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武豊「非常識な最高速」でチェルヴィニア置き去り…他馬を凌駕する切れにC.ルメール「ドウデュースと同じ走りは出来ない」

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武豊騎手 撮影:Ruriko.I
武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 好天の秋空のもと、24日の東京競馬場ではジャパンC(G1)が開催。国内外の精鋭14頭で争われた一戦を制したのは、天皇賞・秋(G1)を快勝して挑んだ武豊騎手とドウデュース(牡5、栗東・友道康夫厩舎)のコンビだった。

 これだけファンの多い馬ながら不思議なことに1番人気でG1を勝利したのは、ここまで17戦(取消含む)のキャリアで初体験。ラストランに予定しているグランプリ・有馬記念(G1)は大本命として受けて立つこととなりそうだ。

 また、天皇賞・秋に続きジャパンCも制したことにより、秋古馬三冠の偉業達成も現実味を帯びてきた。2000年テイエムオペラオー、04年ゼンノロブロイ以来、20年ぶり3頭目の偉業も夢ではないだろう。

 改めてレースを振り返ると、逃げ馬不在で前半から超スローで流れる展開だった。武豊騎手が「未勝利みたいなスロー」と評していたが、同日の2歳未勝利(芝2000m)の1000m通過62秒7に対し、ジャパンCのそれは62秒2。芝2400mで2ハロン長いだけなく、国際G1という舞台を考慮すれば明らかに遅過ぎる。最後の直線で激流へと急転したレースに対応できなかった馬も多数出た。

 その異常さを物語るのが2番人気チェルヴィニアで4着に敗れたC.ルメール騎手のコメントだ。本馬は同舞台のオークス(G1)を後方から上がり最速で差し切った馬だが、主戦騎手から「一気にペースアップ。ドウデュースと同じ走りは出来ないです」という言葉が出たほどである。

 それもそのはず、超スローの瞬発力勝負で最下位のソールオリエンスを除く12頭が33秒台の末脚を使った中、ドウデュースが繰り出したのは1頭だけ壁を超える32秒7という異次元の切れ味。2位同着シンエンペラーも33秒1を使っていたものの、それでも両馬の間には0秒4もの差がついていたのだ。

 超スローのインで脚を溜めるだけ溜められたシンエンペラーと後方から大外を回したドウデュース。実際は数字以上の力差があったように感じられる。まさに常識の範囲に収まらない非常識な瞬発力だ。

「レース後に公開されたルメール騎手のジョッキーカメラでも並ぶ間もなく交わしていくドウデュースの姿が映っていました。武豊騎手の騎乗は天皇賞秋の再現VTRのような後方待機策でしたが、展開がどうこうよりドウデュースの競馬をするだけだという強い意思も伝わりました。

ワンテンポ早く動いたのは、昨年の有馬記念を残り700mからゴールまで持たせたことが自信となったのでしょう。豊さんも残り800mからでも大丈夫だろうという意味でのゴーサインだったようです。最高速70キロ近くを繰り出した馬も怪物ですけど、55歳の鞍上も怪物ですね(笑)」(競馬記者)

 確かに昭和63年の菊花賞(G1)をスーパークリークとのコンビでクラシック最年少勝利を決め、平成でも令和でもレジェンドはG1を勝ち続けている。いよいよ残すところラスト一冠となる訳だが、その一方で武豊騎手をしても秋古馬三冠は難関として立ちはだかっている。今度こそ「持っている男」武豊の快挙に期待だ。

■武豊騎手と秋古馬三冠

1999年 スペシャルウィーク
天皇賞・秋 1着
ジャパンC 1着
有馬記念 2着(優勝グラスワンダー)

2006年 ディープインパクト
天皇賞・秋 凱旋門賞出走のため不出走
ジャパンC 1着
有馬記念 1着

2017年 キタサンブラック
天皇賞・秋 1着
ジャパンC 3着(優勝シュヴァルグラン)
有馬記念 1着

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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