武豊「見学回避」も主役転落の淋しい秋…人気急落でも侮れない名手の底力
G1開催のなかった先週の中休みも明け、今週は秋華賞(G1)、来週は菊花賞(G1)と、2週続けて3歳世代のラスト一冠を締めくくるレースが行われる。
前者は春の二冠を制したスターズオンアースの牝馬三冠が懸かる一方で、後者はG1馬が不在の大混戦。昨年の菊花賞制覇から現役最強馬に上り詰めたタイトルホルダーに続く、ニューヒーローの登場が待たれる。
いずれも注目のレースではあるが、どことなく淋しさを感じてしまうのは、武豊騎手の騎乗馬の人気がないことかもしれない。牡馬にドウデュース、牝馬のウォーターナビレラを擁した春は、いずれも主役級の人気馬だった。
しかし、ドウデュースがダービー馬になり、凱旋門賞(仏G1)に挑戦するほどの結果を出したものの、当然ながら菊花賞参戦はなし。ウォーターナビレラも桜花賞(G1)でハナ差2着に善戦したが、距離を延長したオークス(G1)は13着に大敗。巻き返しを期したクイーンS(G3)でも1番人気で10着と期待を裏切った。
菊花賞に関しては、神戸新聞杯(G2)で12番人気のヤマニンゼストを2着に導いたことにより、何とか見学という最悪の事態を回避することに成功したものの下馬評はそれほど高くない。
人気急落でも侮れない名手の底力
とはいえ、どちらもまったく勝算がないというわけではない。
武豊騎手は秋華賞で過去、1998年ファレノプシス、2002年ファインモーション、2005年エアメサイアで3勝と得意にしており、岩田康誠騎手と同じく最多勝タイ。昨年に続く阪神での開催も、桜花賞男にとっては願ったり叶ったりだ。
ウォーターナビレラも近2走は不可解な敗戦が続いたが、オークスはピークの出来で走った桜花賞の反動があった可能性を陣営も示唆。クイーンSにしても武豊騎手から「思い当たることはない」というコメントが出ていたように、敗因は肉体的な衰えというよりもメンタルの部分がカギを握っている雰囲気である。
そういう意味では、輸送もなく大崩れしていない阪神への舞台替わりは歓迎だろう。
また菊花賞も自身初のG1勝ちとなった1988年スーパークリークをはじめ、1996年ダンスインザダーク、2000年エアシャカール、2005年ディープインパクト、2019年ワールドプレミアで5勝を挙げており、こちらは単独最多勝となる。
神戸新聞杯で初騎乗のヤマニンゼストを2着に持ってきたが、このときは優先出走権を取るために思い切った後方待機策でのもの。2度目のコンビとなる今回は、何かしらの秘策を用意していても驚けない。
10日のマイルCS南部杯(G1)では、6番人気ヘリオスを巧みに操って、フェブラリーS王者カフェファラオをハナ差まで追い詰める好騎乗を披露したばかり。人気がないからと侮っていると、最多勝男の底力を思い知らされることになるかもしれない。
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