テーオーケインズ「脱落」で波乱の気配…今秋G1のトレンドに該当した馬は?

月が替わり、2022年の中央競馬もいよいよ最後の1カ月へ。今週から中京開催がはじまり、4日にはチャンピオンズC(G1)が行われる。
JRAに2つしかないダートG1のひとつで、砂の強者たちが集う暮れの頂上決戦。昨年の覇者テーオーケインズが大きな注目を浴びる中、クラウンプライドやノットゥルノ、ハピといった3歳の新星候補も参戦し、楽しみな一戦となりそうだ。
G1戦線もいよいよ大詰めということで、残っているJRAのG1レースは中山大障害(J・G1)も含めて6つとなった。
そこで、ここまでの秋のG1シリーズを振り返ってみると、“2つのトレンド”が見えてくる。ひとつ目は、相次いでいる「G1初制覇」だ。
10月2日に行われたスプリンターズS(G1)では、ジャンダルムが7歳にして悲願のG1タイトルを獲得。手綱を取った荻野極騎手にとっても、デビュー7年目で嬉しい初G1勝利となった。
さらに3歳三冠競走の秋華賞(G1)と菊花賞(G1)も、善戦はしながら春G1で惜敗したスタニングローズとアスクビクターモアが頂点へ。続く天皇賞・秋(G1)でも、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)でともに2着だったイクイノックスが古馬の強豪を退けて初の戴冠を果たしている。
11月に入ってもその傾向は続き、エリザベス女王杯(G1)ではジェラルディーナが、マイルCS(G1)ではセリフォスが初のG1制覇を達成。そして、先週のジャパンC(G1)を制したのはヴェラアズール。こちらは5歳秋にしてG1初挑戦で初優勝という離れ業を成し遂げた。
今回のメンバーを見渡すと、JRAのG1勝ちを経験しているのはテーオーケインズのみ。地方交流競走を含めても、今年のジャパンダートダービー(G1)を制しているノットゥルノと2019年に南部杯(G1)を制しているサンライズノヴァの2頭が加わるだけで、その他の13頭はG1未勝利馬。今週も新星の誕生となるのか、注目が集まる。

また、もうひとつトレンドとなりつつあるのが「福永祐一騎手」の存在。と言っても注目すべきは出馬表の“騎手欄”ではなく、馬柱の方に「福永祐一」の文字があるかどうかがカギを握っている。
11月に行われたG1レースの勝ち馬を振り返ってみると、エリザベス女王杯を制したジェラルディーナは福永騎手とのコンビで1勝クラスから3連勝でオープンまで登り詰めた馬。ここ2走は異なる騎手でG2→G1と連勝したが、管理する斉藤崇史調教師も「福永騎手が乗りやすい馬にしてくれた」と語っているほど、この馬の出世を陰で支えた立役者であった。
さらにマイルCSを勝ったセリフォスも春のNHKマイルC(G1)では福永騎手が騎乗しており、ジャパンCを勝ったヴェラアズールも元はと言えば福永騎手とのコンビでデビューした馬。直近3つのG1勝ち馬の共通項が、過去に福永騎手が騎乗していたということと、そこから紆余曲折を経て世界的名手と出会い、その才能を開花させて一気に頂点まで登り詰めたというところになる。
今秋G1のトレンドに該当した馬は?
今回のチャンピオンズCにおいて、この2つのトレンドを両方とも満たしている馬を探してみると、グロリアムンディ(R.ムーア)・オーヴェルニュ(C.ルメール)・バーデンヴァイラー(D.レーン)という外国人騎手とコンビを組む3頭が浮上する。手綱を取る3人も今秋のG1を勝利している名手であり、期待は膨らむ。
一方、戦前の見立てで“一強”と見られているテーオーケインズはすでにG1タイトルを手にしており、加えて過去に福永騎手が騎乗した履歴もないということで、この秋のトレンドには全く該当しないということになる。
砂の現役最強馬がこの流れを実力で食い止めてみせるのか、はたまた月が替わっても風向きは変わらず新たなスターが誕生するのか。チャンピオンズCは“2つのキーワード”にも注目しながら見守りたい。
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