JRA桜花賞馬ジュエラー初仔ハイジュエラー死去…… 「牝馬3強」産駒直接対決は次代に託された

母にG1・6勝を挙げた名牝ブエナビスタを持つブエナベントゥーラ(父モーリス)、宝塚記念(G1)を勝ったマリアライトの産駒オーソクレース(父エピファネイア)、国内外G1通算7勝をあげた名牝ジェンティルドンナの3番仔ジェラルディーナ(父モーリス)、またアパパネ×ディープインパクトの12冠ベビー・アカイトリノムスメなど、良血馬が今年もデビューを飾った。
さらにこれからも競馬界きっての“ワガママ娘”スイープトウショウの娘クリーンスイープ(父ドゥラメンテ)、名牝シーザリオ産駒のルペルカーリア(父モーリス)など、絵に描いたような良血馬が着々と準備を進めている。
両親がG1を勝利した実績を持つ良血馬は、デビュー前から多くの注目を集めるのは当然だ。そして無事に新馬戦を勝利した若駒もいれば、未勝利戦に回り次のチャンスに向けて牙を研ぐ馬もいる。良血馬はこれからもなにかとファンの関心を引くことだろう。
だが、なかには悲しいことに注目を集めながらも、デビューできずにこの世を去ってしまった良血馬もいる。ハイジュエラー(牝、栗東・藤岡健一厩舎)が、へい死したと伝えられた。
ハイジュエラーは父が2010年のダービー馬エイシンフラッシュ、母は16年の桜花賞(G1)を勝利したジュエラー、母父ヴィクトワールピサという血統で誕生した。
「母馬ジュエラーは桜花賞勝ち後も期待されていたものの、骨折で戦線離脱。復帰戦となったローズS(G2)は11着に終わるも、秋華賞では(G1)で4着と意地を見せました。ここから巻き返すのかと思いきや、今度は脚元不安で長期休養入り。復帰に向けて調整が進んでいた最中にまたも骨折が判明し、無念の引退となっていました。
その故障で引退を余儀なくされたジュエラーの初仔がハイジュエラーです。名前も似ている上に、所有していたのはジュエラーのオーナーでもある青山洋一氏で、預託先も母馬と同じ藤岡健厩舎。これだけ見ても、ハイジュエラーには、関係者たちの強い思いが託されていることがわかります。ですが、デビューすることなくハイジュエラーはその馬生を終えることになりました。関係者たちはさぞ無念だったと思います」(競馬記者)
16年の牝馬クラシックはこのジュエラー、前年の阪神ジュベナイルF(G1)覇者メジャーエンブレム、そしてチューリップ賞(G2)で強い勝ち方をしたシンハライトが「牝馬3強」を形成していた。
この3頭で史上空前の戦いが行われると見られていたが、「3強」が相まみえたのは桜花賞のみ。ジュエラーが桜花賞後に故障で戦線離脱すると、メジャーエンブレムはNHKマイルC(G1)勝利後に左後肢にトラブルが相次ぎ「競走能力喪失」として引退。シンハライトは“2強”不在のオークス(G1)を勝つも秋に左前浅屈腱炎が判明し引退の憂き目にあっている。
「牝馬3強」と呼ばれながらも、1度しか同じレースに出走することがなかった3頭は、同じ年に揃って繁殖牝馬入り。ジュエラーがハイジュエラー、シンハライトがセブンサミット(父モーリス)、メジャーエンブレムがプレミアエンブレム(父ルーラーシップ)を出産している。
「牝馬3強」の初仔が揃って出走し、母馬同様に熱い戦いを繰り広げることも期待されていたのだが、それは来年以降のことになってしまった。志半ばで早逝したハイジュエラーの冥福を祈りたい。
PICK UP
Ranking
5:30更新
武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
有馬記念(G1)武豊「ウイニングラン」も残酷な結末! スペシャルウィーク、グラスワンダーが激突した1999年…… 最強世代の意地を懸けたラストバトル- アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
- ミスターシービー、ウオッカ、ヒシマサルの意外な共通点…馬名の由来は興味深いエピソードの宝庫【競馬クロニクル 第47回】
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- JRA松田国英「人を殺したわけじゃないけど……」ダートの怪物が引退に追い込まれた“不治の病”が「期待の新星」にも。定年まで4か月の名伯楽に再び試練が……
- JRA池添謙一「2度結婚」「DV不倫」よりも紆余曲折の騎手人生。オルフェーヴル三冠→外国人で凱旋門賞、勝負強さは当代随一だが……
- 母の全兄は「G1優勝」の現役種牡馬! 新進気鋭のオーナーがJRA新馬戦初V
- 競馬版『無限の住人』!? 米最高峰の舞台に立った「独眼竜」馬に熱視線も、意外と多い「隻眼の強豪」
関連記事

JRA凱旋門賞(G1)武豊「使うのなら行きたい」夢優先なら秋華賞(G1)不参戦の可能性も!? 女王エネイブルとの対決実現はあの馬の出走次第

JRA武豊と名牝の繰り返す「すれ違い」再び!? 重賞勝利を逃した「鞍上交代劇」を“思い出”で払拭できるか

JRA「史上最高5億円馬」全兄サトノスカイターフがデビュー間近!! サトノ軍団本命候補は 「過去の悲劇」を払拭する走りを見せられるか

JRAローズS(G2)キズナ産駒はマルターズディオサだけではない!? コントレイルを出したノースヒルズの期待馬がトライアルから本気仕上げか

JRA池添謙一を巡る“複雑”な「三角関係」!? ローズS(G2)「女の子なのに怒ってキレることが……」兄を知る西園正都調教師も“イクメン”ぶりに期待
















