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JRA「超光速の粒子」アグネスタキオンの“長男坊”が輝いた16年前の夏、そして「非業の死」を遂げた10年前の春

JRA「超光速の粒子」アグネスタキオンの長男坊が輝いた16年前の夏、そして「非業の死」を遂げた10年前の春の画像1

 29日、新潟競馬場で行われるのは、2歳のマイル重賞・新潟2歳S(G3)。現在の芝外回り1600m、左回りコースで施行されるようになった2002年から、今年でちょうど20年目を迎える。

 キャリアの浅い若駒が集い、日本で最も長い659mの直線が待ち受けるこのコース。とにかく道中はスローペースで流れ、瞬発力勝負になりやすいのが特徴だ。

 この傾向を裏付けるように勝ち馬19頭のうち、実に16頭が差しか追い込み。逃げ切り勝ちは1頭もいない。そんな追い込み馬が台頭しやすいレースで、最もインパクトある勝ち方を見せた1頭が05年の覇者ショウナンタキオンだろう。

 その名前からも分かるとおり、父は01年の皐月賞馬アグネスタキオン。4戦無敗のまま故障で引退した父の無念を晴らすべく、その初年度産駒として05年にデビューした。

 馬名にある「タキオン」とは「超光速の粒子」という意味で、父アグネスタキオンはその名の通り、数少ないキャリアで名前負けしない圧倒的なスピードを見せつけた。その父に種牡馬としての重賞初勝利をプレゼントしたショウナンタキオン。05年9月4日、重馬場で披露した豪脚は、まさに父の現役時代を彷彿とさせる切れ味だったといえるだろう。

 新潟芝1400mのデビュー戦を快勝して臨んだショウナンタキオンは、初重賞の2戦目で堂々1番人気に支持された。

 7枠13番の外目の枠からスタートで大きく立ち遅れると、最後方17番手をケイコアデージョと併走。田中勝春騎手は、最後の長い直線でショウナンタキオンを大外に持ち出し、末脚勝負に懸けた。

 直線を向いた時点ではまだ最後方にいたものの、鞍上がゴーサインを送ると、瞬時にトップギアに。残り400m地点でムチが入ると、あっという間に先頭に躍り出た。

 ショウナンタキオンは、重馬場に苦しむライバルたちを尻目にそのスピードを落とすことなく、最後は2着馬に5馬身差をつけた。直線だけで16頭をごぼう抜きにした上がり3ハロンの時計は重馬場としては驚異の33秒9。2着に入った上がり2位のニシノフジムスメの35秒3を実に1秒4も上回る、まさに超光速の末脚だった。

 その後はデビュー3連勝を懸けて、朝日杯FS(G1)に出走。3番人気に支持されたが、フサイチリシャールの4着に敗れた。3歳以降は、期待に沿う成績を残せなかったショウナンタキオンだが、新潟競馬場には非常に縁がある馬だった。

 皐月賞(G1)で17着に大敗した後に休養に入り、1年ぶりに実戦復帰したのがデビュー戦と同じ新潟芝1400mが舞台の谷川岳S(OP)。そのレースは5着に敗れたが、2か月半後には新潟マイル戦で自己条件(1000万下=現2勝クラス)を完勝。新潟2歳S以来、1年10か月ぶりの美酒を味わった。

 復調したかに思われたが、1600万下(現3勝クラス)に昇級後は連戦連敗。5歳夏から7歳秋まで2年2か月という長期休養を挟み8歳春まで現役を続けた。

 ショウナンタキオンにとって生涯最後のレースは新潟のマイル戦だった。2桁着順が当たり前になっていた8歳馬が出走したのは11年4月に行われた魚沼S。重賞制覇を果たした舞台で6年ぶりに輝きを取り戻すか……。そんな淡い期待を胸に中団を進んだショウナンタキオンだったが、4コーナーで前に崩れ落ちるように転倒し、競走中止。直線を迎えることなく非業の死を遂げた。

 11歳で早逝したアグネスタキオンの初年度産駒として、ショウナンタキオンが輝いたのはほんの一瞬だったかもしれない。しかし、16年前の夏、我々に与えた衝撃は今後も色褪せることはないだろう。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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