「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
17日、京都競馬場で行われた第41回マイルCS(G1)は、団野大成騎手が騎乗した4番人気ソウルラッシュが2着エルトンバローズに2馬身半の差をつける完勝。6歳にして初のG1制覇を成し遂げた遅咲きが、7度目の挑戦で高い壁を乗り越えた。
決勝線手前でガッツポーズをフライングした団野騎手に過怠金5万円の制裁、レース中に故障の疑いで失速した2番人気ナミュールが最下位に敗れるなど、残念な報せがあったものの、待望のG1・2勝目に喜びを爆発させた若武者の姿は、多くのファンから祝福の声が上がった。
「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せた
また、今年のマイルCSはC.ルメール騎手のブレイディヴェーグが参戦したことでも話題になったが、欧州最強マイラーのチャリンが出走したことも注目を集めた。
1994年に武豊騎手とスキーパラダイスが優勝したムーランドロンシャン賞(G1)2着、98年に岡部幸雄騎手とタイキシャトルが優勝したジャックルマロワ賞(G1)を勝利したチャリン。少し前にも2009年のマイルCSで3着、翌10年に4着だった名牝サプレザもいたが、チャリンは間違いなくマイルCS史上最強の刺客といっていい存在だった。
しかし、ファンが真っ先に懸念したのは、もはや世界一といっても差支えがないほど高速化の進んだ日本の高速馬場への適性だ。軽くてスピードを要求される日本と重くてパワーを要求される欧州では、競馬関係者から「別競技」と評する声も出ているほどである。
今年の凱旋門賞(G1)に挑戦したシンエンペラーは欧州血統の日本調教馬ということもあって善戦を期待されたが、終わってみれば重馬場に苦戦して12着。英インターナショナルS(G1)のドゥレッツァも健闘したが、馬場の違いは「やはり日本とは違う」印象が残った。それだけにチャリンがいくら強い馬でも高速馬場に対応できなければ好走は難しいというのが、大方の下馬評だったはずだ。
だが、結果こそ5着でもチャリンを買わなかったファンが肝を冷やすだけのパフォーマンスは十分に見せた。
「未経験のスピード競馬に戸惑うこともあったでしょうけど、理想的なポジションで競馬が出来なかったにもかかわらず、最後の直線で見せ場十分の追い上げ。重のマイル戦で1分40秒台すら珍しくない欧州で走っている馬が、勝ち馬から0秒4差の1分32秒4で走破しました。しかも上がり3ハロンで33秒6をマークしていたのだから、われわれの想像以上に適性があったということでしょう。
G1・3勝がすべて直線コースで挙げたものですし、外国馬からすればトリッキーな京都コースで十分過ぎる収穫があったと思います。例えるならエルコンドルパサーが初めて欧州のレースに出走したイスパーン賞(G1)のイメージに近いかもしれません。日本の競馬に慣れさえすれば勝ちそうな感じでした。まだ4歳ですし、来年の安田記念(G1)でも見てみたいと思える走りでしたよ」(競馬記者)
これに続きたいのが、ジャパンC(G1)に出走を予定しているオーギュストロダン、ゴリアット、ファンタスティックムーンの3頭だ。
これらはチャリンと同じく欧州最強クラスの実力を持っており、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)を圧勝したゴリアットの2着ブルーストッキングは今年の凱旋門賞馬。同レース3着レベルスロマンスもドバイシーマクラシック(G1)を快勝しただけでなく、ブリーダーズCターフ(G1)も制した強豪。ファンタスティックムーンに関してはパワータイプのドイツ馬で割引が必要かもしれないが、先述2頭は日本の馬場への適性が高そうだ。
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