
【徹底考察】NHKマイルC(G1) メジャーエンブレム「女王の威厳を取り戻すには『サメの扱い方』が重要だ」

「考察」
『You’re gonna need a bigger boat!(大型船を呼ぼう!)』
これは映画『ジョーズ』の「アメリカ映画の名セリフベスト100」にランクインしている有名なセリフだが、メジャーエンブレム陣営の心境は今まさにこんな感じなのかもしれない。
このNHKマイルC(G1)を迎えて、メジャーエンブレムに課せられた最大の課題は「逃げずに惨敗した桜花賞(G1)を払拭」することだ。彼女にとっての牝馬クラシック第1弾は、単勝1.5倍ながら本来の競馬をしないまま、まさかの4着敗戦を喫した”悪夢”に他ならないのだから。
その上で、メジャーエンブレムがこのNHKマイルCを勝ち切るために、まず指針としたいのが2月のクイーンC(G3)に他ならない。
今回と同斤量、同コース、同距離での5馬身圧勝劇。鞍上C・ルメール騎手がイメージするのは、当然この時の走りであり、今回その再現を第一に考えるのではないだろうか。
しかし、ここにきてジョーズならぬ、「シゲルノコギリザメ」という世代屈指の逃げ馬が抽選という”網”を突破してしまった。それもこの馬、立場こそ500万下勝ちの抽選馬だが、シンザン記念(G3)3着、ファルコンS(G3)3着があるように、その能力は間違いなく一線級。
今度こそ、2月のクイーンC(G3)のように「あっさりの逃げ切り」を決めたいメジャーエンブレムにとって、強力な同型馬の存在はまさに「恐怖」。抽選馬の中で、最も厄介な存在だったことに間違いはない。
では、実際にメジャーエンブレムとシゲルノコギリザメがハナ争いを展開した場合、どちらが有利なのか。それはまず間違いなく「後者」といえる。
メジャーエンブレムが「逃げ」という戦術を試みたのは、昨年10月のアルテミスS(G3)。それから逃げられなかった(逃げなかった)桜花賞を含め4戦、逃げ馬にとってダッシュ力の目安となる「最初の3ハロン」の最速タイムは、クイーンCで記録した「34.4」秒である。
それに比べてシゲルノコギリザメは前走の橘S(OP)が「34.0」秒、特に前々走のファルコンSでは不良馬場の中の「33.3」秒を2番手追走(おそらく33秒代後半)し、3着に粘っている。
つまり1400m戦とマイル戦の違いはあるが、それでも単純な”ダッシュ力”の面でシゲルノコギリザメはメジャーエンブレムと互角、もしくはそれ以上といえるだろう。
無論、メジャーエンブレムが今以上のダッシュ力を発揮できる可能性は十分にある。
しかし、当然の話だが「最初の3ハロン」を速くすれば、「最後の3ハロン」のタイムは落ちる。言い換えれば、強引に逃げたは良いが、その分最後に止まってしまう危険性が高まるということだ。
実際に、管理する田村康仁調教師も「逃げるかはともかく、積極的な競馬をしたい」と述べ、ルメール騎手も「この馬にとって一番大切なのはペース。速いペースで走れれば馬がリラックスして走れる」と述べていることから……。
今回は、メジャーエンブレムがシゲルノコギリザメを先に行かせて「2番手から競馬する可能性がかなり高い」といえる。
そして、それはつまり今回のNHKマイルCが、メジャーエンブレムが単騎で逃げた2月のクイーンCのような展開になる可能性は低いということを表している。
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