JRA藤田菜七子&野中悠太郎、合わせて「100連敗」間近の苦戦!? 丸山元気も参戦の三つ巴、「兄妹弟子対決」で師匠に久々新馬戦勝利を届けられるか?
競馬界において、新馬戦は特別なレースだ。2002年以前は、「折り返しの新馬戦」というものが存在した。同一開催内であれば、敗れてもまた新馬戦に出走することが可能だった。ウマ娘で人気のエアグルーヴやウイニングチケットなども、デビュー戦の新馬戦を敗れているが、2度目の新馬戦で初勝利を挙げている。
しかし、ルールが改定された現在は、新馬戦に出走できるのは一生に一度だけ。「新馬勝ち」は一種のステータスにもなっている。
8月下旬と夏競馬も終盤に差し迫ったなか、札幌・新潟・小倉の3場で、計9鞍の新馬戦が組まれている。注目は29日(日)新潟の5R・2歳新馬(芝1600m)だろう。
このレースで2頭出しを敢行するのが美浦の根本康広厩舎だ。アドマイヤムーン産駒のリピッシュは野中悠太郎騎手、リーチザクラウン産駒のニコニコプンは藤田菜七子騎手を鞍上に据えて出走させる。ご存じの通り、2人は根本厩舎所属の兄妹弟子という関係である。
デビュー7年目の野中騎手は、「穴太郎」という異名で知られる。通算75勝のうち、自厩舎の馬で10勝を挙げているが、新馬戦に限ると勝利はゼロ。先週まで「0-0-1-46/47」という絶望的な成績を残している。
一方、1年後輩の妹弟子、菜七子騎手は通算139勝のうち、7勝を自厩舎の馬で挙げている。しかし、こちらも新馬戦に限ると「0-3-3-43/49」。2着は3度あるが、いまだ勝利はない。
2人合わせると、新馬戦ではデビューから96連敗中で、大台の100連敗は目前。肝心のリピッシュとニコニコプンも前評判はそれほど高くなく、苦戦は免れないだろう。
しかし、2人には発奮材料もあるという。
「このレースには、2人の兄弟子にあたる丸山元気騎手も騎乗を予定しています。新潟2歳S(G3)にも登録があったオカンモシャチョウという森秀行厩舎の外国産馬です。3人のきょうだい弟子がそろい踏みする一戦。それぞれ期するところはあるでしょう」(競馬誌ライター)
近年では珍しい3人もの弟子を取っている根本調教師だが、騎手としては1985年の天皇賞・秋(G1)でギャロップダイナに騎乗し、シンボリルドルフを破ったほか、87年の日本ダービー(G1)をメリーナイスで制覇。20年間で通算235勝、うちG1を3勝した勝負強い騎手だった。
だが、98年に調教師へと転身後は、なかなか勝ち鞍は伸びず、これまで重賞制覇もないまま、2010年からは年間1桁勝利が続いている。新馬戦での勝利も丸山騎手騎乗で挙げた17年11月から遠ざかっている。
渾身の2頭出しで3年9か月ぶりの新馬戦勝利を狙う根本厩舎。久々となる特別な1勝を届けるのは、果たして“次男坊”野中騎手か、それとも“末娘”菜七子騎手か。あるいは“長男坊”丸山騎手がストップをかけるのか。日曜新潟の5Rは要注目だ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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