JRA武豊「すれ違い」で逃した“大魚”が狙うフサイチコンコルドの伝説。エイシンフラッシュコンビが26年ぶりの伝説再現に挑戦!

「父キタサンブラック、母ブラックエンブレム。父母ともにG1ホースという良血で、稽古の動きも良くなってきています」
今年1月、今週末のプリンシパルS(L)に出走するブラックノワール(牡3、栗東・藤原英昭厩舎)のデビュー前に、自身のオフィシャルサイトでそう語っていたのは武豊騎手だ。
現役時にはコンビでG1を6勝したキタサンブラックの産駒という事もあり、デビュー前から武豊騎手自ら稽古をつけ、その素質を高く評価していた。
しかし、新馬戦で手綱を任されたのは内田博幸騎手。元々は武豊騎手が乗るはずだったが、予定していた新馬戦が除外されたことで、デビューが翌週へとスライドする形に。すでにその日は中京競馬場で先約があったため騎乗することは叶わず、内田騎手が急遽代役を務めた。
武豊騎手が逃がした魚は大きい?
「直線でも最後まで脚が残っていた。物見はしないし素直。血統馬らしい(走り)ですね」
鞍上も絶賛した東京・芝1800mのデビュー戦では、大外16番枠から抜群のスタートを決めてハナに立つと、直線でも父キタサンブラックを彷彿とさせるダイナミックなフォームで最後まで後続を寄せ付けず。そのまま逃げ切り勝ちを収めた。
着差やタイムに派手さはないものの、新馬戦としては堂々たる走りが目を引いた。本来騎乗する予定だった武豊騎手にとっても、この勝利にはどこか心中複雑な思いがあったかもしれない。
競馬界のレジェンドが評価した逸材だからこそ、どうしても期待したくなるのが日本ダービー(G1)出走だ。実はブラックノワールにとってプリンシパルSは、ダービーへの優先出走権が懸かる一戦であるとともに、ある偉大な記録への挑戦も懸かっているのだ。
それは、1996年にわずか“キャリア2戦”で日本ダービーを制したフサイチコンコルドの記録だ。今もなお競馬ファンの間では「伝説」として語り継がれているが、あれから26年経った現在に至るまで、“キャリア2戦”でダービーに臨んだ馬は1頭たりとも存在しない。
ブラックノワールはデビュー自体が今年2月と遅かったわけだが、裏を返せばそういった状況になったからこそ、この記録に挑戦する状況が生まれたとも言える。今週末にはダービー出走メンバーもほぼ固まりそうな現3歳世代のなかでは、伝説再現へ唯一可能性が残っている馬でもある。
血統面から見ても、その期待は小さくはない。
同じキタサンブラック産駒のイクイノックスが早くも皐月賞(G1)で2着に入り、ブラックブロッサムも7日に行われる京都新聞杯(G2)では主役を張る存在だ。まだまだ同産駒から隠れた大物が出てきても何ら不思議はない。
また、兄のブライトエンブレムは2014年の札幌2歳S(G3)を、姉のウィクトーリアは2019年のフローラS(G2)を勝利しており、母系からも早くから重賞戦線で活躍できる血統背景を兼ね揃えている。

今回も引き続き手綱を取る内田騎手にとっても、願ってもないチャンス到来といえるだろう。ブラックノワールを管理する藤原厩舎とは、2010年にエイシンフラッシュでダービーを制した名コンビではあるが、近年はG1でコンビを組むこともめっきり見られなくなった。
それでも、同馬が新馬戦で勝利した際には「内田騎手が理解して、いい乗り方をしてくれた。こういう競馬がしたかった」と藤原師もその騎乗ぶりを絶賛しており、信頼関係は今も変わりないように思える。この一戦次第では、偉大なるダービー馬の記録への挑戦権を得るかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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