JRAカレンモエに福永祐一ロードカナロアの「悪夢」再び!? 父は内、娘は外で敗れた函館スプリントS(G3)母カレンチャンの制したレースで明暗を分けたのは?
13日、札幌競馬場で行われた夏のスプリント重賞・函館スプリントS(G3)は、藤岡佑介騎手の5番人気ビアンフェが優勝。重賞3勝目を飾り、サマースプリントシリーズの第1ラウンドを制した。
一方、クビ差の2着に惜敗したのが、鮫島克駿騎手とのコンビで挑んだカレンモエ(牝5、栗東・安田隆行厩舎)だ。
同馬の父はG1・6勝を挙げた世界のロードカナロア、母はスプリントG1・2勝のカレンチャンという血統。両親に名スプリンターを持つ背景もあって、デビューからこれまで連続して1番人気に支持されている人気馬である。
安定感がありながらも京阪杯(G3)、オーシャンS(G3)で連続2着と勝ち切れないレースが続いていたカレンモエ。陣営としても連敗ストップ、初重賞勝利に懸ける思いは並々ならぬものがあっただろう。
しかし、同馬にとっては結果的に、非常にもどかしいレースになってしまった。
16頭立ての芝1200m戦。8枠16番の大外枠を感じさせないようなダッシュ力を見せたカレンモエ。ハナに立つ勢いで好スタートを決めたが、これまで逃げたことがなかっただけに、鮫島駿騎手は一旦、他馬の出方を伺う。
これに迷うことなく競り掛けていったのが、藤岡佑騎手のビアンフェだった。出脚はつかなくとも、作戦はとにかく逃げるだけ。瞬く間にハナを奪うことに成功すると、前半3ハロン32秒8のハイラップを刻んで飛ばしていく。
その後もペースを緩めることなく最終コーナーを回ると、ビアンフェの藤岡佑騎手は後続を待たずにゴーサイン。カレンモエも懸命に差を詰めようとするが、ライバルを捉えるまでには至らなかった。
「勝負の分かれ目となったのは、やはりハナ争いでしょうか。ただ、カレンモエが控えたからこそビアンフェが粘り込めたという見方も可能ですが、引かなければさらにハイペースになって共倒れした可能性も十分に考えられます。
鮫島駿騎手としては予想以上にビアンフェがバテなかったのは誤算だったでしょうし、藤岡佑騎手は何が何でも行く構えでした。負けてもいいからとにかく逃げたい馬と、勝ちを意識して乗った1番人気馬という立場の違いもありました」(競馬記者)
札幌が開幕週の絶好馬場。逃げた馬に有利な条件だったことも、カレンモエには不運だったかもしれない。
また、函館スプリントSはロードカナロアも1番人気で2着に敗れた因縁の舞台でもある。2012年のこのレースで父は1枠1番の最内枠からのスタート。最後の直線で前が塞がり、進路を探している間に、先に抜け出したドリームバレンチノを捕まえ切れず2着に敗れた。
母カレンチャンは11年に優勝したレース。これに対し、最内枠の父ロードカナロア、大外枠の娘カレンモエは真逆の枠ながら、いずれも勝利を手にすることは出来なかった。
敗戦を機に、父は次走で鞍上を福永祐一騎手から岩田康誠騎手にスイッチ。その後、秋のスプリンターズS(G1)で大輪の花を咲かせた。
カレンモエにも父のようなベストパートナーとの出会いがあるのか。
それとも、コンビ続行となるのだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
5:30更新- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 藤田菜七子「日本ダービー騎乗」は幻に!? 武豊シュガークン×エコロヴァルツ「究極の二者択一」ダービー鞍上問題はスピード決着
- 三浦皇成「これはモノが違う」悲願のG1初制覇が目前で霧散…「今後、ダート界を引っ張る馬になってほしい」宿敵レモンポップへ1年越しの挑戦状
- 【NHKマイルC】アスコリピチェーノ主戦を背に追い切りも「鞍上未定」の怪…レース当週C.ルメール復帰予定、何かしらのサプライズも?
- 「シャンパンカラーが勝つよ」昨年のNHKマイルCで9番人気の激走を見抜いた“凄腕”が指定したのは、ジャンタルマンタルでもアスコリピチェーノでもないまさかの激走穴馬
- 「信じた俺がアホ」天皇賞・春(G1)大本命テーオーロイヤル優勝も「自信の1点勝負」は空振り…藤田伸二氏が前夜に感じ取っていたドゥレッツァの危険な前兆
- どれだけハズレても我々は「バッターボックス」に立たせてもらえる! 悔いを残したくないからこその大ダメージ…競馬と後悔の実に深い繋がり【徒然なる神のくず競馬トーク】
- 天皇賞・春(G1)テーオーロイヤルだけじゃない! 皐月賞「大逃げ」メイショウタバル、高松宮記念1番人気ルガルなど「個性派の宝庫」三嶋牧場がスゴイ
- 大躍進の「若手騎手」が日本ダービー初騎乗へ!「因縁」川田将雅ジャンタルマンタルはNHKマイルCへ…武豊シュガークンに迫る末脚で優先権獲得
- 日本ダービー馬は運が良いだけ!? 天皇賞・春(G1)J.モレイラ「完璧騎乗」もタスティエーラ惨敗の絶望感…G1「2勝以上」上積みは2007年ウオッカが最後
関連記事
痛恨のフジテレビ「カレンチャン復活誤報」にファン大興奮!? 「申し訳ない気持ちで一杯です」鮫島騎手以上に「やってしまった人」
JRA「大本命」カレンモエ鮫島克駿に「5年越し」ブレークの兆し!? 函館SS(G3)“2年目の愚行”経て「元有望株」が最多勝も視野
JRAカレンモエ誕生にあった「小さな恋物語」名スプリンターは「片思い」!? 両親に近づくためオーシャンS(G3)勝利が譲れない理由
JRA北村友一「迷いなし」も嬉しい悲鳴!? 高松宮記念(G1)最有力レシステンシアと「コンビ解散」の理由
JRA松山弘平、新パートナーはカレンブーケドールだけで収まらない!? 「全ツッパ」24レース騎乗でわずか2勝も、価値ある勝利で“幻のタキシード”に前進か