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JRA「乗りたくない」有力騎手も戦々恐々!? 落馬に戒告、負傷離脱……今年も開幕から吹き荒れた「春の嵐」

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 3月に発生した地震の影響のため、1週遅れで開幕した先週の福島競馬。スタンドの一部に被害が出ていたこともあり、安全面に配慮して無観客で開催となったが、初日の16日から8Rで小林脩斗騎手と藤井勘一郎騎手が揃って落馬した。

 このアクシデントで小林脩騎手は左鎖骨骨幹部骨折の診断、藤井騎手は全身打撲で福島市内の病院に搬送された。いずれも以降の騎乗馬はすべて乗り替わっただけでなく、落馬した2頭のうち、1頭は予後不良という残念な結果となった。

 そして翌17日には、障害レースでも4Rで3頭、5Rで4頭が競走中止。波乱が続く春G1とは違う形で、“春の嵐”に巻き込まれたかのようなアクシデントが続いた。

 例年、春の福島開催は事故が多発しやすい傾向にあるが、今年は特に注意が必要なのかもしれない。

 福島のコース形態は小回りで幅員も狭く、馬群が密集するのでタイトな競馬になりやすい。春G1の裏開催ということもあって、新人や若手騎手が多く集まることも、危険な状況に拍車を掛けているようだ。

 また、障害では一週前に番組がなかった事で初障害の馬が多く集まったことも大きかったか。予後不良になる馬も複数いて現場も大変だったらしい。

「3月にデビューしたばかりの新人はコーナーリングなども拙いので事故を誘発しやすいんです。土曜の8Rは小林脩騎手の馬が故障して、後ろの藤井騎手が巻き込まれました。でもこれは若手の経験不足も少なからず関係しています。

ある程度のベテランならもう少し早く馬の異変に気付いて追う動作を諦めたり、緩めたりするのですが、小林脩騎手は勝負圏内にいた事もあって、馬が体勢を崩すまで無我夢中で追っていました。幸い本人は無事だったものの、負傷でしばらくは乗れないようです。先週の小林凌騎手に続いて、稼ぎどころだった関東のローカル開催を棒に振る事になりました」(競馬記者)

「乗りたくない」有力騎手も戦々恐々

 そういった危機感もあってか、近年は福島開催の騎乗を見送る騎手も多く出始めたようだ。体が資本の商売だけに自身のミスならまだしも、他の騎手に巻き込まれての戦線離脱は避けたいところだろう。

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吉田隼人騎手

 勿論、主場で乗鞍を確保するには、関係者からの騎乗依頼が重要になるが、吉田隼人騎手や鮫島克駿騎手のようにローカルから「脱出」に成功したケースもある。特に吉田隼騎手の活躍は顕著で、この春も大阪杯(G1)をポタジェで制したが、それまで結果を残して関係者からの信頼を得ていたからこそである。

「今週の福島牝馬Sに騎乗予定の津村明秀騎手も『ローカル脱出』を狙っている一人です。以前は春のローカルは福島、新潟をメインに騎乗していましたが、『本当に怖いので福島で乗るのは辞めました。絶対に開かないところに突っ込んだり、隊列が決まったところで強引に競ってきたりと身の危険を感じるので』と話していましたよ」(同)

 先週の開催でも、落馬や競走中止の他に戒告や過怠金の処分を受けた若手騎手もチラホラ……。他の騎手からも「いつかもっと大きな事故が起きるのでは」と危惧する声もある。記者の話では、レース中でもスタンドに聞こえるくらい騎手の怒号が飛び交っており、レース後には先輩騎手が後輩や新人騎手に厳しく指導している姿が多く見られるという。

 今週末含め、あと2週間の開催が残されているが、これ以上大きなアクシデントが起こらない事を祈るばかりだ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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