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JRA「謝るしかありません」武豊“論理破綻”のNHKマイルC(G1)…アグネスタキオン産駒が16年前に見せた「ちょっとビックリ」な生涯最高のパフォーマンス

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武豊騎手

 8日、東京競馬場では第27回NHKマイルC(G1)が行われる。JRA通算4346勝を誇る武豊騎手は、外国産馬のジャングロに騎乗し、当レース4度目の制覇を狙う。

 過去3勝のうち2勝を外国産馬で挙げている武騎手。初制覇した97年はジャングロと同じ森秀行厩舎のシーキングザパール、その4年後の01年にはクロフネという米国産馬を勝利に導いた。

 その一方で武騎手が唯一、内国産馬でNHKマイルC制覇を遂げたのが16年前の06年である。騎乗したのはサンデーサイレンス直仔のアグネスタキオン産駒、ロジックという馬だった。

武豊騎手の予想を覆したロジックの乾坤一擲

 

 それまでの7戦中5戦で武騎手が手綱を取り、3歳になってからは重賞で常に上位争いを演じていたロジック。ただ、主な勝ち鞍が2歳500万下(現1勝クラス)ということもあってか、レース前の武騎手の期待値はそれほど高くなかった。

 レース数日前、自ら直前追い切りに跨った武騎手は公式サイトの日記に次のように記している。

「予想していた以上にいい動きで、相手は強化されますがノーチャンスではないと思いました」(06年5月4日付)

「ノーチャンスではない」という言葉からも、あくまでチャレンジャーとしての手応えを口にしていたことがうかがえる。それもそのはず、同馬は3歳になってマイル重賞に3度挑戦するも、勝ち切ることができず。あくまでも“善戦マン”として上位も狙えそうな1頭という評価だった。

 そのレースで、2.6倍の1番人気に推されていたのはフサイチリシャール。前年の朝日杯FS(G1)を制し、皐月賞(G1)でも5着と掲示板を確保していた。

 これに4.0倍のマイネルスケルツィが続いた。マイル路線に転向後、500万下とニュージーランドT(G2)を2連勝中で、ロジックとはニュージーランドTで手合わせ済みだった。レースは、フサイチリシャールとマイネルスケルツィの2強ムードが漂っていた。

 そんな2頭からやや離された8.7倍という単勝オッズをつけたロジック。鞍上が武騎手でなければ、もう少し人気を下げていただろう。

 しかし、そんな決して高くない期待にこの日のロジックは見事に応えた。3枠6番という絶好枠から五分のスタートを切ったロジックと武騎手は、中団やや後方の位置取り。先行勢を前に見ながら、じっくり脚を溜めた。

 勝負を分けたのは4角手前。武騎手がぽっかりと空いた内にうまく潜り込むと、直線内ラチ沿いをスルスルと伸び、最後は好位から抜け出しを図ったファイングレインをクビ差とらえて、約半年ぶりの勝利をこの大一番で飾った。

 1番人気フサイチリシャールが大外18番枠から外々を通らされたこととは対照的なコース取りは、まさに「ユタカマジック」といえる騎乗だった。

 レース後の勝利騎手インタビューでは「正直、今日は自信も無かったし、嬉しい誤算と言いますか、驚いています」と胸の内を明かした武騎手。数日後には、「ロジックに謝るしかありません」(06年5月7日付)と題し、自身の日記にこう記していた。

「今日のG1勝ちは自分でもちょっとビックリ」と、レース直後と同じ感想を漏らすと、「デビュー以来のベストパフォーマンスを、最高の舞台でやってのけるとは凄いこと」と、大仕事を成し遂げたロジックに賛辞を送った。そして、「正直な話、今回は相手が強いと思っていただけに、ロジックには『すいません』と謝るしかありません」と平身低頭。ロジックを信用しきれなかったことを素直に詫びた。

 ロジックという馬名は“論理学”を意味する。競馬の天才、武騎手をもってしても、このときだけは、この“ロジック”を解くことは難しかったようだ。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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