
「強い」「半端じゃない」武豊が絶賛した逸材が芝挑戦、陣営の采配は吉か凶か!?

10日に東京・ダート1600mで行われたグリーンチャンネルC(L)は、3歳馬デシエルトが圧巻のレコード勝ち。リステッド競走ながら勝ち時計1分33秒5は、2月のフェブラリーS(G1)でカフェファラオがマークした1分33秒8をコンマ3秒上回る驚きのものだった。
レース後には、鞍上の戸崎圭太騎手が「すごく強かった」と絶賛すれば、過去にダートG1・4勝のトランセンドを育てた安田隆行調教師も「びっくりしました」と舌を巻いた。ダート界に新たなG1級の大物候補が現れたと言っても過言ではないだろう。
そのデシエルトと過去に接戦を演じたジュタロウ(牡3、栗東・河内洋厩舎)という馬を、どれだけのファンが覚えているだろうか。
デビュー戦の舞台となった阪神・ダート1800mでは、2着に2秒4差をつけて圧勝したジュタロウ。手綱を取った武豊騎手も「強いね。スタミナが半端じゃないですよ」と絶賛し、陣営に「本気で(この馬と)ケンタッキーダービー(米G1)へ行きたい」と訴えかけたというのだから、そのポテンシャルは相当なものだったに違いない。
しかし、2戦目で上述したデシエルトに敗れてからは、好走と凡走を繰り返す日々……。

2走前に1勝クラスこそ勝ち上がったものの、重賞初挑戦となった前走のユニコーンS(G3)では10着と惨敗。主戦の武豊騎手も「まだいろいろ課題はあるね」と肩を落とした。
これで戦績は5戦2勝となり、圧巻のデビュー勝ちを決めた当時の期待感とはどこか物足りない結果を歩んでいる。
秋初戦としてダートではなく芝へ初挑戦
そんなジュタロウが約4か月ぶりの秋初戦として、今週末の能勢特別(2勝クラス)で復帰予定。今回はダートではなく芝へ初挑戦するようだ。
ジュタロウの父アロゲートは、生涯でダートG1を4勝した米国馬。日本で走っている産駒は主にダートを使う馬が多く、これまで芝を走った産駒3頭はいずれも4着以下に敗れている。適性を考えると、必ずしも芝が合うとは強調できない成績だ。
では何故、陣営は芝挑戦へ踏み切ったのか。その理由の一つとして、ダートでの道悪実績が加味されているかもしれない。
「ジュタロウの過去2勝は、どちらもダートの『稍重』や『重』とスピードが求められる道悪でのもの。その際は、いずれも2着馬を引き離す高いパフォーマンスを発揮しています。
対して他の3戦はいずれも良馬場での敗戦。その中には9着や10着といった惨敗もありました。
そういった戦績を踏まえ、パワーが求められるダートよりもスピードが求められる芝への適性を、陣営は感じているのかもしれません」(競馬誌ライター)
確かに、時計の速いダートの道悪で好結果がでているのであれば、1度芝を試してみたくなるのは納得がいく。無論、走ってみないとわからないが、これをキッカケに新たな素質が開花する可能性は十分あるだろう。
直近でも、先週の京都大賞典(G2)を制したヴェラアズールのように、ダートでは2勝クラスを勝ち上がれずにいた馬が、芝転向後に5戦して一気に重賞勝ちを挙げるまで出世した成功例もある。ジュタロウにとっても、今回の芝挑戦が大きな起爆剤となるかもしれない。
とはいえ、逆に芝挑戦が裏目にでたケースもしばしば見られる。冒頭で挙げたデシエルトやカフェファラオなどもそうだ。
前者は若葉S(L)こそ勝利したものの、皐月賞(G1)や日本ダービー(G1)ではいずれも二桁着順に完敗。後者も函館記念(G3)9着、安田記念(G1)17着とどちらも重賞では結果を出せずに終わっている。
ただ、2頭はその後ダートに戻して復活。こういった例もあるだけに、このチャレンジはたとえ失敗に終わっても、今後を見据える上では貴重な経験となるかもしれない。
果たしてジュタロウ陣営の采配は吉とでるか凶とでるか。今後のキャリアを占う意味でも、重要な一戦となりそうだ。
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