
オークス(G1)元JRA安藤勝己氏も苦言を呈した「最長」遅延の裏側…G1初騎乗ジョッキーが「顔面蒼白」となった衝撃の後ろ蹴り
22日、東京競馬場で行われた牝馬クラシック第2弾・オークス(G1)は、C.ルメール騎手の3番人気スターズオンアースが前走の桜花賞(G1)に続く二冠を達成。テン乗りで臨んだ鞍上にとっても、国内では昨年12月のチャレンジC(G3)以来となる待望の重賞勝ちとなった。
その舞台裏で、もう一つ大きな注目が集まったのはレース直前だった。
発走前の輪乗り中に、石橋脩騎手のサウンドビバーチェが放馬するアクシデント。結果的に同馬は競走除外となり、この一幕がグレード制導入後のG1では最長だった2011年スプリンターズS(G1)の13分(ビービーガルダンが放馬)を超える15分の遅延を引き起こした。
これに対し、競馬界のご意見番こと元JRA騎手の安藤勝己氏は、自身の公式Twitterを通じて「JRAは今日のオークスを教訓に競走除外の見直ししたほうがいい。スピード面ね。テレビ中継、レースの結果としてもファンに迷惑かけたと思うよ」とJRAの対応の遅さに苦言を呈した。
事実、出走時間が大幅に遅れたことが影響して、関西テレビの中継ではレース映像を流している最中にCMへと切り替わってしまい、最後までレースを放送できない事態に……。テレビの前でかじりついていた競馬ファンにとっては、実にモヤモヤが残るレースでもあった。

競走除外となったサウンドビバーチェや鞍上の石橋騎手には、非常に残念な結果となったが、シンガリ人気のラブパイロー(牝3、美浦・大和田成厩舎)と共にオークスでG1初騎乗となった野中悠太郎騎手にとっても、後味の悪いレースであったに違いない。
G1初騎乗ジョッキーが「顔面蒼白」となった衝撃の後ろ蹴り
なぜならJRAが「サウンドビバーチェ号は,発走地点で他の馬に蹴られ放馬」と発表した「他の馬」というのは、まさにラブパイローであったからだ。
レース直前の輪乗りの際、ラブパイローの後ろ蹴りをもろに顔面に浴びたサウンドビバーチェは、石橋騎手を振り落としてそのまま放馬。その後、検査により「疾病〔顔部挫創〕を発症したため競走除外」という結末を生んでしまったのだ。
故意的ではないにしろサウンドビバーチェ陣営の生涯一度のオークス出走を奪ってしまった事が、野中騎手にとっては何より心苦しかっただろう。
前週のヴィクトリアマイル(G1)では、逃げたシンガリ人気のローザノワールがあわやの4着に激走したことで、オークスでも同じ逃げ馬でシンガリ人気のラブパイローに密かな前残りへの期待感があった。
しかし、レース前にもはや「顔面蒼白」の事態となったG1初騎乗の鞍上には、冷静に立ち振る舞うことは極めて難しかったはずだ。
「逃げた方がよさそうなので、極端な競馬をイメージしています」
レース前には『サンケイスポーツ』の取材に対して力強く語っていた鞍上だったが、スタートを決めて前に押し出すも、外からニシノラブウインクが果敢にハナを奪ったことで意外にも道中は4番手に控える形に。そのまま持ち味を発揮することなく最後の4コーナーで早々に手応えが怪しくなると、直線ではズルズルと後退し最終的にほぼ人気通りの15着に敗れた。
本来であれば、野中騎手にとっては2019年のホープフルS(G1)でガロアクリークと共にG1初騎乗の予定だったが、自身のインフルエンザで騎乗が叶わず今回はそれから2年半越しの初挑戦。やっとの思いで掴んだ大舞台ではあったものの、予想外の苦い思い出となってしまった。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
PICK UP
Ranking
5:30更新未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 宝塚記念(G1)武豊の起用は「懲罰交代」が濃厚か…G1初勝利の若手が失った関係者の信頼、師匠の逆鱗に触れた「問題行動」の裏側
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!
関連記事
JRAリフレイムの「大外逸走」、距離ロスは半馬身だけ!? 矢作芳人調教師ら輩出「名門校」生徒がはじき出した意外な数値とは
JRA「個性派の怪物」リフレイムは何故復活できたのか。「本当に申し訳ない」恥辱にまみれたド派手デビューから約1年半…エイシンヒカリ2世が辿った軌跡
JRA 若手有望トレーナー「ダート良さそう」もまさかの結果に出資者憤怒!?
JRA藤田菜七子&野中悠太郎、合わせて「100連敗」間近の苦戦!? 丸山元気も参戦の三つ巴、「兄妹弟子対決」で師匠に久々新馬戦勝利を届けられるか?
JRA「僕のミスです」痛恨の200連敗、主戦降板から7カ月……野中悠太郎はオセアグレイトの重賞初制覇に「何」を思う? 横山典弘騎手はステイヤーズS(G2)6勝目