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レジェンド武豊騎手も鬼門のレース? 有馬記念に勝てなかった名馬たち

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 25日、中山競馬場で暮れの大一番、有馬記念(G1)が開催される。G1馬が7頭揃い、豪華なメンバーで争われそうだ。特に天皇賞・秋(G1)を勝ったイクイノックスと古馬の大将格タイトルホルダーや昨年の覇者エフフォーリアをはじめとする古馬勢との世代間の争いにも注目が集まる。

 有馬記念はその年の集大成ともいえるG1であり、またご存じの通りファン投票によって出走馬が選出されることもあって、毎年多くのG1馬がここに顔を揃えて大一番に臨む形になる。そういう意味では「最強馬決定戦」という側面もあり、実際その年の年度代表馬の選出にも少なからず影響を与えている。

 だが、一方で中山の芝2500mというコースは「まぎれ」が多いことも事実。実力通りに決まらず、時に驚くような穴馬が激走して大波乱になることがあるのもまた、有馬記念の特徴と言える。

 そこで今回は1990年以降の「有馬記念に勝てなかった」名馬たちをピックアップしてみたい。『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)に登場するキャラクターにも、その当時は絶対的な存在であっても、有馬記念を勝てなかった名馬がいることに驚くかもしれない。

・メジロマックイーン

 菊花賞と天皇賞・春を連覇、宝塚記念とG1を4勝しているが、有馬記念には勝てなかった。91年は春シーズンに祖父メジロアサマ、父メジロティターンに続く天皇賞3代制覇の偉業を成し遂げたが、秋シーズンは暗転。天皇賞・秋では「世紀の大斜行」で1着入線も18着降着、長距離戦で巻き返しを狙ったジャパンC(G1)ではゴールデンフェザントの切れ味に屈して4着といいところがないまま迎えたのが有馬記念だった。単勝1.7倍の圧倒的1番人気に推され、手応え十分なまま外から直線を上がってきたところで内から14番人気のダイユウサクに抜け出され2着に終わった。

・ライスシャワー

 メジロマックイーンと同じく菊花賞と天皇賞・春を2勝した生粋のステイヤーだったが、ミホノブルボンの三冠を阻止した92年の有馬記念は2番人気に推されながらも、メジロパーマーの逃げ切りの前に8着。メジロマックイーンの天皇賞・春3連覇を阻止した翌年はトウカイテイオーの奇跡の復活の裏で8着。94年は秋の復帰戦となったが、三冠を制したナリタブライアンと女傑ヒシアマゾンに屈して3着に終わっている。

・エアグルーヴ

 その血が今も伝わる女帝。オークス(G1)を制した3歳時には出走せず、明け4歳で天皇賞・秋を17年ぶりの牝馬制覇として達成。ジャパンCではピルサドスキーの差しに屈して2着に終わったが、それを覆すべく出走したのが97年有馬記念。しかし、伏兵シルクジャスティスに敗れて3着。98年は宝塚記念(G1)、エリザベス女王杯(G1)、ジャパンCでいずれも惜しいレースを繰り返し、迎えた有馬記念ではグラスワンダーの5着に敗れた。

・スペシャルウィーク

 武豊騎手に日本ダービー(G1)初制覇をプレゼントした98年の秋は菊花賞の後ジャパンCに出走し、同世代のエルコンドルパサーの3着に敗れてシーズンを終了。翌99年は天皇賞春秋制覇とジャパンCを勝ち、世代最強をかけて有馬記念に出走する。宝塚記念で敗れた最大のライバル、グラスワンダーに1番人気を譲ったものの差のない2番人気。レースでも最後の直線で前にいたグラスワンダーをゴール前捕らえたと思われたがハナ差で2着に敗れ、グラスワンダーに連覇を許した。

・ウオッカ

 07年に64年ぶりとなる牝馬の日本ダービー制覇の偉業を成し遂げ、秋は秋華賞(G1)3着とジャパンC4着で不完全燃焼の状態で迎えた有馬記念。牝馬は勝てないというジンクスがありながらも3番人気に推される。だが、レースに勝ったのは9番人気の伏兵マツリダゴッホ。ライバルのダイワスカーレットは2着に粘るが、ウオッカは見せ場もなく11着に大敗。翌年、京都記念(G2)から始動するがそこでも6着に敗れたことで、それ以降ひたすら得意な東京コースだけを走ることとなる。

