【天皇賞・秋(G1)展望】3歳イクイノックス&ジオグリフVS古馬シャフリヤール&ジャックドール! 世代交代か、防衛か…G1馬5頭が激突!
30日、東京競馬場では第166回天皇賞・秋(G1)が行われる。今年はフルゲート割れの15頭が登録。G1ウイナーは5頭が集結した。
今回は17日にJRAが発表したレーティング順に有力馬を紹介していきたい。
まず、単独首位のレーティング120ポンドを得たのは日本ダービー(G1)馬のシャフリヤール(牡4歳、栗東・藤原英昭厩舎)である。
当時無敗のエフフォーリアとの大接戦を制し、キャリアわずか4戦目で世代の頂に立ったのは昨年の5月だった。秋は神戸新聞杯(G2)から始動したが、極悪の不良馬場に苦しみ、まさかの4着。ジャパンC(G1)ではコントレイルとオーソリティに後れを取って3着と、2戦続けて苦杯をなめた。
今年の上半期は自身初となる海外遠征を敢行。3月にドバイ、6月にイギリスへと転戦した。日本馬5頭が大挙出走したドバイシーマクラシック(G1)では見事な復活勝利を飾ったが、続くプリンスオブウェールズS(G1)は、高低差20mの上り坂の前に5頭立ての4着に終わった。
国内復帰戦でコンビを組むのは、春2戦で跨ったC.デムーロ騎手だ。これまで短期免許で何度も来日しており、外国人騎手の中では最も日本の競馬に精通した騎手の一人でもある。すでにJRAではG1・3勝を含め、重賞を12勝。シャフリヤールとも3度目のコンビなら不安はないだろう。
ただし、東京競馬場で行われた重賞は過去28回騎乗しているが、「0-1-5-22」とやや苦手にしている。また、天皇賞・秋には伏兵馬に2度騎乗しているが、いずれも15着に大敗。やや癖のある東京芝2000mには、あまりいいイメージを持っていない可能性もあるだろう。
そんなC.デムーロ騎手とシャフリヤールに続くレーティング119を得たのは3歳馬2頭だ。58kgを背負うシャフリヤールに対し、3歳牡馬は2kg軽い56kgでの出走。この恩恵を生かしたいところだ。
シャフリヤールと1番人気を争うことになりそうなのは、イクイノックス(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)の方だろう。
今春はいずれも大外18番枠を引いた皐月賞(G1)とダービーで連続2着に好走した世代屈指の実力馬。皐月賞は先に抜け出したところをジオグリフに交わされ、ダービーでは先に抜け出したドウデュースを捉えきれず無冠に終わった。
東京コースはダービー2着以外にも出世レースの東京スポーツ杯2歳S(G2)を完勝している舞台。距離も2400mから2ハロン短縮はプラスに出る可能性が高い。
鞍上はデビュー戦から手綱を取り続けているC.ルメール騎手が務める。今年はいまだJRA重賞2勝と苦しい1年を送っているが、天皇賞・秋は18年から20年まで3連覇した得意レースの一つ。昨年はグランアレグリアで3着に敗れたが“令和の盾男”としての意地を見せたいところだ。
イクイノックスとレーティングで並んだジオグリフ(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)は、ダービー7着からの巻き返しを期す。
皐月賞を制覇した直後から福永祐一騎手は距離を課題に挙げていたが、やはり2400mは長かった印象だ。
1800~2000mの距離に限定すれば4戦3勝、2着1回と連対率100%を誇り、自在性のある脚質も強みの一つだ。同厩のイクイノックスとは過去1勝1敗。3度目の対決となるが、この距離なら負けられない。
今回で3戦連続のコンビとなる福永騎手。一度は降板が決まっていたものの、新コンビを予定していたC.スミヨン騎手が2か月の騎乗停止処分を受けてしまったため、改めて福永騎手にチャンスが巡ってきた。これを生かさない手はないだろう。
レーティング118を得てメンバー4位で並ぶのは、今春の国内外で行われた中距離G1を制した2頭だ。
1頭目は、重賞初制覇を4月の大阪杯(G1)で遂げたポタジェ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)。8番人気で激走を見せ、中距離路線の主役に躍り出るかと思われたが、その後は宝塚記念(G1)11着、毎日王冠(G2)6着と案外な成績に終わっている。
ただし前走は勝ったサリオスと斤量2kg差があっての0秒5差負け。ひと叩きされた効果で巻き返しがあってもおかしくないだろう。引き続き吉田隼人騎手が手綱を取る。
2頭目は3月に行われたドバイターフ(G1)でロードノースと同着優勝したパンサラッサ(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
大逃げを打つようになった昨秋以降は7戦4勝と、勝率は5割を超えている。このうち距離2000m以下に限定すれば、「4-1-0-0」と連対率は100%。直線の長い東京は試練となるが、そのペース配分は間違いなくレースの結果に大きな影響を与えそうだ。
8月の札幌記念(G2)でパンサラッサを競り落としたジャックドール(牡4歳、栗東・藤岡健一厩舎)がレーティング117で6位に入った。
これまで一貫して2000mだけを使われ、11戦7勝、うちG2を2勝している。G1実績に乏しい分、レーティングはやや低めに出たが、好位から抜け出す新境地を開拓した前走の競馬からもレーティング以上の人気に支持されそうだ。
今回もパンサラッサを前に見る形でレースを進めることになるとみられるが、この馬の仕掛けのタイミングもレースの一つのカギとなる。
ユーバーレーベン(牝4歳、美浦・手塚貴久厩舎)は、レーティング113ながら、牝馬には4ポンドが加算されるため、117として扱われる。つまり、レーティング上はジャックドールと同等ということになる。
昨年のオークス(G1)勝利を最後に5戦連続5着以下と苦戦中のユーバーレーベンだが、前走・札幌記念は明らかに太目残りだった。ひと叩きされた変わり身があれば激走があってもおかしくない。
G3・1勝という実績にもかかわらず、レーティング116を叩き出したのは3頭目の3歳馬、ダノンベルーガ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。
春の二冠はいずれも人気を裏切る4着に敗れたが、ポテンシャルの高さは世代でも屈指の存在。左回りの2000mなら、イクイノックスやジオグリフと互角に渡り合えるはずだ。
今年の天皇賞・秋は、古馬のシャフリヤールに春のクラシックを沸かせた3歳馬が挑む構図となった。果たしてどの馬が秋の中距離王の座に就くのか、発走は30日の15時40分を予定している。
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