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元JRA藤田伸二氏「幸四郎も凄かった」初重賞初勝利で思い出した25年前、武豊“全弟”による史上唯一の快挙とは

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今村聖奈騎手

 3日、小倉競馬場ではサマースプリントシリーズ第2弾のCBC賞(G3)が行われ、新人の今村聖奈騎手のテイエムスパーダ(牝3歳、栗東・五十嵐忠男厩舎)が優勝。48kgの軽ハンデを味方にハナを切ると、直線でも後続に影を踏まさず。1分5秒8の日本レコードタイムでまんまと逃げ切った。

 重賞初騎乗にもかかわらず度胸満点の騎乗を見せた今村騎手は、数十分後の最終レースも連勝し、只者ではないところを改めて見せつけた。

 そんな今村騎手に言及したのがJRA通算1918勝を挙げた藤田伸二氏だ。

 レース後に自身のTwitterを更新した藤田氏。「今村騎手凄かったね」と笑顔の顔文字を添えて祝福すると、「初重賞騎乗で勝利は凄い事だ!」と最大級の賛辞を送った。

 ルーキー騎手による「重賞初騎乗初制覇」という快挙を見届けた藤田氏だが、その脳裏には、25年前のある出来事も蘇ったようで、Twitterには「幸四郎の初勝利が重賞も凄かったけどな!」とも書き込んだ。

武豊“全弟”による史上唯一の快挙とは…

「『幸四郎』というのは武豊騎手の弟、武幸四郎調教師のことですね。2017年に騎手を引退後、18年には栗東に厩舎を開業。昨年は34勝を挙げるなど、調教師として着実に実績を積んでいます。

その武幸師は1997年から20年間、騎手として過ごしました。177センチという高身長で減量に苦労した騎手生活でしたが、通算693勝を挙げ、重賞も28勝しています。藤田氏も言及したように、騎手デビュー後の初勝利をなんと重賞で挙げました。しかも、それをデビュー2日目に達成したんです」(競馬誌ライター)

 武幸騎手(当時)がデビューしたのは1997年3月1日。初日は8鞍、翌日にも6鞍の騎乗依頼があった。この数字からも期待の大きさがうかがえるだろう。上位人気馬での騎乗もある中、なかなか結果には結びつかず、14鞍中13鞍を終えて、最高着順が3着1回だけという試練を味わっていた。

 そして迎えた日曜メインは伝統のマイル重賞、マイラーズC(G2)。武幸騎手が騎乗したのはオースミタイクーンという6歳馬だった。それまでオープンクラスで2勝していたものの、重賞ではさっぱりという戦績。前走の宝塚記念(G1)から8か月ぶりの休み明けとあって、14頭立ての11番人気の超大穴でもあった。

「オースミタイクーンは父の武邦彦調教師(故人)が管理していました。かわいい息子のためにと、重賞の舞台をお膳立てした形。ただ、それまでの(オースミタイクーンの)実績から苦戦は免れないだろうと誰もが思っていたはずです。

ところが武幸騎手はハイペースの中、中団から競馬を運ぶと、4角では仕掛けをワンテンポ遅らせる冷静な騎乗。手応え抜群で阪神の急坂を迎えると、必死の右ムチを振るい、オースミタイクーンがこれに応えてグイッとひと伸び。フラワーパークなど強豪メンバー相手に金星を挙げました。

このときの2~5着は南井克巳、熊沢重文、田原成貴、蛯名正義という名だたる騎手ばかり。そんななか、デビュー2日目の新入りが快挙を遂げたのですから……。当時は今の今村騎手の勝利に負けず劣らずのフィーバーぶりでしたよ。

ちなみにこのレースには藤田氏も6番人気のマルカダイシスに騎乗していましたが、7着に敗れています。自身の目の前で起きたルーキーの快挙を思い出したのでしょう」(同)

 今村騎手の活躍で、25年前のあの日を思い出したオールドファンは藤田氏だけではなかったはずだ。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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