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JRA 函館スプリントS(G3)ナムラクレア裸同然「50キロ」でも消せぬ不安…浜中俊「僕には到底乗ることが出来ない」14年ぶりの覚悟

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ナムラクレア

 今週末から開幕する夏の函館競馬。12日にはサマースプリントシリーズの開幕戦・函館スプリントS(G3)が行われる。

 快速自慢が北の大地に集う中、登録馬発表の段階から大きな注目を集めていたのが、桜花賞(G1)3着からこの舞台に臨むナムラクレア(牝3歳、栗東・長谷川浩大厩舎)だ。

 昨年8月のデビュー戦こそマイルの距離で3着に敗れるも、未勝利の身で挑んだフェニックス賞(OP)で見事に初勝利。続く小倉2歳S(G3)で重賞初勝利を決め、持ち前のスピードを武器に1200m戦を連勝した。

 以降はマイル路線を睨みつつ距離を延ばし、ファンタジーS(G3)の2着を挟んで挑戦した阪神JF(G1)は5着。フィリーズレビュー(G2)で2着に敗れたものの、大目標の桜花賞で3着と善戦。牝馬の短距離路線で安定した戦いぶりを見せてきた。

 初めて古馬と対戦する今回、2勝を挙げている得意のスプリント戦に満を持して出てくるとあって、周囲の期待は自然と高くなっている。

 加えて大きな話題となったのが、負担重量の「50キロ」だ。3歳馬の定量52キロに牝馬の2キロ減が加わり、トップハンデ58キロを背負うライトオンキューと8キロ差の最軽量となった。2歳戦とはいえスプリント重賞の勝ち馬であり、G1・3着馬が斤量でも恵まれるとなれば、この馬に逆らうということは考えづらいだろう。

浜中俊「僕には到底乗ることが出来ない」14年ぶりの覚悟

 しかし、この「負担重量50キロ」が良いこと尽くめとは限らない。不安要素として囁かれているのが、騎手への影響だ。

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浜中俊騎手 撮影:Ruriko.I

 キャリア3戦目の小倉2歳Sから継続して手綱を取っている浜中俊騎手だが、負担重量50キロ以下でレースに臨むのは、49キロのウイントリガーに騎乗した2008年小倉記念(G3)以来、なんと14年ぶりのことになる。

 直近では2019年のCBC賞(G3)で、アウィルアウェイに51キロで騎乗したのが最軽量。『中日スポーツ』のコラムで当時のことを振り返った際には「だいぶしんどかった」と口にしており、「52キロからが乗れる斤量」と明言していた。

 その「52キロ」も直近3年は34回の騎乗で2勝、勝率5.9%と苦戦気味。同コラムで「僕には到底乗ることができない」と語っていた斤量50キロまで絞るとなると、プラス要素よりも体調面への影響が心配になってくる。

 レースに向けた調整というと競走馬の方に意識が行きがちだが、時に過酷な調整を行いながらレースに向けて己の肉体を仕上げるのは鞍上も同じ。その過酷さを物語る例として、西谷凜騎手が体重の調整に失敗したため保護ベストを不正に改造してレースに挑み、3カ月間の騎乗停止という重い処分を受けたのは記憶に新しい。

 それでも、無理を承知の上でコンビ継続を志願したのは、この先に待つ秋の大舞台を見据えているからだろう。ナムラクレアを管理する長谷川師は「秋はスプリンターズS(G1)に行きたい。浜中騎手も50キロで乗ると決めてくれたし、賞金を加算して一緒に頑張ってもらいたい」と、騎手の心意気に触れながらエールを送った。

 初夏の函館からはじまる、秋の中山へと続く道。鞍上の決死の覚悟が実り、大舞台への大きな一歩を踏み出すことができるか。

 まずはこの土日で計7鞍に騎乗する浜中騎手に精彩を欠くシーンがないかチェックしつつ、日曜メイン・函館スプリントSのパドックではナムラクレアの仕上がりはもちろんのこと、浜中騎手の雰囲気からも目が離せない。

(文=木場七也)

<著者プロフィール>
 29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。

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