エフフォーリア「逆襲の秋」見据える史上3頭目の大偉業
昨年はG1・3勝を挙げ、年度代表馬にも輝いたエフフォーリア(牡4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)。3歳馬ながら古馬の一線級を次々と打ち倒した走りから、今年の古馬王道戦線では敵はいないと思われていた。
だが一転して今春は大阪杯(G1)、宝塚記念(G1)に参戦するも共に惨敗、期待を裏切る結果に終わってしまっている。
逆襲の秋へ向けて、現在はノーザンファーム天栄にて放牧中。エフフォーリアは18日から本格的にトレーニングを再開したようだが、それに際して同場の木實谷雄太場長が気になるコメントを残している。
木實谷場長は「昨秋は2戦しか使えなかったのですが、今年は3つ使えるくらいの丈夫さがついてきたと思っています」と秋に3戦も可能であることを示唆しているからだ。
「逆襲の秋」見据える史上3頭目の大偉業
エフフォーリアに関しては既に今秋は天皇賞・秋(G1)から始動することが所有するキャロットファームの秋田博章代表の口から明かされており、そこから秋3戦となればジャパンC(G1)、有馬記念(G1)と転戦していくと考えるのが妥当だろう。
天皇賞・秋、ジャパンC、有馬記念は“秋古馬3冠”と呼ばれることもある、中長距離を主戦場とする古馬にとっては王道ともいえるローテーションだ。だが約1か月おきに行われるビッグレースを3つ転戦していくことは簡単ではなく、特にトップホースが出走するレースを絞る傾向にある昨今では、この3レースを皆勤する馬は少ない。
ちなみに直近3年で秋古馬3冠レースの全てに出走している馬は19年のスワーヴリチャード、20年のキセキ、21年のユーキャンスマイル、モズベッロの4頭しかいない。エフフォーリアと肩を並べるような“超一流”クラスの馬の秋古馬3冠皆勤の例は、17年のキタサンブラックまで遡る。
そのキタサンブラックでさえ天皇賞・秋、有馬記念には勝利したものの、ジャパンCは3着に惜敗。過酷なローテーションの中で3戦ともに勝ちきるのは並大抵のことではなく、秋古馬3冠を達成したのは2000年のテイエムオペラオー、2004年のゼンノロブロイの2頭しか存在しない。
今春の主役としてG1レースに挑んだエフフォーリアであったが、終わってみればクラシック戦線で下したはずのタイトルホルダーに現役最強の座を明け渡すこととなってしまった。しかし秋古馬3冠の大偉業を達成すれば、その評価も覆り、2年連続となる年度代表馬に輝くことも可能なはずだ。
春は関西での2戦で不甲斐ない結果に終わったが、幸いにも秋古馬3冠レースはいずれも関東で開催。輸送の負担が軽減し本来の力を取り戻せれば、エフフォーリアは秋古馬3冠の大偉業達成に十分なポテンシャルを秘めている。
当然ながら今後のローテーションは状態を見ながらの選択になるだろうが、秋の古馬G1・3レースの全てでエフフォーリアが走るとなれば期待は膨らむばかり。失意の春からの逆襲、そして史上3頭目の大偉業の達成へ、エフフォーリアの今秋の走りに期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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