クラス)で2着と奮闘。この時の勝ち馬がナミュールで、後の阪神JF(G1)で1番人気に推されるポテンシャルの持ち主だったことを思えば、価値ある2着だったと言えるだろう。
ところが、その後は阪神JFで16着に敗れた後、休みを挟んだ今年初戦のフラワーC(G3)を3番人気で6着と敗戦。なかなか次の1勝を挙げることができなかったが、陣営は桜花賞に挑むことを決意する。
優先出走権を持たない賞金400万円組ということで、出走のためには6分の2の抽選に懸ける必要があったが、これを見事に突破してG1への出走を果たした。得意の逃げの形に持ち込むことができなかった中でも奮闘を見せ、最後の直線では他馬にぶつけられる不利を受けながらも6着と健闘。勝ち馬とは0秒2差と、改めて能力の高さを示す結果となった。
今回は激闘から中1週での臨戦に加え、東京への遠征と400mの距離延長と課題も山積みのように見えるが、東京コースは赤松賞であのナミュールの2着に入った舞台。2000mの距離も未勝利戦ながら2戦して1勝2着1回と好成績を残している。
思えば、管理する矢作調教師は2歳時からこの馬について長い距離に興味を示すコメントを残しており、『スポーツ報知』の記者からも「オークスを目指して…」という厩舎の方針が度々伝えられていた。その点からも、前走の桜花賞出走は意外な選択にも映るが、抽選に懸けてまで狙いに行ったのは、5着馬までに与えられる「オークスへの優先出走権だったのではないか」と考えれば、今回のローテーションにも合点が行く。
オークス出走のために「世界の矢作」が全力投球
また、矢作厩舎と言えば、今年は海外レースでの異様なまでの強さが話題になっているが、その秘訣と言えるのが師の「馬の適性を見る力」と「レース選択の巧みさ」だろう。
国内の中長距離路線で惜敗続きだったステイフーリッシュを海外に連れ出し、3000m以上の距離を使ってサウジとドバイで重賞を連勝。3歳時のニュージーランドT(G2)勝ち以降くすぶっていたバスラットレオンをドバイのダート戦に出走させ、ゴドルフィンマイル(G2)を勝利。これらは「馬の適性」を見極め、「この条件でこの相手なら勝負になる」という分析がしっかりとできた結果の賜物と言える。
それだけに、早くから長めの距離適性を買われ、「オークス」を意識していたパーソナルハイの満を持しての距離延長には、不安要素を一掃するだけの魅力を感じる。
気になる状態面についても、「あまりにも状態が良い」というコメントが調教師から出ており、中1週の臨戦に不安はない。厩舎スタッフからは「タフな馬です。むしろ(このローテが)プラスに働くのでは」という強い言葉も飛び出している。
大目標に向けた、まさに“背水の陣”。近年では異例の強行ローテとはいえ、名伯楽の眼力と体調の良さが後押しするパーソナルハイ。上位人気確実のラスール陣営としても、侮れない存在だろう。
(文=木場七也)
<著者プロフィール>
29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。
PICK UP
Ranking
17:30更新「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 成績低下のM.デムーロ、三浦皇成に「不穏」な噂…腕だけなく馬質も重要な騎手業、彼らが不満を隠せなかった「決定的な理由」とは
- JRAが主導する”大改革”で超一流ベテラン騎手が「騎乗馬なし」の異常……競馬界の水面下で今、一体「何」が起こっているのか?
- JRA・M.デムーロ「新築豪邸欠陥トラブル」? オークス勝利も屋上プールの水漏れが深刻。修理資金はダービーで稼ぐ?
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- キタサンブラックは「本当に落鉄していた」のか? 決定的な「証拠写真」と共に3つのメディアが示した見解と真相
関連記事
JRAフローラS(G2)エフフォーリア弟を豪脚一戦でKO! ドゥラドーレスで“やらかした”戸崎圭太と「世界的超良血」が狙う心機一転
JRA【フローラS(G2)展望】桜花賞6着馬VS遅れてきた大物候補! 素質一級品ラスール「ルージュ軍団」2頭など近年屈指のハイレベル!
JRA桜花賞(G1)世界の「豊×矢作」タッグが堂々の逃げ宣言!? 相性抜群「唯一のディープ産駒」が波乱を巻き起こす!
JRAリフレイムの「大外逸走」、距離ロスは半馬身だけ!? 矢作芳人調教師ら輩出「名門校」生徒がはじき出した意外な数値とは
JRA 世界各国の競馬メディアが「日本競馬」に夢中!? ドバイワールドカップデー席巻に海外ホースマンから称賛の声続々!