JRA 武豊がミシュリフ破った大金星から1年、戸崎圭太に「捨てられた」ダービー馬も決断! 名牝スイープトウショウの弟が払拭したい「裏切り」の悪夢
20日、東京競馬場で行われるユニコーンS(G3)に、ピンクカメハメハ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)が出走予定。国内初のダート戦で、その走りに注目が集まる。
姉に秋華賞(G1)、宝塚記念(G1)、エリザベス女王杯(G1)とG1を3勝したスイープトウショウを持つピンクカメハメハは、芝の新馬戦を4馬身差で快勝。その圧勝ぶりや血統背景から、その後の芝での活躍が大いに期待された馬だ。
しかし、その後は芝のオープンで掲示板がやっとという成績が続き、陣営はついにダートへの転戦を決断。照準を合わせたレースはサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われるサウジダービーと、海外遠征で初のダート戦に挑戦することを表明した。
サウジダービーの1着賞金は、90万米ドル(約9500万円)。皐月賞(G1)の優勝賞金1億1000万円に匹敵する金額を考えれば、重賞はおろか、オープン勝ちもないピンクカメハメハに、多くのファンも期待薄だっただろう。
しかし、そんな評価をあざ笑うかのように、ピンクカメハメハはサウジダービーを制覇。騎乗した戸崎圭太騎手も「初めて乗りましたが、手応えも良く、初ダートでも素晴らしい走りでした」と、その走りを称賛した。
その後は輸送疲れなどもあったのか、UAEダービー(G2)では10着と惨敗。帰国後の初戦となるユニコーンSで巻き返しを期待したいが、フルフラットの前例が気になるところである。
昨年の第1回サウジダービーは、武豊騎手が騎乗したピンクカメハメハと同じ森厩舎のフルフラットが優勝、後の世界的名馬ミシュリフを破る大金星も挙げた。しかし、帰国後の初戦となったユニコーンSでは、1着カフェファラオから1.7秒も離された6着に惨敗した。
サウジダービーでは「想像以上に強かった」と語った武豊騎手だが、ユニコーンSでは田中勝春騎手に乗り替わり。ユニコーンS当日、武豊騎手自身は函館競馬場で騎乗し、函館スプリントS(G3)をダイアトニックで勝利している。
そんなフルフラットになぞらえるようにユニコーンSに出走するピンクカメハメハも、北村宏司騎手に乗り替わり。サウジダービーで騎乗した戸崎騎手は東京競馬場で騎乗するも、ルーチェドーロの鞍上としてユニコーンSに参戦する。
ルーチェドーロは前走の端午S(OP)を快勝し、新馬戦以来2勝目を挙げた馬。収得賞金2000万円はユニコーンSに特別登録したメンバーの中でも2番目となるが、1位ピンクカメハメハの収得賞金5030万円を大きく下回る。
ピンクカメハメハは“サウジダービー馬”としての意地を見せられるのか……。そのレースの行方に注目したい。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。
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