JRA【プロキオンS(G3)展望】G1で2着の「2億円馬」が三度目の正直!? ダートで覚醒へ、オルフェーヴル産駒ラーゴムにも注目!
10日、小倉競馬場ではダート重賞のプロキオンS(G3)が行われる。通常は中京1400mが舞台だが、京都競馬場が改修工事中のため、この時期は変則開催。2年前は阪神1400m、昨年は小倉1700mで開催された。今年は昨年と同じ小倉が舞台となる。
ダートでは2戦いずれも負けているが、昨年の宝塚記念(G1)で2着に好走したユニコーンライオン(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)をまずは取り上げたい。
昨春は3勝クラス→鳴尾記念(G3)を連勝して春のグランプリに挑戦。敢然と逃げの手を打つと、クロノジェネシスには交わされたが、直線でレイパパレを差し返しての2着に好走した。
ライオンレースホースが総額2億円で募集した期待馬がついに本格化すると思われた矢先、秋の京都大賞典(G2)を前に蟻洞(蹄に空洞ができる病気)を発症し、長期休養に入っていた。
約1年ぶりの実戦は、脚元への負担も考慮してか自身3度目のダート戦。血統的にはこなしても不思議はないが、過去2回のダートはいずれも二桁着順とさっぱり。
まずはひと叩きしてからという陣営の思惑も見え隠れするが、1週前追い切りでは栗東坂路で自己ベストの50秒7をマーク。状態自体は仕上がっており、「ダートに適性はある」という陣営のコメントからも、三度目の正直で好走してもおかしくはないだろう。
ユニコーンライオンと同じく芝の重賞ウイナー、ラーゴム(牡4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)にも注意が必要だ。
2歳から3歳春にかけて、オーソクレースやワンダフルタウン、ヨーホーレイクと渡り合い、4戦目できさらぎ賞(G3)を制覇。3歳春は皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)にも出走した。
今年2月の京都記念(G2)までは芝の中距離路線を歩んでいたが、陣営はダート路線転向を決断。初戦の仁川S(L)は後方から追い込んで6着に敗れたが、2戦目となった前走・吾妻小富士S(OP)はハイペースを2番手から押し切る強い内容でダート初勝利を収めた。
今回がダート3戦目のラーゴムだが、砂上で覚醒する可能性は高そう。父のオルフェーヴルは現役時代にダートで走ったことはなかったが、産駒は芝ダート兼用。マルシュロレーヌを筆頭にジャスティン、ショウナンナデシコなどダート路線に転じて成功を収めている馬も多い。
母系はゴリゴリのアメリカダート血統で、ラーゴムの半姉アドマイヤメティス(父ディープインパクト)はダートの中距離で3勝している。ダート路線で覚醒する下地は十分ある。
芝での実績がある2頭に対抗するのはダートG1ウイナーのサンライズノヴァ(牡8歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
2019年の南部杯(G1)をはじめこれまでダート重賞5勝の実績はここでは断然。2年前に59kgを背負って快勝した当レース(阪神1400m)も、そのうちの一つだ。
ただし、20年12月以降は9戦して「0-1-0-8」。馬券に絡んだのは昨年のJBCスプリント(G1)2着のみで、今年もフェブラリーS(G1)8着、かしわ記念(G1)6着と凡走が続いている。
ピークが過去だったことは間違いない事実だが、初の小倉で変わり身を見せることはできるか。
アメリカンシード(牡5歳、栗東・藤岡健一厩舎)は、デビューから芝を使われ、皐月賞にも出走した。その後、ダート路線に転向すると怒涛の3連勝を飾ったが、オープン昇級後は4戦して平安S(G3)での2着があるものの、他の3戦は13着以下に大敗している。
気分良く逃げることができれば一発があってもおかしくないが、脆さが露呈すれば惨敗の可能性も……。
昨年末の名古屋グランプリ(G2)を制したヴェルテックス(牡5歳、栗東・吉岡辰弥厩舎)もチャンスをうかがう。2走前には川崎記念(G1)でも3着するなど、2000m以上の長距離で持ち味を発揮している。
今回は6着に敗れた前走・ダイオライト記念(G2)から一気に700mの距離短縮となるが、小倉1700mは「1-3-2-0」と、複勝率は100%の舞台。園田でも1700mでは2戦2勝しており、この距離でこその馬かもしれない。
福永祐一騎手と初コンビを結成するアルドーレ(牡7歳、栗東・西村真幸厩舎)も侮れない。これまでオープンを2勝しているが、そのうちの1勝が今回と同コースの阿蘇S(OP)だった。脚抜きがいい馬場(稍重、重、不良)では、9戦すべて掲示板を確保しており、ここも軽視は禁物だろう。
この他には、昨年の当レースで12番人気ながら逃げて3着に好走したメイショウウズマサ(牡6歳、栗東・安田隆行厩舎)、20年東海S(G2)などダートのオープン級3勝の実績があるエアアルマス(牡7歳、栗東・池添学厩舎)、2走前のアンタレスS(G3)で3着に入るなど、近5走は全て馬券圏内と堅実なニューモニュメント(牡6歳、栗東・小崎憲厩舎)などにもチャンスはありそう。
1年ぶり復帰のユニコーンライオンがダートでもその実力を見せるのか、ラーゴムがダートで2連勝を飾るのか、それとも正真正銘のダート馬が意地を見せるのか。どちらにしても抜けた存在がいない今年のプロキオンSは混戦必至だろう。発走は10日、15時35分を予定している。
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