エイシンヒカリ×武豊が超えた「大いなる壁」……仏G1圧勝の先に見える「日本競馬世界一」への道と、偉大なる先駆者の影
欧州遠征第1戦、仏・イスパーン賞(G1)に出走したエイシンヒカリ。仏ダービー馬ニューベイや昨年パリ大賞を勝利しジャパンカップでも6着のイラプトなど強豪が集ったが、レースはまさに独壇場。2番手追走から直線で一気に突き放すレース内容に、世界が衝撃を受けた。
このイスパーン賞、今年で139回を数える歴史あるレースだが、過去にはミエスクやゴルディコヴァなどの歴史的名馬も勝利している。その中で過去にも例の少ない大差で圧勝した意味はエイシンヒカリにとって非常に重要な意味を持つ。
騎乗した武豊騎手は、「シャンティイは非常に走りやすく、この馬に合っている」と語っており、秋に同舞台で開催される(ロンシャン競馬場が改修工事)凱旋門賞(G1)への参戦を熱望しているようだ。父ディープインパクトが夢敗れた世界最高峰の舞台に立ちたいという思いも人一倍強いに違いない。追加登録は約1500万円と高額だが、果たして。
また、今回のエイシンヒカリの勝利は、単純に「海外G1を勝った」という以上の価値がある。それは、日本競馬が長い間超えることの叶わなかった「壁」を打ち破ったという点だ。
その「壁」とは、1999年にこのイスパーン賞に出走し惜しい2着となった不世出の名馬、エルコンドルパサーである。
外国産馬であったエルコンドルパサーは、3歳の国内戦績7戦6勝2着1回、NHKマイルCとジャパンカップを勝利した。当時外国産馬にはクラシック登録の権利がなかったが、あればスペシャルウィークのダービー制覇もなかったのではという声もある逸材である。国内で先着したのは、毎日王冠で当時最強の逃げ馬として君臨したサイレンススズカのみであった。
エルコンドルパサーは4歳になると、現在でもほとんど見られない「欧州長期キャンペーン」を敢行。初戦のイスパーン賞を2着、サンクルー大賞、フォワ賞を連勝し、最大目標である凱旋門賞では、名馬モンジューとの壮絶な叩き合いの末2着。現地のマスコミから「チャンピオンが2頭いた」と最大級の評価を得た。
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