中京記念は「小倉千八マイスター」あの男にお任せあれ?
24日、小倉競馬場では今週末唯一の重賞・中京記念(G3)が行われる。
小倉芝1800mという例年とは異なる条件下には、16頭の小倉巧者のマイラーや中距離馬が集まった。
小倉芝で2勝以上している馬だけでも、内枠から順にダブルシャープ、アーデントリー、モズナガレボシ、ワールドウインズの4頭。他にも2年前の小倉大賞典(G3)を制したカデナなど、小倉巧者が勢ぞろいした印象だ。
そんななか、昨年12月のターコイズS(G3)を勝っているミスニューヨーク(牝5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)も小倉を得意とする1頭である。小倉芝の通算成績は「1-1-1-1」で、複勝率は75%。唯一の馬券圏外が昨年当レースの4着と大崩れしていない。
脚質的には展開待ちのところはあるが、調教ではいい動きを披露。「夏は牝馬」「夏は格より調子」という格言もあり、前走ヴィクトリアマイル(G1)10着から巻き返す可能性は十分考えられる。前日16時半時点の単勝人気は、ファルコニアに次ぐ2番人気と多くのファンから支持されている。
注目の鞍上は、今回で5走連続のコンビとなるM.デムーロ騎手だ。
6月以降の約2か月間で8勝しているが、2着が2倍以上の17回(23日現在)と勝ち切れないレースも多い。特にこの夏は苦戦している印象で、重賞では3月のファルコンS(G3)を制して以降、23連敗中である。
波に乗れていないのは気になるところだが、実はデムーロ騎手は現役屈指の小倉芝1800m巧者。1999年の初来日以来、このコースでは26回騎乗して「14-2-2-8」で、勝率はなんと53.8%にも上る。
これは、1999年以降に当該コースで20回以上騎乗機会がある136騎手の中では、断トツの勝率。2位の安藤勝己元騎手が35.3%、3位の武豊騎手が20.5%なので、その突出ぶりは「小倉千八マイスター」と呼ぶにふさわしい。
このコースならデムーロ騎手の腕を素直に信じても良さそうだが……。
「ローカルということもあって、もともと小倉での騎乗機会はそう多くありません。デムーロ騎手が最後に小倉競馬場で騎乗したのは18年の夏までさかのぼります。デムーロ騎手は前年の17年に自己ベストとなる年間171勝を記録し、18年も153勝。2年連続で全国リーディング2位に入っています。まさにC.ルメール騎手とともに競馬界を制圧。『デムルメ時代』のど真ん中でした。
ところが、翌19年に成績が急激に悪化。JRA所属騎手になってから初めて100勝を割り込むと、20年と21年はリーディングトップ10圏外に落ち込んでしまいました。デムーロ騎手は成績が落ち始めた19年以降は小倉では騎乗していなかったということになります」(競馬誌ライター)
成績が下降して以降、初めての小倉で全盛期の活躍を思い出せるか。得意舞台での重賞騎乗を浮上するきっかけにしたいところだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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