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天皇賞・秋ジャックドールに「7戦6敗」の天敵…差し馬台頭を意味する東京のカラクリ

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藤岡佑介騎手

 田辺裕信騎手とアスクビクターモアの勝利で盛り上がった先週末の開催だが、前日土曜に行われた東京のメインレース・富士S(G2)も本番のマイルCS(G1)に向けて、3歳世代が強さを見せたレースだった。

 勝ち時計の1分32秒0(良)は、東京で行われたマイルG1のNHKマイルC、ヴィクトリアマイル、安田記念を凌ぐ好タイム。直線一気で前を行く馬たちを飲み込み、3歳マイル王ダノンスコーピオン(3着)にも春のリベンジを果たした。

「直線に向いた時には負けないだろうという手応えでした。あとはG1タイトルだけです。G1ホースとなる資格がある馬だと思っているので、次は頑張ってほしいです」

 セリフォスでの会心の勝利をそう振り返った藤岡佑介騎手だが、「次は頑張って欲しいほしい」という言葉は少々意味深。2歳時の朝日杯フューチュリティS(G1)では、前哨戦のデイリー杯2歳S(G2)を快勝しながらも、本番でC.デムーロ騎手へと乗り替わった経緯もあるだけに、マイルCSでの継続騎乗が約束されていないという意味もありそうなニュアンスでもある。

 関係者に自身をアピールするためにも、今週末の天皇賞・秋(G1)は力の入るレースとなる。

 奇しくも自らの手綱で3歳世代の強さを証明した藤岡佑騎手だが、今回はお手馬のジャックドール(牡4、栗東・藤岡健一厩舎)とのコンビで3歳勢を迎え撃つ立場。デビューから一貫して11戦で芝2000mを使われてきたスペシャリストだけに、同じ距離が舞台となる天皇賞・秋は、G1タイトル奪取の最大のチャンスだろう。

 これまで逃げる競馬で好走を続けていたジャックドールだが、前走の札幌記念(G2)は逃げたパンサラッサを先に行かせてゴール前で競り落として快勝。大きなところを狙うためには「逃げにこだわらない」とコメントしていた陣営にとっても、非常に価値ある勝利だったはずだ。

 何が何でも逃げるタイプのパンサラッサが、天皇賞・秋に出走してくることも、前走でシミュレーションを終えた陣営にとっては、レースプランを組み立てやすくしてくれるのではないか。

 ただ一つ気になるのは、秋の東京開催で差しが決まりやすい傾向にあることだ。

差し馬台頭を意味する東京のカラクリ

 10月の東京開催で芝1800mから芝2000m条件で行われた特別戦は7鞍あるのだが、チャンスザローゼスの快勝したアイビーS(L)以外は、上がり3ハロン最速の馬が差し切りを決めていたのだ。

 2歳トップクラスの実力馬チャンスザローゼスこそ格の違いを見せつけたとはいえ、よほど抜けた存在でもないと、逃げ先行勢には苦戦が想定されそうな馬場の印象である。

 毎日王冠(G2)でレコード勝ちを決めたサリオスも、直線ではとても届きそうにない位置から盛り返しての差し切り。府中牝馬S(G2)で波乱の主役を演じたイズジョーノキセキにしても、完全に勝ちパターンに持ち込んでいたソダシを、直線12番手の後方から交わし去った。

 そして現在の“差し馬場”といえそうな傾向は、積極策を目論む馬にとって天敵だ。

 前門の虎パンサラッサをマークしたいジャックドールだが、後門の狼である他のライバルたちも怖い存在。逃げ先行勢が苦戦を強いられている逆境を乗り越えて、見事に大輪の花を咲かせることが出来るだろうか。

高城陽

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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