武豊「低迷」の裏で若手騎手が飛躍的な躍進!? 着々と押し寄せる「世代交代」の波とリーディング上位に食い込んだ若手たち…… 劇的変化を見せたのは横山武史ではない?
27日に阪神競馬場で行われる宝塚記念(G1)を控えた中央競馬。今週末、東京では3歳ダート重賞のユニコーンS(G3)、阪神では牝馬の中距離重賞・マーメイドS(G3)の開催を予定している。
無冠の待機ダノンキングリーがマイルの絶対女王グランアレグリアを破った安田記念(G1)を終え、ちょうどG1中休みとなるが、全国騎手リーディングでもちょっとした異変が起きていた。
13日の開催終了時点、リーディングトップに立つのは87勝を挙げて独走中のC.ルメール騎手。これを16勝差で追う川田将雅騎手が71勝を挙げて2位、ともに56勝の福永祐一騎手が2着の差で3位、松山弘平騎手が4位と続いている。
ここまでの並び順は昨年の1位から4位と同じ顔触れ。年始で大きく出遅れた川田騎手は、短期間で勝ち星を量産して定位置に復帰した。
これに対し、昨年の全国リーディングで5位の武豊騎手は20位と大きく後退。腰痛や骨折で騎乗機会が減った影響があったにしろ、JRAのホームページに記載の1ページ目(20位まで)から姿を消しかねない状況となっている。
5位はソダシでブレイクして成績を伸ばした吉田隼人騎手が45勝、6位に幸英明騎手が40勝で追っている。
劇的な変化があったとすれば、これ以降の騎手である。
ここからは売り出し中の若手騎手が多数食い込んだ。7位に38勝の横山和生騎手、8位に鮫島克駿騎手、9位に岩田望来騎手、10位に西村淳也騎手、11位に昨年の関東リーディング・横山武史騎手がようやく顔を出す。
若手の快進撃はこれだけでなく、15位に菅原明良騎手、18位にも泉谷楓真騎手が入ったように、世代交代が着々と進んでいることが分かる。
リーディング上位陣の牙城を崩すにはまだ時間が掛かりそうだが、トップ20位までに7人の若手が名を連ねたことには驚きを隠せない。
「今年は父の横山典弘騎手より長男の和生騎手や武史騎手が活躍しているように、着々と世代交代の波が押し寄せていることを感じます。長らくトップにいた騎手も高齢化が進んできました。ルメール騎手や福永騎手もベテランといえる年齢ですし、5年後10年後もこの状況が続くのかとなるとわかりません。
そういう意味では若手の台頭は歓迎すべきでしょう。個人的には武豊騎手や横山典騎手、柴田善臣騎手など、大ベテランの活躍をまだまだ見たいという思いもあります。ですが、将来的なことを考えると、前向きに考えた方がよさそうです」(競馬記者)
なかでも、最も劇的な変化を残した横山和騎手の急成長は衝撃的ともいえるだろう。昨年は年間を通しても30勝だったが、今年はすでに38勝と前年超え。これまで最多だった13年の39勝を、すぐにも更新しそうな勢いだ。
エフフォーリアで皐月賞(G1)を制した三男の横山武騎手ばかりに注目が集まっている現状だが、この好調が続くようなら関東リーディングも夢ではないかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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