元JRA藤田伸二氏ヴィクトリアマイル「攻略のヒント」も大サービス!? ダノンスコーピオン「◎」ズバリのNHKマイルCを解説、セリフォス失速のワケも
8日に行われたNHKマイルC(G1)は、中団の外めを進んだ4番人気ダノンスコーピオンが勝利。2着に3番人気のマテンロウオリオン、3着には18番人気のカワキタレブリーがそれぞれ後方から追い込み、三連単は153万円を超える波乱となった。
ダノンスコーピオンは前哨戦のアーリントンC(G3)を快勝し、朝日杯FS(G1)でもドウデュースやセリフォスと好勝負を演じていた馬。よくよく考えれば4番人気は不当な評価だったといえるだろう。
ダノンスコーピオンが過小評価を受けた理由は主に2つ。東京で行われた共同通信杯(G3)で7着に沈んでいたことと、大外8枠18番からの発走だったことが大きかったのではないだろうか。筆者も大外枠を嫌って、同馬の評価を下げた一人だ。
そんなダノンスコーピオンに自信の「◎」を打った人物がいる。JRAで通算1918勝を挙げた元騎手の藤田伸二氏だ。本記事でも取り上げたが、藤田氏はカワキタレブリーを軽視していたため、馬券こそ外したが、ダノンスコーピオンを本命に抜擢していた。
その藤田氏はレース翌日の9日夜に自身のYouTubeチャンネルで生配信を敢行。「NHKマイルカップ 回顧&雑談」と題した動画で、ダノンスコーピオンを本命に推した理由などを惜しげもなく語っている。
詳細はぜひアーカイブ化された本動画をご覧いただきたいが、「ダノンが勝ってくれてしてやったり」と笑顔で語り始めた藤田氏。「なぜ将雅(川田騎手)の馬を本命にしたか」と、早速その根拠を明かし始めた。
藤田氏が最大の理由に挙げたのが「大外枠であったこと」だという。逆に「将雅がもし内枠に入っていれば、本命にしていなかった」と断言。「(内枠なら)ごちゃついたり、(揉まれて)スムーズな競馬ができない」可能性があったことに言及した。
そのうえで、大外なら「内の出方を見ながらポジション取りができる。一番スムーズにレース運びができる枠だった」と、ダノンスコーピオンを本命視した理由は枠順が大きかったことを明かした。
ダノンスコーピオン「◎」ズバリのNHKマイルCを解説
「実際のレースも藤田氏の思惑通り、ダノンスコーピオンが大外枠から無理なくいいポジションを取れました。この日はやや外伸び馬場だったこともありますが、上位3頭はいずれも直線で外を通ってきた馬。藤田氏がそこまで読み切っていたかはわかりませんが、結果的に18番枠がプラスに出たのは間違いありません」(競馬誌ライター)
その後、話題は他の馬に移り、道中は後方を進んだジャングロなども取り上げた。ジャングロ、マテンロウオリオン、カワキタレブリーの“出遅れ”は、一見変哲もない同じような“出遅れ”に見えるが、騎手視点からは全く異なるという。これに関しては動画内で細かく解説している。
また、1番人気で4着に敗れた福永祐一騎手のセリフォスについては、「最高のポジション(インの5~6番手)にいた」と、鞍上の位置取りは完璧だったものの、「外に出せない枠順(2枠4番)だった」と、ここでも枠が命運を左右したという見解を示した。
さらに、直線で内ラチ沿いを通った福永騎手の選択に間違いはなかったとした上で、「周り(の上位入線馬)が全部外から来てるから、傍に競り合ってくれる馬がいなかった……。(セリフォスと)馬体を併せる馬がいてくれたら、根性出して伸びてくれたんじゃないかな」と、最後は内にポツンと1頭だけになってしまった展開に同情した。
「現役時代に多くのビッグタイトルを獲得した騎手だけあって説得力のある解説でしたね。レースを何度も見直していることがうかがえる好内容でした。現役時代の経験も踏まえて、あくまでも騎手視点ですが、東京芝1600mの必勝法などにも触れていました。この春は同じ舞台でヴィクトリアマイルと安田記念も残っているので、馬券のヒントになりそうな話もありましたよ」(同)
以前の藤田氏は、実際のレースを生観戦しながらの配信だったため、感情的な言動も目立った。ところが、最近はレース後に時間を置き、じっくりレースを振り返った上での配信が増えている。藤田“解説員”の今後の活躍からも目が離せない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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