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【香港C展望】令和のサイレンススズカ「激突」武豊ジャックドールVSパンサラッサ!

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【香港C展望】令和のサイレンススズカ「激突」武豊ジャックドールVSパンサラッサ!の画像1
ジャックドール 撮影:Ruriko.I

 11日、香港・シャティン競馬場では4つのG1からなる「香港国際競走」が開催される。最も多い5頭の日本馬が参戦するのは芝2000mで行われる香港C(G1)だ。2019年ウインブライトから日本の馬が3連覇中というこのレースを展望していきたい。

 初の海外競馬で待望のG1獲りに挑むのはジャックドール(牡4歳、栗東・藤岡健一厩舎)だ。

 デビューからひたすら2000mだけを使われ、昨秋から怒涛の5連勝で今春の金鯱賞(G2)を制覇。続く大阪杯(G1)ではエフフォーリアに次ぐ2番人気に支持されたが、落鉄などの影響もあって5着に敗れ、連勝はストップした。

 陣営は秋の大目標を天皇賞・秋(G1)に据え、十分な間隔が取れる札幌記念(G2)から始動。それまでは逃げて結果を残していたが、控える競馬を試みると、逃げたパンサラッサをゴール直前で捉えて重賞2勝目を飾った。

 そして天皇賞・秋は3番人気に支持されて迎えた。ここでも好位に控える競馬で道中は3~4番手を追走。東京の長い直線で最後までしぶとく脚を伸ばしたものの、4着が精一杯だった。

 G1では結果が出ていないジャックドールに大きな変化が訪れる。それが12戦中9戦で鞍上を務めてきた藤岡佑介騎手の降板である。そして新たなパートナーとして指名されたのが武豊騎手だった。

 武騎手も「うれしいニュース」と題して、自身のオフィシャルサイトの日記を更新。「香港カップという大舞台で、ジャックドールの騎乗依頼をいただきました。すぐに思い出したのは、サイレンススズカに初めて乗せてもらったのが香港だったこと。このご縁をいい形で次に繋げられるような、そんなレースをしたいです」(11月16日付)と綴っている。

 稀代の快速馬サイレンススズカと武騎手が初タッグを組んだのが25年前の香港。その時は5着に敗れたが、翌年は他馬を寄せ付けないスピードを武器に連勝街道を歩んだ。

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パンサラッサ 撮影:Ruriko.I

 一方、武騎手がそんなサイレンススズカと重ね合わせたジャックドールに立ちはだかるのが、札幌記念と天皇賞・秋でハナを譲らなかったパンサラッサ(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)である。

 札幌記念はやや溜め逃げ、天皇賞・秋では大逃げを打ってどちらも2着に粘り込んだパンサラッサ。特に前走は1000m通過が1998年天皇賞・秋のサイレンススズカと全く同じ57秒4というラップを刻み、ファンを興奮させた。

 サイレンススズカのようにすんなりと逃げられるタイプではないが、とにかくハナを主張して譲らないのが信条。今の形に脚質転換した昨秋以降、2000m以下のレースに限れば「4-2-0-0」と連を外していない。

 海外初参戦のジャックドールに対して、パンサラッサは春にドバイターフ(G1)を制し、G1ウイナーの仲間入りも果たしている。

 陣営は「冬場に調子を上げるタイプ」とも話しており、スタートを決めさえすれば後続に影を踏まれることなく逃亡劇を演じる可能性は高そうだ。そうなれば、焦点はジャックドールがどこでパンサラッサを捕まえにいくか。百戦錬磨の武騎手の判断にかかってくる。

 もう一つ、パンサラッサにとって不安要素を挙げるとすれば、シャティン2000mのコース形態だろう。最初のコーナーまで150mほどしか距離がないため、スタートダッシュを決めることができなかった場合、リカバリーに苦労する可能性が高い。そうなれば、ジャックドールの方がハナを奪うという選択肢も出てくるのではないか。

 いずれにしても「令和のサイレンススズカ」と呼ばれたことがある2頭が最も注目を浴びるレースになるのは間違いないだろう。

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ジオグリフ 撮影:Ruriko.I

 この2頭が出走するレースでペースが遅くなることはまずない。そうなると浮上するのが今年の皐月賞馬で、海外初挑戦のジオグリフ(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)だ。

 牡馬クラシック一冠目でイクイノックスに競り勝ちクラシックウイナーに輝いたが、その後は日本ダービー(G1)7着、天皇賞・秋(G1)9着とやや精彩を欠いている。

 特に前走の天皇賞・秋はダービーからの距離短縮で巻き返しを期待されたが、中団から直線伸びきれなかった。

 陣営はこの馬の長所として操作性の高さを挙げており、大箱の東京競馬場からシャティン競馬場に替わるのはプラス。コーナーを4回通過する右回りの2000mは皐月賞とも重なる。

 注目の鞍上には来日経験もあるW.ビュイック騎手が指名された。今年は初の英国リーディングにも輝き、その実力を香港の地でも存分に見せたいところだ。

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ダノンザキッド 撮影:Ruriko.I

 ダノンザキッド(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)は、ホープフルS(G1)を最後に勝利から遠ざかっているが、皐月賞と今年の中山記念(G2)以外は大崩れしていない。

 前走・マイルCS(G1)も8番人気ながら2着に食い込み、G1馬の意地を見せた。皐月賞以来となる2000mの距離をこなすことができれば、上位争いに加わってくるだろう。

 昨年4月の大阪杯勝利を最後に8連敗中のレイパパレ(牝5歳、栗東・高野友和厩舎)は、2年連続の香港C参戦。1年前はラヴズオンリーユーに次ぐ2番人気に推されたが、いいところなく6着に敗れた。

 その後、金鯱賞と大阪杯で連続2着に好走するも、1番人気に推されたヴィクトリアマイル(G1)は12着、前走・毎日王冠(G2)が4着と完全復活への足掛かりは見えていない。ラストランの可能性もある香港の地で1年8か月ぶりの美酒を味わえるか。

 地元香港勢の最有力候補はロマンチックウォリアー(セ4歳、香港・C.シャム厩舎)だ。

 今年上半期のクラシック路線で香港クラシックマイル(L)と香港ダービー(L)の二冠を達成。その後、QE2世C(G1)を勝ってG1初制覇を遂げた。

 秋初戦のジョッキーCC(G2)は好位から抜け出す横綱相撲で完勝し、通算成績を9戦8勝としたロマンチックウォリアー。日本の5頭にとって最大のライバルはこの馬で間違いないだろう。

 トゥールビヨンダイヤモンド(セ6歳、香港・C.シャム厩舎)は、香港国内のG3・2勝と実績では劣るが、重・不良の馬場コンディションでは複勝率87.5%を誇る道悪巧者。馬場が渋るようなら浮上する。

 この他には、今年2月の香港ゴールドC(G1)と5月のチャンピオンズ&チャターC(G1)を制したG1・2勝馬のロシアンエンペラー(セ5歳、香港・D.ホワイト厩舎)、2年前のBCマイル(米G1)覇者オーダーオブオーストラリア(牡5歳、愛・A.オブライエン厩舎)も走破圏内。

 ジャックドールとパンサラッサを中心にした日本馬5頭と、ロマンチックウォリアーを筆頭にした地元勢がぶつかり合う香港Cは11日、日本時間17時30分に発走予定となっている。

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