JRAフローラS(G2)エフフォーリア弟を豪脚一戦でKO! ドゥラドーレスで“やらかした”戸崎圭太と「世界的超良血」が狙う心機一転
牡馬クラシック第一弾の皐月賞(G1)も終わり、今週から春の東京開催がスタートする。昨年末の有馬記念(G1)をエフフォーリアが優勝し、年が明けたのがつい先日のようにも思えるのだが、時が経つのは本当に早い。
その有馬記念の前日にデビューしたルージュエヴァイユ(牝3歳、美浦・黒岩陽一厩舎)が、オークス(G1)出走を懸けて、24日に行われるトライアルのフローラS(G2)に出走を予定している。
同馬は、父が日本馬史上初めて世界ナンバーワンのレーティング評価を受けたジャスタウェイ。母父は14戦14勝の怪物フランケルで、祖母は凱旋門賞(仏G1)をレコード勝ちしたデインドリームという、文字通りの超良血馬だ。
それにもかかわらず、新馬戦での単勝オッズが6.8倍もついた理由は、先述したエフフォーリアの弟にあたるヴァンガーズハートが同じレースに出走して、断然人気に支持されていたからに他ならないだろう。
中山の芝1800mで争われた初陣は、ルージュエヴァイユと戸崎圭太騎手が中団後ろのやや窮屈な位置からの競馬。一方のヴァンガーズハートと横山武史騎手は好位5番手で盤石にレースを運んだ。
直線に入って堂々と抜け出したヴァンガーズハートは、鞍上が手綱を緩める余裕も見せたが、ルージュエヴァイユも内から猛追する。最後はクビの上げ下げの勝負となり、写真判定の結果ハナ差でルージュエヴァイユに軍配が上がった。
「後に油断騎乗疑惑として、横山武騎手に騎乗停止処分が課せられたあのレースですね。本人もまさかあの感じで抜けだして、最後に内から差されるとは思っていなかったのかもしれません。
逆に言うなら、それだけルージュエヴァイユが衝撃的な末脚を披露したとも言えそうです」(競馬誌ライター)
やや曰く付きのレースになってしまったのは残念だが、2ヶ月の休養を挟んで出走した前走のデイジー賞(1勝クラス)でも、初戦と同様の見事な追い込みを決めて無傷の2連勝。その実力が確かであることを示した。
さらに、このときクビ差の2着に退けたサンカルパが、次走の1勝クラスで4馬身差の圧勝劇を演じたことも、ルージュエヴァイユの能力の高さを裏付ける形にもなったか。
ただ、現在のところ本馬の収得賞金は900万円。一応、昨年のオークスは同賞金でも参戦が可能だったが、出走をより確実のものとするため、今回のフローラSでは是が非でも2着以内には入っておきたい。
戸崎圭太と「世界的超良血」が狙う心機一転
手綱を執る戸崎騎手は先月、同じく2戦2勝のドゥラドーレスと毎日杯(G3)に出走したものの、戸崎騎手曰く「直線で踏み遅れて」まさかの3着。賞金の上積みに失敗した同馬は日本ダービー(G1)を断念しているだけに、改めて今回はきっちりと決めて欲しいところだ。
「なお、ルージュエヴァイユを所有するクラブ法人の東京サラブレッドクラブは、過去5年のフローラSに5頭を出走させて全て着外。レッドルレーヴは3番人気、レッドベルローズは4番人気で敗れるなど、相性があまり良くないようでした。
ただ、牝馬の冠名がルージュに変わってからは、今回が初の出走になります。レッド時代の成績はもうひとつでしたが、心機一転しての好走に期待したいです」(同)
秋華賞馬のレッドディザイアや、2歳女王のレッドリヴェールなどを世に送り出している名門は、現4歳世代から牝馬の冠名をルージュに変更している。しかし、ネットには「いつの間に変わったんだ」といった書き込みも見られるなど、浸透度はいまひとつのようだ。
本馬とルージュスティリアの2頭出しを予定している今回のフローラSは、「ルージュ」をアピールする絶好の場にもなるかもしれない。東京の長い直線で、ファンの脳裏に刻み込まれるような豪脚を披露できるだろうか。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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