シルバーステートらJRA新種牡馬の高い壁。「2021ディープインパクト産駒」の注目20頭と日本ダービー候補を独自の採点でランキング
14位:チェルノボーグ【15点】
血 統【3】母コンテスティッド(母父Ghostzapper)
厩 舎【5】藤原英昭(栗東)
生 産【4】社台ファーム
誕生日【3】5/15
金鯱賞を勝利したギベオンの全弟。ただし社台レースホースのギベオンは募集総額1億円、対して同馬は8000万円と2割ダウン。社台ファームのディープインパクト産駒は、日本ダービーどころか3歳牡馬クラシックの勝ち馬はいない。兄姉の成績や母父Ghostzapperの傾向から2000mまでが適性距離の印象。藤原厩舎は今年シャフリヤールで日本ダービーを勝利し、兄ギベオンも管理している。ただし5月の遅生まれで、馬の成長を優先する藤原調教師の方針から日本ダービーに間に合うか微妙(ギベオンは2月生まれ)。
14位:ショウナンアデイブ【15点】
血 統【3】母シーヴ(母父Mineshaft)
厩 舎【3】高野友和(栗東)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【4】2/1
昨年のセレクトセールで5億1000万円(税込5億6100万円)で落札された馬。全兄サトノスカイターフ(父ディープインパクト)はクラシックに間に合わず、今も1勝馬のまま。母父Mineshaft産駒は日本国内ではダートでしか勝利していない(芝は20戦全敗)。BMSとしてもダートに偏重しており日本の芝でどうか。ノーザンファーム産駒で2月生まれは魅力だが、セレクトセールの高額馬は走らないジンクスも気になる。
14位:ディサイド【15点】
血 統【3】母ラヴェリータ(母父Unbridled’s Song)
厩 舎【3】高野友和(栗東)
生 産【5】ノースヒルズ
誕生日【4】3/5
ノースヒルズのディープインパクト産駒で母父Unbridled’s Songはコントレイルと同じも、芦毛なので母側の血が濃い印象。母ラヴェリータはダートで活躍し、産駒もダートでしか結果を出していない。特に同じディープインパクト産駒の兄姉3頭は未勝利もしくはダートで1勝のみ。
14位:アプリシティー【15点】
血 統【3】母イルーシヴウェーヴ(母父Elusive City)
厩 舎【2】尾関知人(美浦)
生 産【5】ノーザンファーム
誕生日【5】1/9
ノーザンファームの生産馬で、セレクトセールには上場されずシルクレーシングで1億2000万円の募集馬。全兄はアドマイヤビルゴ。尾関厩舎はグローリーヴェイズとレッドファルクスを管理するも、3歳クラシックは牡馬も牝馬も未勝利。母イルーシヴウェーヴにとって同馬は4頭目のディープインパクト産駒だが、これまでの3頭はいずれもクラシックに参戦できず。さらに骨片除去手術があってデビューは秋以降となりそうで、日本ダービーを目指すならギリギリといったところか。
18位:ダノンジャッカル【14点】
血 統【3】母インディアナギャル(母父Intikhab)
厩 舎【3】中内田充正(栗東)
生 産【3】ケイアイファーム
誕生日【5】4/16
唯一ランクインしたケイアイファームのディープインパクト産駒。全兄はダノンプレミアムで4月生まれも同じ。ただし他のディープインパクト産駒の兄は多くても2勝止まりで、どっちのタイプに出るか。母父Intikhabは日本・香港・イギリスなどでG1を6勝したスノーフェアリーを輩出も、インディアナギャル産駒はダノンプレミアム以外が今一つ。中内田厩舎は2歳のG1は勝つも、3歳に入るとG1で結果が出ないのも気がかり。
18位:ダノンフォーナイン【14点】
血 統【3】母タミーザトルピード(母父More Than Ready)
厩 舎【4】音無秀孝(栗東)
生 産【3】千代田牧場
誕生日【4】3/10
セレクトセールで1億8000万円の評価。千代田牧場はホエールキャプチャ、ダノンプラチナがG1を勝利しているが3歳クラシックは活躍馬不在。生産馬の重賞勝利も1600~1800mに集中している。音無厩舎は皐月賞、菊花賞を制しており、日本ダービーで3歳クラシック完全制覇。牝系は産駒が日本で活躍した名種牡馬がこれでもかと配合されているが、2000mですら長くマイル以下がベストの印象。順調なら宝塚記念当日にデビュー予定。
20位:レッドランメルト【13点】
血 統【3】母クイーンズアドヴァイス(母父Orpen)
厩 舎【3】国枝栄(美浦)
生 産【2】社台牧場
誕生日【5】1/29
東京ホースレーシングで6800万円の募集馬。他のクラブの億超え募集馬と比較するとかなりお得。国内で母父Orpenの産駒は少ないが、BMSとしてサトノダイヤモンドがいるなら適性は大丈夫そう。ゲート試験に一度不合格しており、気性的な問題があるかも(その後合格して放牧)。社台牧場から大舞台での活躍馬はいないが、ノーザンで育成するようなのでもしかしたら化けるかも。中小牧場ながら日本ダービーを制したロジャーバローズ(飛野牧場生産・ディープインパクト産駒)のような下剋上を見たい。
以上、来年の日本ダービーを目指すディープインパクト産駒20頭を紹介した。1位はディーンズリスターだが、それ以外の馬も差がなく、最後は仕上がりや順調度、そして日本ダービーまでの成長度が結果に繋がるだろう。
また国枝厩舎と矢作厩舎と高野厩舎の多さに驚かされる。国枝厩舎は4頭、矢作厩舎は3頭、そして高野厩舎も3頭いる。全体では関西馬14頭に対し関東馬は6頭なので、傾向としては関西に期待馬が集中していることもわかる。これは藤沢和雄厩舎が来年2月をもって定年で厩舎が解散となる影響だろうか。
とはいえ、関東を代表する堀厩舎は1頭、木村哲也厩舎はこの中には入っていないのが気になるところ。夏競馬が始まり本格的に2歳戦がスタートするが、ここで紹介した20頭がどんな走りを見せてくれるか今から楽しみだ。(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。
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