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JRA「伝説は死んだ」武豊×ドウデュースは容赦なく消し。4強頂上決戦は無情の「1点買い」で勝負『日本ダービー(G1)予想』

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 29日に東京競馬場で行われる日本ダービー(G1)を予想する。

 今年は前日段階でもどの馬が1番人気になるのかわからないほどの混戦だが、皐月賞後に行われた青葉賞(G2)、京都新聞杯(G2)、プリンシパルS(L)で勢力図を塗り替えそうな大物は出たおらず、やはり皐月賞組が中心となるだろう。

 中でも勝ったジオグリフを筆頭に、2着イクイノックス、3着ドウデュース、4着ダノンベルーガの力が抜けており、5着アスクビクターモアが世代屈指の中山巧者だったことを考慮すると、今回も4強が中心になりそうだ。どう組み合わせても高配当が望めない以上、馬券妙味は薄いレースと言わざるを得ない。


 そこで今回は1点で勝負する。「◎」は12番ダノンベルーガだ。

 前走の皐月賞では4着ながら、勝ったジオグリフ、2着イクイノックスには完敗といった内容だった。しかし、レース後に川田将雅騎手が「この枠でできる最大限の走りをした」と話していた通り、1枠1番という枠順が仇に。終始内に閉じ込められたまま、最後は馬場の悪くなったインを通らざるを得なかった。

 もともと陣営は右回りに不安を覚えており、共同通信杯(G3)勝ちのある東京に替わるのは大きなプラス。また当初は皐月賞を回避する予定で、参戦を決めたのは直前になってからだった。そういった意味でも状態面の上積みも大きく、陣営からも「皐月賞を使う前より研ぎ澄まされた」と自信のコメント。

 共同通信杯の2着がジオグリフ、3着がスプリングS(G2)勝ちのビーアストニッシドという内容からも、この走りが再現できれば戴冠の可能性は十分にあるはずだ。

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ジオグリフ

「〇」 は皐月賞馬の15番ジオグリフだ。

 前走の皐月賞では、先に抜け出したイクイノックスをきっちりと捕らえての戴冠。世代の中心に躍り出た。今回は400mの距離延長に加えて、皐月賞は福永祐一騎手が自画自賛するほど完璧な内容だったことから、5番人気だった皐月賞時と同じような立場で迎えることになりそうだ。

 父ドレフォンがダートの短距離で活躍した馬だけに、距離延長を嫌う声もある(福永騎手もその中の1人だ)が、父はまだ昨夏に産駒がデビューしたばかりの新米種牡馬。あのロードカナロアからアーモンドアイが出たように、種牡馬による距離適性はもっとサンプルが揃ってから考えるべきだ。さらに言うなら、アーモンドアイのような突然変異の前では血統の常識など、あっさりと消し飛ぶ。ジオグリフも、いずれ規格外の存在になるはずだ。

 オークスのスターズオンアースがそうだったように、どんな理由があろうと、やはり勝ち切った馬は強い。福永騎手が上手く乗ったことは確かだが、決して展開に恵まれたというわけではない。この評価はやや舐められ過ぎた。

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イクイノックス

「▲」は18番のイクイノックスだ。

 皐月賞は最後の直線で一度は先頭に立ったものの、最後はジオグリフに差し切られての2着だった。その皐月賞のゴール前だが、どちらかというとジオグリフが切れ味で勝ったというよりは、イクイノックスが止まったように見えたのは筆者だけだろうか。

 本馬が集団から抜け出して失速した原因は距離なのか、昨年11月以来の休み明けの影響か、それともソラをつかったのかが考えられるが、少なくとも今回は陣営も「張りがあって毛ヅヤはピカピカ」と皐月賞からの上積みを強調しており、体調面の不安はなさそうだ。

 ただ、C.ルメール騎手は皐月賞よりも後ろで競馬する可能性が高い。1つは先述した通り、あまり先に抜け出すとソラを使う可能性を否定し切れないため。もう1つは皐月賞でマークされたジオグリフとの位置関係を考慮するためだ。

 皐月賞に続き大外18番を引いたイクイノックスに対して、ジオグリフは14番から15番。枠順による位置関係はほぼ変わっていない。ジオグリフの福永祐一騎手からすれば、皐月賞の再現がベストだろうが、ルメール騎手は同じ相手に、続けて同じ手を使わせるほど甘くない。両者の駆け引きに注目だ。

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ドウデュース 撮影:Ruriko.I

 逆に13番ドウデュースは切りとする。

 レース後、武豊騎手が「ポジションが結果的に後ろだったかも」と話した通り、前走の皐月賞は大事に乗り過ぎて3着。まともなら、もっとジオグリフとイクイノックスに迫っていた可能性はある。

 ただ、陣営は日本ダービーに向かって、この経験が活きると自信を深めている。常識的に考えて中山から直線の長い東京への舞台替わりはプラスで、武豊騎手が皐月賞で試みた競馬はダービーを見据えてのものだろう。

 しかし、これが罠となる可能性が高い。

 ダービーは毎年、当週からCコースを使用しており、やはり中団より前に行った馬で、それも内目を通れる馬に有利な状況が生まれている。実際に近10年の日本ダービーで、4コーナーを10番手以下から差し切ったのは、2013年のキズナだけ。そう、あの武豊騎手の復活劇だ。

 その後もメディアなどで事あるごとに取り上げられており、武豊騎手にしても特別な1勝として記憶に強く残っているはず。奇しくもドウデュースの皐月賞の4コーナー通過は14番手であり、ダービーのキズナも14番手だった。狙うのは、伝説の再現になるが、世代を相対的に見てドウデュースが当時のキズナほど抜けているとは考え辛い。皐月賞よりも多少は前目で競馬するだろうが、いずれにせよ二ケタ番手からの後方一気では届かないのが近年のダービーだ。


 以上。今回は12番ダノンベルーガ、15番ジオグリフ、18番のイクイノックスの三連複1点とする。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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