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ラヴズオンリーユーの歴史的勝利から1年…フロック視された「偉業」が再評価

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撮影:Ruriko.I

 現地時間5日から6日にかけて、米国・キーンランド競馬場ではブリーダーズC(G1)が開催された。この2日間にはダート最強馬決定戦と位置付けられるクラシックを筆頭に、各路線のG1が14競走も実施されており、まさに“競馬の祭典”と称されるに相応しいものとなっている。

 このうち、ダート最強牝馬を決めるディスタフではマラサートが勝利を収めたのだが、この結果を受けて日本ではとある競走馬が脚光を浴びることとなった。その馬こそがマルシュロレーヌである。

 思い返すこと1年前のブリーダーズカップデー、日本では歓喜の声が溢れていた。フィリー&メアターフにてラヴズオンリーユーが勝利し、日本調教馬によるブリーダーズC初制覇の快挙を成し遂げたのである。

 このレースはJRAによる馬券発売が行われていたこともあり、本馬の挑戦は大きな注目を集めていた。日本時間で早朝の発走ではあったものの、多くの競馬ファンが偉業達成の瞬間をテレビの画面を通して見届けていたはずである。

 一方で、その2時間後に行われるディスタフにはマルシュロレーヌが出走をしていたのだが、11頭立ての9番人気と注目度は決して高くは無かった。あくまでも同じ矢作芳人厩舎のラヴズオンリーユーの帯同馬として認識されており、JRAの馬券発売はおろか、グリーンチャンネルでの生中継すら行われていなかった。

 それでもマルシュロレーヌは下馬評を覆し、ハナ差の激闘の末にこのレースで勝利を収めてみせた。アメリカ競馬最高峰の舞台で挙げた大金星であり、日本調教馬の海外ダートG1初制覇という快挙をも成し遂げたのである。

 芝が主流である日本や欧州とは異なり、米国競馬はダートが主流であることを踏まえれば、マルシュロレーヌの勝利はラヴズオンリーユーに引けを取らない価値があったともいえる。歴史的快挙への称賛は日に日に高まり、翌年1月に発表されるJRA賞の受賞に期待する声も多く上がっていた。

 しかし2021年度のJRA賞最優秀ダートホースは帝王賞(G1)とチャンピオンズC(G1)を制したテーオーケインズが受賞し、マルシュロレーヌは惜しくも投票数で次点となり受賞を逃す結果になった。一部の選考委員からは特別賞を授与すべきとの声があったようだが、こちらも受賞を見送られてしまった。

 これに対する反響も多く、スポーツ誌の『Number』までもが「マルシュロレーヌは本当に特別賞に値しないのか?」といった記事を掲載した程である。多くのファンや関係者が、JRA側のマルシュロレーヌに対する“受賞無し”の判断に疑問を呈していた。

フロック視された「偉業」が再評価

 それから約1年の月日が流れた今年のブリーダーズCディスタフで勝利したマラサート、2着のブルーストライプ、3着のクレリエールはいずれも昨年にマルシュロレーヌが下した面々であった。この結果は昨年のレベルが決して低くなかったことの証左であり、そこで勝利したマルシュロレーヌの強さが際立つものだったといえるはずだ。

 この結果にはネットの掲示板やSNS上でも「マルシュロレーヌの偉業はもっと評価されてもいい」「やはり凄かったんだなと再認識」などといった声が上がり、競馬ファンの間でもマルシュロレーヌの実力が再評価されたようである。

 当時は人気薄での勝利をフロック視される面もあったマルシュロレーヌのディスタフ制覇だが、1年の時を経て再びその実力を認められたのは喜ばしい。JRA賞の受賞こそ無かったが、その偉業はファンの記憶の中に永遠に残り続けるに違いない。

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