
JRA菊花賞(G1)「絶望枠」バビット39年勝利なし……福永祐一の父・洋一と天馬の夢打ち砕いた「緑の刺客」から44年
2週連続の三冠馬出現に機運が高まる中、今週末に京都競馬場で開催される菊花賞(G1)の出走18頭の枠順が決まった。
レースが行われる京都の3000mは、スタートして間もなくコーナーとなるため、基本的には内枠の方がやや有利と言われている。そのため普段以上に枠順が注目を集めることとなったが、今年も有力馬の中で明暗が大きく分かれることとなったようだ。
大本命のコントレイルは2枠3番という好枠をゲット。これには矢作芳人調教師も「コーナーが近いので、内枠の方が有利なのは間違いない」と手応えを隠さない。史上3頭目の快挙に、まずは大きく近づいたといえるだろう。
また、最大のライバルと目されるヴェルトライゼンデも「真ん中より少し内の枠が理想」という池添謙一騎手のオーダー通りの3枠6番をゲット。内にコントレイルを見ながら運べる理想的な枠に陣営も「いい枠」と納得だ。
その一方、6枠11番に入ることとなったバビット(牡3歳、栗東・浜田多実雄厩舎)には、大きな暗雲が立ち込めることとなった。
近4走をすべて逃げて4連勝しているバビットだが、スタートがそこまで速い馬ではないだけに、一見やや外目となる6枠11番は理想的に見える。
さらに、同じく逃げ宣言をしているキメラヴェリテが8枠17番に入ったことで、序盤から飛ばして逃げることが予想される。そのため、バビットが離れた2番手で集団を引っ張れば“実質”単騎逃げのような展開に持ち込めそうなのも好ましいに違いない。
しかし、実はこの11番こそ菊花賞の「死に番」であり、最後に勝ったのはグレード制導入前1980年のノースガストが最後。実に39年間勝ち馬が出ていないというから驚きだ。
実際に、ここ20年の6枠11番を振り返っても、2001年に2番人気ダンツフレーム(皐月賞、日本ダービー2着)、2005年に2番人気シックスセンス(皐月賞2着、日本ダービー3着)、2015年に2番人気リアルスティール(皐月賞2着、日本ダービー4着)がエントリーするなど、決してノーチャンスだったわけではない。
しかし、リアルスティールこそ2着で面目を保ったものの、シックスセンスが4着、ダンツフレームが5着と期待を裏切ってしまっている。周囲の10番や12番からは勝ち馬が出ているため、明確な根拠のようなものはないが、何故か11番だけが長年勝利から遠ざかっているのだ。
「11番でノースガストの1つ前に菊花賞を勝ったのが『緑の刺客』といわれた1976年のグリーングラス。実は、そのレースで単勝1.8倍の圧倒的1番人気に推されたのが、福永祐一騎手の父・洋一騎手が騎乗する『天馬』トウショウボーイでした。
当時のグリーングラスは、今のバビットほど評価が高い馬ではなかったですが、春のクラシックを戦えなかった上がり馬という点では同じ。馬番11番に久々の勝利をもたらしてほしいですね」(別の記者)
6枠11番には「もう少し内がよかった」と話した浜田多実雄調教師だが「いつも通りの競馬をするだけ」と、すでに腹を括っている。奇しくも6枠は緑帽。令和の時代に「緑の刺客」復活なるか。前評判を跳ね返す大仕事を期待したい。
【注目記事】
■JRA菊花賞(G1)西山茂行オーナーが語った「異端の逃亡者」誕生秘話。グレード制導入以降「唯一」逃げ切ったセイウンスカイの伝説【特別インタビュー】
■JRA菊花賞(G1)コントレイル逆転の穴馬候補!? 全出走馬の血統・実績から浮上した3000mがプラスになる馬は?
■JRA衝撃の大暴走“オルフェーヴル2世”「勝ち負けは二の次」!? 必死の“再構成”で「まるで千直」の悪夢を払拭できるか
PICK UP
Ranking
17:30更新横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 「正直なところ辟易としています」武豊が巻き込まれた29年前のアイドルホース狂騒曲…レース前に明かしていた「コンビ結成」の裏話
- 【NHKマイルC(G1)予想】ジャンタルマンタルは皐月賞の反動があるとみて消し! 出走唯一の連勝馬に着目
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 横山典弘「27年ぶり」ドバイ決戦へ。「自分の命と引き換えに僕を守ってくれた」盟友ホクトベガの死で止まった時間…今度こそ無事完走を
関連記事
JRA菊花賞(G1)西山茂行オーナーが語った「異端の逃亡者」誕生秘話。グレード制導入以降「唯一」逃げ切ったセイウンスカイの伝説【特別インタビュー】
JRA菊花賞(G1)「大物狩り」の血が騒ぐ!? コントレイル「当確」に最強助っ人が待ったをかける……”滑り込みセーフ”の超良血馬に激走気配
JRA菊花賞(G1)コントレイル逆転の穴馬候補!? 全出走馬の血統・実績から浮上した3000mがプラスになる馬は?
JRA菊花賞(G1)サトノフラッグ「国枝マジック」で大変身!? デアリングタクトを脅かした「秘技」でコントレイルに下剋上か
JRA菊花賞「三冠」武豊、岡部幸雄にあって、夢破れたM.デムーロ、石橋守になかったもの。コントレイル福永祐一「余裕」の裏に、二冠馬と三冠馬を隔てたものの正体