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JRA宝塚記念(G1)大本命クロノジェネシスに「0-1-2-10」の不吉データ。数多の名馬が苦戦した「海外遠征明け」香港帰りキセキとの違いは?

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 27日、阪神競馬場で行われる宝塚記念(G1)にクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)とキセキ(牡7歳、栗東・辻野泰之厩舎)が出走する。この2頭は昨年の宝塚記念でワンツーフィニッシュを決めているだけに、今年も昨年の再現を期待されている。

 しかし、その2頭に立ちふさがるのが「海外遠征明け」の壁である。

 著しい発展を遂げた現代の日本競馬において、数多の日本馬が海外レースの出走を敢行してきた。そんな現代競馬だからこそ生まれたのが「海外遠征明けの馬は危険」という格言である。

 海外への長時間の輸送や、不慣れな環境での長期滞在が馬へ多大な負担を与えた結果、調子を崩すという理由から生まれた「海外遠征明けの馬は危険」という格言。馬は人には気付けないような些細なことにストレスを感じる生き物だと言われている。日本競馬で頻繁に見られる関東-関西の輸送でさえ、苦手としている馬が多数存在する馬にとって海外輸送はさらに大きな負担となる。飛行機に乗って何時間もかかるとなると、馬へかかる負担は計り知れない。

 実際のところ、ほとんどの馬が海外遠征明け初戦を白星で飾っていない。近年、海外遠征明け初戦でG1を勝利した馬は13年有馬記念(G1)のオルフェーヴル、14年安田記念(G1)のジャスタウェイ、19年宝塚記念のリスグラシューら僅か数頭に限られる。

 それほど海外遠征明け初戦は取りこぼしが多く、勝ち切ることが難しいのが現状だ。海外レースに挑戦するほどの一流馬でも、過去20年の前走海外だった宝塚記念出走馬の成績は「2-3-2-20」と期待されたほどの結果が出ていない。

 ちなみに2勝は、ともに前走が香港でのクイーンエリザベス2世C(G1)。キセキの前走はこのレースであるため、過去のデータでは“勝利資格”を有している。

 問題はクロノジェネシスである。クロノジェネシスは前走がドバイであった。前走ドバイ組の宝塚記念成績は「0-1-2-10」と未勝利。データにならえばクロノジェネシスが敗れる可能性は極めて高くなる。

 ドバイ組は、香港組より約1か月早くレースがあるため、宝塚記念へ向けた準備期間がある。しかし、日本からドバイは約7,800kmととても離れている。日本から香港までの距離は約2,800kmであるため、往復合わせて約10,000kmの差が宝塚記念の成績に大きく作用していると考えられる。

 このように、ドバイ遠征による競走馬の負担は大きく、その後しばらく調子を崩す馬は少なくない。

 特にその傾向は牝馬に見られる。年度代表馬に2度輝いたジェンティルドンナは14年にドバイシーマクラシック(G1)を快勝したが、次走の宝塚記念で9着に惨敗。大崩れなく堅実に走るイメージが強い馬だが、生涯1番の大敗がドバイ帰りの宝塚記念であった。

 また、日本競馬史上最強牝馬と名高いアーモンドアイも19年ドバイターフ(G1)を勝利したが、日本帰国後初戦の安田記念で3着。スタート後に不利があったとはいえ得意の東京競馬場で敗れたのは事実である。

 過去の歴史で得た知恵や知識を現在や未来に活かすことができるのは競馬も同じだが、それに従うと牝馬のクロノジェネシスはドバイ遠征による疲れが残っていることを考慮する必要がありそうだ。

 果たして、クロノジェネシスは過去の名馬が辛酸を舐めてきた「ドバイ帰り」を克服できるか注目だ。克服すれば、アーモンドアイと並ぶ歴代最強牝馬の称号が見えてくる。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

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