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JRA「デビュー24年」重賞勝ちゼロの苦労人が掴んだチャンス! 降ろされた馬が重賞勝ちの屈辱から4年、武豊も折り合えなかった“暴れん坊”に再登板

JRA「デビュー24年」重賞勝ちゼロの苦労人が掴んだチャンス! 降ろされた馬が重賞勝ちの屈辱から4年、武豊も折り合えなかった暴れん坊に再登板の画像1

 29日、新潟競馬場では芝1400m戦の朱鷺S(L)が行われる。19年のきさらぎ賞(G3)優勝馬ダノンチェイサーや、G2に出走した近2走で連続3着と好走のカイザーミノルなど、実績馬が名を連ねている。

『netkeiba.com』の予想オッズによると、先述の2頭に続く3番人気に推されているのがダディーズビビッド(牡3歳、栗東・千田輝彦厩舎)だ。前走は葵S(G)で2番人気に推されたが、16着に大敗。今回が仕切り直しの一戦となる。

「引っ掛かってしまった。スイッチが入ってコントロールが利かなかったですね」

 レース後に出された武豊騎手のコメントでも伝わるように、それまでダディーズビビッドを手中に収めていた名手をもってしても、スイッチが入った“暴れん坊”を制御できなかった。

 初めての1200m戦だった前走。好スタートを決めるとスッと好位に取りつき、流れに乗っていると思った矢先、頭を激しく振るシーンもあったダディーズビビッドは折り合いを欠いてしまう。

 武豊騎手が必死に手綱を引っ張って宥めるも、一度リズムを崩した影響か、直線で外に持ち出されても全く伸びなかった。

「武豊騎手の他にダディーズビビッドには、大野拓弥騎手や浜中俊騎手が乗ってきましたが、みんな折り合うのに苦労していました。しかし、ただ1人だけピタリと折り合い、完璧にエスコートした騎手がいます。それが、竹之下智昭騎手です」(競馬記者)

 今回、ダディーズビビッドの手綱を任された竹之下騎手は、デビュー24年目で10月に42歳を迎えるベテランジョッキーだ。同期に池添謙一騎手や酒井学騎手などG1ジョッキーがいる。

 98年にデビューした竹之下騎手は、デビュー初勝利が降着でお預けになるアクシデントがあったものの11勝。2年目は13勝、3年目は16勝と僅かではあるが着々と勝ち星を年々増やしていった。ただ、年間勝利数が二桁となるのは現時点では3年目が最後だ。4年目以降は、勝利数一桁が続いており、0勝の年も珍しくない。現在までJRA通算93勝、重賞勝ちにもまだ縁がない苦労人である。

 そんな竹之下騎手を語る上で欠かせない馬が、テイエムジンソクだ。同馬は、デビュー戦から18戦目まで竹之下騎手がずっと乗ってきた苦楽を知るパートナーだったが、19戦目で乗り替わりとなるという憂き目に遭った。

「テイエムジンソクが竹之下騎手から替わった途端、一気の3連勝。その後、重賞2勝を挙げると、G1でも2着に好走しました。それまで乗り続けていた竹之下騎手にとって、最大のチャンスを逃がしたことは、相当悔しい想いをしたことでしょう」(同記者)

 しかし、その後も腐らず地道に騎手を続けた竹之下騎手の努力が報われたのが一昨年。「正直、無理だと思っていた」と、語っていた日本ダービー(G1)初出場を果たした。

 武豊騎手は自身のブログにて、「性格のいいナイスガイ。いい馬に乗れば、腕は見せられるんです」と評価している竹之下騎手の再登板。今週末の朱鷺Sでも、その腕が見られることに期待したい。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

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