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日本ダービー(G1)何故1番人気ダノンベルーガは失速したのか。1週前に記録した「新記録」と元JRA安藤勝己氏のダメ出し……大先輩ドゥラメンテとの相違点とは

日本ダービー(G1)1番人気ダノンベルーガは何故失速したのか。1週前に記録した「危険な新記録」と元JRA安藤勝己氏のダメ出し……大先輩ドゥラメンテとの相違点とはの画像1

 29日、3歳牡馬の頂点を懸けて行われた日本ダービー(G1)は、3番人気の2歳王者ドウデュースが勝利。見事、皐月賞(G1)3着の借りを返す格好で、再び世代の頂点に立った。

 一方、1番人気に推されたダノンベルーガ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)は4着。これで今年のG1は開幕から1番人気が10連敗となった。

 最後の直線では、皐月賞馬のジオグリフを競り落として、外から来たドウデュース、イクイノックスとの真っ向勝負に持ち込んだダノンベルーガ。しかし、ここで脚が上がってしまい、最後は粘るアスクビクターモアを交わせないまま、皐月賞と同じ4着に終わった。

 結果は同じ4着でも、堀調教師が「トラックバイアスが影響した結果」と話す皐月賞は、内枠から終始馬場の悪いインを通らされるなど明確な敗因があった。それだけに再びドウデュース、イクイノックスに先着を許した4着という結果は、前回よりも重い。

 戦前、ダノンベルーガはまさに「絶好調」と報じられていた。

日本ダービー(G1)1番人気ダノンベルーガは何故失速したのか。1週前に記録した「危険な新記録」と元JRA安藤勝己氏のダメ出し……大先輩ドゥラメンテとの相違点とはの画像2
川田将雅騎手

 さらに迎えた本番でも、川田将雅騎手が「リズム良く競馬ができました」と話すほぼ完璧な競馬。しかし、「直線もスペースができて、後は伸び勝つだけだったんですが……」と敗因を挙げた通り、最後の最後で止まってしまった。

 スタミナ十分のハーツクライ産駒であり、共同通信杯(G3)や皐月賞で見せた走りからも、東京2400mを特別不安視したメディアはほぼ皆無だった。一体、何故ダノンベルーガは失速してしまったのだろうか。

何故ダノンベルーガは失速してしまったのか

 

「現段階で明確な原因はわかりませんが、強いて言うなら『仕上がり過ぎていた』のかも……。実はダノンベルーガが美浦のWコースで行われた1週前追い切りで記録した5ハロン62.4秒は、昨年7月から始まった自動計測以降で最速の時計だったらしいです。

それだけに最終追い切りは軽めになるのかと思いきや、併せ馬で5ハロン66.5秒。さすがに1週前よりは遅かったですが、思った以上にハードな仕上げが施されている印象でした。もちろん、それだけに動きは素晴らしかったですよ。ただ正直、2400mの長丁場を走るには『ちょっと仕上がり過ぎてるかも』という不安はありました」(競馬記者)

 この最終追い切りについては堀調教師も当初は「微調整でいい」と思っていたようだが、状態があまりに良かったので「しっかりめの追い切りで負荷をかけた」と話している。

 その結果、日本ダービー当日には皐月賞から-10kgという“微妙”な状態に。極限の仕上がりか、それともピークアウトか――。元JRA騎手の安藤勝己氏はダービー後に「結果として過程で攻めすぎてたかも。馬体重然り、返し馬でトモが入ってなかった」(Twitter)とコメントしている。

 また、ダノンベルーガの堀厩舎といえば、2015年に春二冠を達成したドゥラメンテを手掛けたことでも知られている。実はダノンベルーガの共同通信杯→皐月賞→日本ダービーという道程は、この二冠馬とまったく同じである。

 堀厩舎は関東所属としては珍しく、福島のノーザンファーム天栄ではなく、あえて距離が遠いノーザンファームしがらきを利用することでも有名だ。

 2頭の違いは、まさにこの外厩の利用の仕方で、皐月賞後から日本ダービーへの調整を自厩舎で行ったことは共通しているものの、共同通信杯後にドゥラメンテはしがらきを利用したが、ダノンベルーガは自厩舎で調整されている。最大目標の日本ダービーへ前者は-2kg、後者は-10kgで出走。結果的に、調整過程も微妙に関係したのかもしれない。

「ダノンベルーガは当初、右回りに不安があるということで皐月賞を使うかは微妙なところでした。もしかしたら、回避して実績のある東京のNHKマイルC(G1)挑戦のプランもあったかもしれません。

しかし、同じ『ダノン』のダノンスコーピオンが、調教師から一時は『春全休』とまで言われた状態からV字回復。その結果、本馬がマイル路線に、ダノンベルーガがクラシック路線に舵を切ることになりました。もし、ダノンベルーガが2月の共同通信杯から5月のNHKマイルCへ向かうのであれば、一度外厩に出していた可能性は十分ありますし、陣営は難しい調整を強いられたと思いますね」(同)

「今日できる精一杯の走りをしてくれました」

 レース後、そう主戦騎手から労われたダノンベルーガ。秋はクラシック最終戦の菊花賞(G1)よりも、得意の東京を重視して天皇賞・秋(G1)で古馬と戦うことが有力だ。厩舎の大先輩ドゥラメンテは、ダービー後に故障して三冠の夢が断たれた。まずは無事に夏を乗り越え、実りの秋に一回り成長した姿を見せてほしい。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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