
モズカッチャンやアドマイヤグルーヴも成し遂げた下剋上…3歳初G1狙うあの馬に注目
13日、阪神競馬場では秋の女王決定戦・エリザベス女王杯(G1)が行われる。
フレッシュな3歳馬と歴戦の古馬が激突する牝馬の頂上決戦に、今年は海外からの刺客もエントリー。豪華なメンバー構成に注目が集まっている。
先日の天皇賞・秋(G1)では、3歳馬のイクイノックスが古馬との初対決で並み居る強豪を撃破。富士S(G2)でもセリフォスが勝利を挙げたほか、ダートの祭典・JBCでも3歳勢の奮闘が目立っており、この秋は若い力の台頭を感じさせるレースが続いているのが印象的だ。
それだけに、今回のエリザベス女王杯でも秋華賞(G1)を制したスタニングローズや、0秒1差に迫った2着馬ナミュールら、3歳馬に熱視線が注がれるのも当然のことだろう。

そして、同世代のライバルたちをまとめてなぎ倒す可能性を秘めているのが、川田将雅騎手とのコンビで大一番に臨むピンハイ(牝3歳、栗東・田中克典厩舎)である。
過去のエリザベス女王杯を振り返ってみても、このレースで悲願のG1初勝利を成し遂げた馬は少なくない。ピンハイと同じ3歳馬でも、三冠競走ではタイトルに手が届かなくとも、古馬混合の一戦でかつて敗れている相手をひっくり返すという例がいくつかあった。
例えば2000年以降では、2017年にこのレースでG1初制覇を成し遂げたモズカッチャンがその一頭。オークス(G1)ではソウルスターリングの2着、秋華賞でもディアドラとリスグラシューに次ぐ3着と敗れていたが、エリザベス女王杯では粘るクロコスミアを競り落としてクビ差の先着。前走で敗れた2頭に雪辱を果たした。
さらに遡ってみても、2008年にこのレースを制したリトルアマポーラは桜花賞(G1)で5着、オークスは7着、秋華賞も6着と世代限定戦では掲示板付近に留まりながら、古馬混合の2200m戦で一変。この他にもアドマイヤグルーヴや、降着繰り上がりではあるもののフサイチパンドラも3歳秋のエリザベス女王杯がキャリアの初G1勝利だった。
ピンハイはそんな偉大な先輩たちに続く5頭目の快挙を成し遂げることができるのか。同馬は主な勝ち鞍「西宮S(3勝クラス)」という5戦2勝馬。豪華なメンバーに混じると実績的には見劣るものの、これまでの競走成績は非常に濃い内容となっている。
新馬勝ちから5カ月ぶりで臨んだ2戦目のチューリップ賞(G2)はナミュールに敗れたが、休み明けながら馬体重はマイナス6キロの414キロという厳しい初期条件の下、スタートで出遅れたものの上がり2位の末脚で追い込み、勝ち馬とは0秒2差の2着。13番人気・単勝229.8倍での食い込みで、馬連5万6300円という大波乱を演出した。
その後も桜花賞で5着、オークスでも4着と健闘。ともに13番人気での激走だったが、右回りの1600mと左回りの2400mというまるで違う条件下でも、同世代の強豪に必死に食らいついてきた。
ちなみに、今年の桜花賞とオークスで両方とも掲示板に載った馬といえば、二冠馬スターズオンアースとピンハイの2頭だけ。重賞勝ちこそないものの、これだけでもこの馬の持っているポテンシャルの高さがよく分かるだろう。
加えて、前走の西宮Sではその実力と夏を越えた進化を証明する数字が飛び出した。
同日のメインレース・秋華賞を目指して進めた中、賞金が足りずに出走は叶わず。同じ阪神競馬場で開催された芝1800mの一戦に臨んだのだが、レースでは9頭立ての7番手から進め、最後の直線だけで前を行く馬たちをゴボウ抜き。上がり3ハロン33秒0という異次元の差し脚で、単勝1.8倍の人気に応えた。
上がりもさることながら、特筆すべきは走破タイムの「1分44秒3(良)」。このタイムの価値をはかるべく、阪神・芝1800mコースの歴代タイムランキングを以下にまとめてみた。
▼阪神・芝1800mの走破時計ランキング
1位 1分43秒9 シャフリヤール(毎日杯・2021年)
2位 1分43秒9 グレートマジシャン(毎日杯・2021年)
3位 1分44秒2 プログノーシス(毎日杯・2021年)
4位 1分44秒3 ピンハイ(西宮S・2022年)
5位 1分44秒4 ルペルカーリア(毎日杯・2021年)
コースレコード保持者は2021年のダービー馬・シャフリヤール。この年の毎日杯(G3)はメンバーレベルの高さに加えて速い時計の出る馬場だったこともあり、トップ5のうち4頭が同レースからのランクインだったのだが、ピンハイは単独でそこに割って入って見せた。
ちなみに、牝馬のレコードは2019年のローズS(G2)でダノンファンタジーが記録した「1分44秒4(良)」。ピンハイはこれを打ち破りながら、初コンビだった川田騎手は「まだまだ幼く、たくさんのことを学ばなければいけない」とコメントしており、課題があることを強調している。
ということは、さらなる伸びしろを残しているともいえる。レースに挑む度に減らしていた馬体重も、西宮Sではプラス12キロと戻していた点も好材料。それでもまだ414キロ(前走時)とサイズの小ささは否めないのだが、調教師からは「使った後も順調」という言葉が出ており、叩いての前進にも期待が膨らむ。
春の実績と、この秋に見せた成長の跡。モズカッチャン以来となる3歳馬のサプライズG1初制覇となるか、ピンハイのリベンジに注目だ。
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