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川田将雅「母の忘れ物」に立ちはだかる“元カノ”たち…秋華賞のカギを握る色男の存在

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アートハウス

 16日、阪神競馬場では3歳牝馬三冠の最終戦・秋華賞(G1)が行われる。

 何と言っても今年は桜花賞(G1)とオークス(G1)を制している二冠馬・スターズオンアースに注目が集まるが、三冠阻止を目指す刺客も多士済々。中でも有力候補となるのがアートハウス(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)だ。

 同馬は秋華賞の前哨戦であるローズS(G2)を快勝。騎乗した川田将雅騎手も「二冠馬との対戦になりますが、胸を張って秋華賞を迎えたいです」と、G1獲りに向けた手応えを口にしている。

 何より強調したいのが、アートハウスで挑む今回の秋華賞が川田騎手にとっても、さらには管理する中内田調教師にとっても、大きな意味を持つということだ。

 アートハウスの母・パールコードといえば、開業してまだ間もない頃の中内田厩舎を支えた看板馬の一頭。2016年の秋華賞では厩舎として初めてのG1挑戦となった中、4番人気で2着に入る健闘を見せた。

 しかし、今となってはその“2着”は悔しい思い出。パールコードは続戦したエリザベス女王杯(G1)でも古馬の強豪に混じって4着に食い込んだが、その後に待っていたのは期待を裏切り続ける苦しい戦いでもあった。

 4歳時はG3でも勝利はおろか馬券に絡むことすらできず、10月のカシオペアS(OP)で4番人気6着に終わったのを最後に現役引退。3歳秋にG1タイトルまで0秒1差と迫った有望株は、「主な勝ち鞍:ミモザ賞(1勝クラス)」を更新できぬままターフを去った。

 あれから4年、パールコードの娘が中内田厩舎からデビューを果たす。鞍上にはもちろん川田騎手が迎えられ、新馬戦を完勝。2戦目のエリカ賞(1勝クラス)は川田騎手が海外遠征中だったため乗り替わりとなったものの、これまでの5戦中4戦で川田騎手が手綱を取っている熱の入りようだ。

川田騎手「想いを優先させていただいた結果」

 その中でもアートハウスへの強い思いが垣間見えたのが、今年のオークスでの出来事。川田騎手は桜花賞をスターズオンアースで優勝したにもかかわらず、二冠目のオークスでは桜の女王ではなく、それまで重賞勝利もない2勝馬のアートハウスに乗ることを選んだ。

 その理由こそ、母パールコードで残した“悔い”。オークス前の共同会見でも「僕のパールコードへの想いを優先させていただいた結果」と乗り替わりについて明言したように、アートハウスをG1馬にするというのが川田騎手と中内田調教師の願いなのだ。

 最初のチャンスだったオークスは7着という結果に終わったが、その時に露呈した「走りのバランスを保てずに崩れた」という不安要素については、ローズS後には「ある程度改善することができた」という前向きなコメントが出されている。

 さらには「本番はさらに良い状態で行ける感触を持ちました」という言葉も出ており、勝ち負けの手応えも十分。人馬ともに因縁の舞台となる秋華賞で、母の忘れ物を掴み取る準備は整ったと言えよう。

 しかし、当然ながら立ちはだかる相手も難敵ばかり。それを誰よりも理解しているのが、他でもない川田騎手だろう。

 現状の予想オッズを見ても、オークスの1着から3着馬が今回も有力視されているのだが、驚くべきことに川田騎手はその3頭すべてに騎乗した経験がある。

 オークスを勝ったスターズオンアースは、川田騎手の手腕がG1馬に導いたと言っても過言ではない。激戦の桜花賞は最後の直線で他馬とぶつかる不利がありながら、力強く抜け出して2着馬とはハナ差、タイム差なしの勝利。テン乗りで見事にG1タイトルをもたらしている。

 また、オークス2着のスタニングローズも、昨年6月の未勝利戦で初勝利に導いたのが川田騎手。さらに今年3月のフラワーC(G3)で重賞初勝利をもたらしたのも川田騎手で、コンビ2戦2勝という好相性を誇っている。

 そしてオークス3着のナミュールも、昨年9月の新馬戦で勝利に導いたのが川田騎手だった。JRAを代表するトップジョッキーであり、多くの騎乗依頼が舞い込む頼れる存在とはいえ、上位人気すべてに騎乗経験があるという状況でG1レースを戦うというのはレアケースだろう。

 それでも、川田騎手の胸の内で燃えているのは「お母さんの代わりにこの馬をG1馬にしてあげたい」というアートハウスへの強い気持ち。

 今回の秋華賞の裏テーマとも言える、川田将雅騎手を中心としたドラマ。魅力をよく知るライバルたちを蹴散らし、6年越しの悲願を達成することができるのか。その結末から目が離せない。

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