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C.デムーロ「よくわからない」世界の名手もサジ投げたキラーアビリティの深刻さ

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田辺裕信騎手

 6日、東京競馬場で行われたアルゼンチン共和国杯(G2)は、6番人気のブレークアップ(牡4歳、美浦・黒岩陽一厩舎)が重賞初制覇。昨年の京都新聞杯(G2)で10着に大敗しクラシック挑戦が叶わなかった遅咲きが、4歳秋にしてG1挑戦の扉を開いた。

「まさか、勝てるとは……」

 前走の六社S(3勝クラス)を勝利して、約1年半ぶりにオープンクラスへ返り咲いたばかりだったブレークアップ。いきなりのG2挑戦に、鞍上の田辺裕信騎手も「相手も強かったので『どこまでやれるのか』というのが正直なところでした」と半信半疑だったようだが、1馬身1/4差の完勝に「正直びっくりで、うれしい」と相棒の急成長に目を細めている。

 前走に3勝クラスを勝ち上がっての連勝は、2015年のゴールドアクター以来。本馬はその後、同年末の有馬記念(G1)も制して競馬界の頂点まで一気に駆け上がった。

 それだけに田辺騎手の言葉も「遅咲きかもしれませんが、徐々に力をつけて重賞を勝てた。大きい舞台で頑張ってもらいたいです」と力が入る。遅れてきた素質馬が、今後のG1戦線の台風の目になるかもしれない。

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キラーアビリティ

「背水の陣」で挑んだキラーアビリティ

 その一方で、メンバーで唯一G1勝ちの味を知るキラーアビリティ(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)は、2番人気に支持されたが完敗という残念な結果に終わった。

「背水の陣」で挑んだものの昨年のホープフルS(G1)覇者の復活は、またも成らなかった。後方からじっくりと脚を溜め、長い府中の直線に懸けたキラーアビリティだったが、8着まで追い上げるのがやっと。最後は追い上げを見せたが、上がり3ハロン33.8秒は4位タイと特に目立ったものではなかった。

「最後の直線入り口で、キングオブドラゴンが内ラチに激突するアクシデントがありました。その影響で大半の馬が大なり小なりの不利を受けましたが、後方から外を回ったキラーアビリティには、それほど大きな影響があったようにも見えません。不利を受けなかったことは幸いですが、結果が結果だけに……逆に完敗の印象が強くなってしまいますね」(競馬記者)

今回のレースは、復活を期すキラーアビリティにとって「極めて大きな意味を持つレース」と言っても過言ではなかったはずだ。

 昨年末のホープフルSを勝った際は、東京スポーツ杯2歳S(G2)を勝ったイクイノックス、朝日杯フューチュリティS(G1)の覇者ドウデュースと並んでクラシック戦線の中心にいたキラーアビリティ。

 しかし、翌年の皐月賞(G1)で13着、日本ダービー(G1)も6着と見せ場もなく連敗。陣営は状態の不調を強調し、今回は夏の休養を挟んで立て直しが図られた一戦だった。

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C.デムーロ騎手 撮影:Ruriko.I

 それだけに、この完敗は陣営にとって「重い」と言わざるを得ない。レース後、復活を託されたC.デムーロ騎手は「直線でもそれなりに伸びてきているが、ジリジリといった感じ」と相棒を庇ったものの、最後の「(敗因は)よくわからない」という言葉が現状の深刻さを示している。

「春は思ったような調整ができなかったようですが、立て直しの効果はあったようで直前の気配は非常に良く見えました。斉藤調教師も『休んで力を出せる状態』と自信ありげだったのですが……」(同)

 この秋、昨年のホープフルSで2着に下したジャスティンパレスが見事な復活。春の皐月賞、日本ダービーこそ共に9着と振るわなかったが、秋には神戸新聞杯(G2)を快勝し、本番の菊花賞(G1)でも3着と復調を印象付けている。

 また、先週の天皇賞・秋(G1)では、同世代で共にクラシックを有望視されたイクイノックスが待望の初G1制覇。年上の古馬へ世代交代を高らかに告げたばかりだ。

 さらにはアルゼンチン共和国杯の前日に行われた新馬戦で、弟のジェイパームスが3馬身差の圧勝デビュー。兄と同じ東京で“前座”を飾り「キラーアビリティ復活」の舞台はいよいよ整ったはずだったが……。

 この日のメインレースの2番人気とあって、レース後にはSNSやネット上の掲示板などでも、今回の敗戦を残念がる声が散見された。中には「早熟だったね」「おつかれさまでした」と、まるで引退を告げるような寂しい声もあった。

 2017年にG1昇格を果たしたホープフルSの勝ち馬には、三冠馬コントレイルを筆頭にサートゥルナーリアといった後の名馬の名も並んでいる。G1馬として、このままでは終われないはずだ。

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