・メイショウサムソン

 06年の皐月賞(G1)・日本ダービーを制した二冠馬。この年の秋シーズンは三冠がかかった菊花賞で4着、ジャパンC6着と春の勢いがないまま迎えた有馬記念。だが、引退レースであり前年ハーツクライに初めて土を付けられて、どうしても勝たねばならないディープインパクトの前に5着に終わる。翌年は天皇賞春秋制覇を成し遂げて1番人気に推された有馬記念だったが、上記のウオッカと同じく伏兵のマツリダゴッホに敗れて8着と大敗。さらに翌年、凱旋門賞(G1)に挑戦するなどチャレンジの後に迎えた有馬記念で、前年2着になっていたダイワスカーレットの逃げに屈してまたも8着に終わっている。

・ブエナビスタ

 09年に牝馬三冠に王手をかけながらも秋華賞で敗れた名牝。続くエリザベス女王杯でも伏兵の大逃げを捕らえきれず3着に終わり、復権をかけた有馬記念。1番人気に推されるがその年の宝塚記念を勝ったドリームジャーニーに差されて2着。翌年、ヴィクトリアマイル(G1)と天皇賞・秋の2つのタイトルを手にして迎えた有馬記念。ここでも1番人気に推されるが、その年の皐月賞馬ヴィクトワールピサにゴール前届かず、またも2着に泣く。さらに翌年、ジャパンCを制して迎えた有馬記念だったが、その年の三冠馬オルフェーヴルに敗れ7着に終わった。

・アーモンドアイ

 こちらは記憶にも新しい9冠牝馬。牝馬三冠を難なく制した上、ジャパンCまでスーパーレコードで圧勝した18年は有馬記念に出走しなかった。翌年、海外遠征でドバイターフ(G1)を勝ち、安田記念(G1)で3着に敗れるも、秋は天皇賞・秋を圧勝して迎えた有馬記念。単勝1.5倍の圧倒的1番人気を背負い、レースでも直線で抜け出して誰もが勝利を確信したところで脚が止まり、後ろから来た馬に次々と交わされて9着に大敗。アーモンドアイのキャリアで唯一馬券圏外に飛んだレースとなったが、ウオッカと同じくこの時を最後に中山コースで走ることはなかった。

 ざっと挙げてみたが、いずれも記録にも記憶にも残る名馬たちだ。しかし、そんな馬でも人気を背負いながら有馬記念を制することができなかったわけだ。伏兵の強襲に屈して敗れたケースもあれば、ディープインパクトやオルフェーヴルのような歴史に残る名馬に敗れたケースもある。

 その昔、「中山2500mには魔物がいる」と言われた時代もあった。近年では鳴りを潜めているものの、その魔物がいつまた復活するかは誰にもわからない。今年のように有力馬が戦前から取り沙汰されているようなシーズンでも、人気馬をあざ笑うかのように伏兵が勝ちをさらうケースは十分あり得る。ゆめゆめ馬券検討には気をつけたいものだ。

 余談ではあるが、ライスシャワー、ブエナビスタ、アーモンドアイの3頭以外はいずれも武豊騎手が騎乗したことのある馬だ。調べてみると騎乗回数は多いのだが、実は3勝(オグリキャップ、ディープインパクト、キタサンブラック)しか挙げておらず、一方で2着が8回と負けが多い。レジェンドにとっては鬼門のレースなのかもしれない。

ゴースト柴田

ゴースト柴田

競馬歴30年超のアラフィフおやじ。自分の中では90年代で時間が止まっている
かのような名馬・怪物大好きな競馬懐古主義人間。ミスターシービーの菊花賞、マティリアルのスプリングS、ヒシアマソンのクリスタルCなど絶対届かない位置からの追い込みを見て未だに感激できるめでたい頭の持ち主。

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