
“南関総大将”カジノフォンテン帝王賞(G1)は「大ピンチ」!? JRA勢に2連勝中人馬に襲い掛かる「大井の壁」とは

30日(水)、大井競馬場では上半期のダート頂上決戦、帝王賞(G1)が行われる。2011年からJRA勢が10連勝中だが、今年は南関東の“総大将”カジノフォンテン(牡5歳、船橋・山下貴之厩舎)に注目が集まっている。
カジノフォンテンがその名を知らしめたのは昨年末の東京大賞典。G1初挑戦とあって、単勝オッズ38.3倍で9番人気という伏兵の1頭だった。好スタートを決め道中2番手を進むと、直線に入ってもその脚色は衰えずいったんは先頭に躍り出る。最後はデッドヒートとなったオメガパフュームにゴール直前で交わされたが、見せ場たっぷりの2着に入った。
その後は1月の川崎記念(G1)に出走。今度は果敢にハナを奪ってマイペースの逃げを打った。1番人気オメガパフュームも早めに仕掛けるが、最後はカジノフォンテンが後続を突き放し、3馬身差の圧勝劇を演じた。
その後は前哨戦を勝って臨んだかしわ記念(G1)でもJRA勢を撃破。目下の充実ぶりから、帝王賞ではオメガパフューム、チュウワウィザード、カジノフォンテンの3強という下馬評になりそうだ。
そんなカジノフォンテンに立ちはだかるのは、やはりオメガパフュームだろう。こちらはご存じの通り、G1・4勝全てを大井競馬場で挙げるなど、その成績は「4-3-0-0」。5か月ぶりの実戦となるが、まず大崩れすることは考え難い。
一方、充実一途のカジノフォンテンだが、実は大井では通算「1-1-1-5」と成績はパッとしない。半年前の東京大賞典では2着に入ったが、マークが厳しくなる今回は試金石となるだろう。
「カジノフォンテンは3歳秋に張田昂騎手とコンビを組み本格化しました。このコンビでは『10-1-0-2』という素晴らしい成績を残しています。大井競馬場で凡走していたのは、ほとんどが2歳から3歳夏の本格化前なので、あまり気にする必要はないかもしれません。ただし、鞍上の張田騎手が今年、大井では成績を残せていないのが気になりますね」(競馬誌ライター)
張田騎手の今年の南関4場の成績を比較するとその違いは明らかだ。
【張田昂騎手、2021年競馬場別成績、6月28日現在】
船橋 168戦「27-24-17-100」(勝率16.1%)
川崎 80戦「11-7-9-53」(勝率13.8%)
浦和 93戦「9-8-15-61」(勝率9.7%)
大井 230戦「9-16-20-185」(勝率3.9%)
地元・船橋では16.1%という高い勝率を誇り、川崎と浦和も水準レベル。しかし、最も騎乗数が多い大井では3.9%と、4場のなかで飛び抜けて悪い数字が残っている。
カジノフォンテン以上に大井競馬場の壁を乗り越える必要があるのは張田騎手の方かもしれない。
もし人馬ともに“苦手”を克服し、みたびJRA勢を撃破すれば、“砂の現役最強馬”の地位が見えてくる。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
PICK UP
Ranking
5:30更新武豊、実は崖っぷち!?「騎乗依頼に感謝です」大阪杯(G1)大量乗り替わりの悲喜こもごも
【大阪杯(G1)予想】スターズオンアース、ジャックドールは切り!データの偏りで狙える穴馬で勝負
【ダービー卿CT(G3)予想】ジャスティンカフェは迷いなく切り!実績の割にハンデが恵まれた穴馬を狙う
- 天皇賞・春(G1)アスクビクターモア陣営の「非情采配」にファン激震! 2年続いた菊花賞馬の乗り替わり
- 今村聖奈「G1好走」も期待された逸材が無念の戦線離脱…ケンタッキーダービー挑戦の夢破れる
- 川田将雅も「競馬への取り組み、姿勢がいい」と活躍に太鼓判! 今村聖奈の同期が重賞初制覇で評価急上昇の舞台裏
- 藤田菜七子「成績不振」の原因とは!? 大阪杯「23連敗」の鬼門…武豊「ドバイWCより厚い壁」で意地の日本馬最先着!【週末GJ人気記事ぶった斬り!】
- 女性ジョッキーの先駆者・藤田菜七子「成績不振」の裏には取り巻く環境が変わった事も原因か
- 大阪杯「23連敗」の鬼門を超えられるか…スターズオンアース、ヒシイグアスを阻む壁
- ジャックドール“逃げ宣言”で他馬を威嚇?大阪杯(G1)武豊「メンバーを見渡せばそういう競馬に」
関連記事
クロノジェネシス完璧エスコートも「苦手」条件が牙をむく!? 帝王賞(G1)「代打」ルメールがクリンチャーに歓迎されない理由
【帝王賞(G1)展望】「大井の鬼」オメガパフューム中心も混戦模様!「砂のサイレンススズカ」の代表産駒が地方初見参、上半期のダート王決定戦に豪華メンバーが集結!
JRA 川田将雅に「騎乗馬選択」の自由なし!? 帝王賞(G1)クリンチャーとの無敗コンビ解消の裏に、浮かび上がるのは主戦騎手の呪縛か
クロノジェネシス完璧エスコートも「苦手」条件が牙をむく!? 帝王賞(G1)「代打」ルメールがクリンチャーに歓迎されない理由
外国馬が来ないジャパンCは「廃止」した方が早い? 国際競走新設へ臼田理事「8月に間に合うよう」JRAの懸命な努力もファンの共感を得られない理由