
「もっと勉強しろや」藤沢和雄調教師が感じ取ったペルーサの教訓!? デビュー前「ダート馬認定」された天皇賞・秋(G1)2着馬のポテンシャル証明へ
20日に東京競馬場で行われるユニコーンS(G3)にラペルーズ(牡3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が出走する。
2走前のヒヤシンスS(L)では、スタートで出遅れるも直線で内ラチ沿いをスルスルと伸び、1馬身半差で快勝。圧巻の末脚には藤沢和調教師から「ベルモントS(G1)くらいに行きたいね」と米国遠征の声が上がるほど。ダート界に新星が誕生したかと思われた。
ところが、前走の青竜S(OP)で、よもやの大敗を喫してしまう。再びスタートで出遅れたラペルーズ。道中は後方で脚を溜めるが、終始手応えは悪く、13頭立ての11着に終わった。ブリンカーを外して臨む今回は試金石の一戦となるだろう。
ラペルーズの父は9歳まで現役を続けたペルーサ。16年に引退後は種牡馬入りしたが、昨年2頭に種付けしたのを最後に種牡馬生活から退いている。4年間で種付けしたのは26頭。そのうち血統登録されたのは18頭だけだ。初年度に生まれたラペルーズは、ペルーサの希少な産駒ということになる。
父ペルーサの現役時代を振り返っておくと、約6年間で走った28戦は全て芝の中長距離だった。
無傷の4連勝で臨んだ2010年日本ダービー(G1)では2番人気に支持されたが、6着に敗退。その後は、天皇賞・秋(G1)で2着するなど、人気・実力ともに世代トップクラスだった。しかし、代名詞となった出遅れ癖をはじめノド鳴りや挫石など数々のアクシデントに見舞われ、結局G1制覇には至らず。種牡馬としての環境も厳しい中、数少ない産駒からいきなりダートのリステッド競走勝ち馬が出たのは、そのポテンシャルの高さがあったからだろう。
「実はペルーサがデビューする前は、陣営はダート馬と見ていたようです。3歳春から5年以上に及ぶ連敗に陥ったときも、ダート挑戦を視野に入れていたようですが、結局条件やタイミングが合わず、ダートで走ることなく引退しました」(競馬誌ライター)
3歳春の青葉賞(G2)を最後に勝利から遠ざかっていたペルーサだが、8歳の夏に札幌日経OP(OP)で復活勝利を挙げたことは語り草になっている。その直後に藤沢和調教師が『スポーツ報知』の取材で、なかなか勝てなかったペルーサの苦労を聞かれ、次のように答えている。
「何て言うか『もっと調教師も勉強しろや』って(ペルーサが)言ってる感じはあったよね(笑)。だから簡単に色々決められない、ということを教えられたよね」
世代屈指の素質を持ちながら、なかなか勝たせることができなかった自身の不甲斐なさを嘆いたのだろうか。ペルーサに対する愛情が伝わってくるコメントである。
そんなペルーサからダート馬のラペルーズが生まれたのは決して偶然ではない。
ラペルーズの母系を見ると、母の父はアメリカダート血統のエンパイアメーカー。その産駒はやはりダート馬が中心だ。さらにラペルーズの母ハットシテグーも現役時代にダートで1勝している。
父ペルーサも血統的にはダート色が強い。その父ゼンノロブロイは、母系がアメリカのダート血統。産駒にはJRA重賞、交流重賞あわせて5勝のグリムやチャンピオンズC(G1)2着のナムラビクターなどがいる。アルゼンチン生まれの母アルゼンチンスターは、1戦1勝で引退したが、勝ち鞍は東京ダート2100mだった。また、ペルーサの全妹ラセレシオンも3勝すべてをダートで挙げている。
果たしてラペルーズは今週末、父が現役時代に証明できなかった砂上でのポテンシャルを再び見せてくれるだろうか。(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 【阪神C(G2)展望】武豊“マジック”でナムラクレア、ママコチャを破った重賞馬が待望の復帰戦! 短距離界の有馬記念に豪華メンバーが集結
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 天才の息子・福永祐一は何故「天才」と呼ばれないのか? 「漁夫の利」に集約されたシュヴァルグランでの「決意」に落胆
関連記事
JRA【ユニコーンS(G3)展望】“タックル被害”ラペルーズ巻き返しへ!? ピンクカメハメハ「国内初ダート」で“ダービー馬”の意地を見せられるか
川田将雅「大物ダノン」にG1馬の相!? 安田隆行調教師「カナロアによく似ている」と絶賛! 豪華デビュー戦で未来の「2歳王者」誕生か
JRA武豊も「確執」経験した因縁の相手が藤田菜七子と急接近!? 熾烈な女性騎手のリーディング争いに頼れる援護射撃
JRA武豊VS川田将雅「元お手馬」対決で分かれた明暗! アドマイヤビルゴ「再登板」待望論も…… 宝塚記念(G1)アリストテレスで存在感をアピールできるか
JRAカレンモエに福永祐一ロードカナロアの「悪夢」再び!? 父は内、娘は外で敗れた函館スプリントS(G3)母カレンチャンの制したレースで明暗を分けたのは?