JRA武豊&シャフリヤールの甥がまくり一閃デビュー戦V! ノーステッキ完勝に「いい誤算でした」2年目種牡馬モーリス最高傑作の期待
4日、函館競馬場で行われた5R・2歳新馬戦は、2番人気のアルナシーム(牡2歳、栗東・橋口慎介厩舎)が勝利。今年のダービー馬シャフリヤールの甥が、デビュー戦を白星で飾った。
溢れんばかりの大物感は、来年のクラシックを強く意識させた。14頭立て、芝1800mで行われたレース。「思いの他のんびりしていましたね。攻め馬では、あれだけグイグイいったのに」という武豊騎手の言葉通り、アルナシームのスタートは一息。武豊騎手も無理せずに後方からの競馬を選択した。
ただ、武豊騎手に「いい誤算でした」と言わしめたのはここからだ。向正面で外に持ち出されると、1000m通過が61.5秒という新馬戦らしいスローペースを嫌って、グイグイ前へ進出。3、4コーナーでまくりをかけると、最後の直線入り口では先頭集団に並びかけた。
「ゴーサインを出したら、凄くスムーズでした」
レジェンドジョッキーの言葉通り、ここからはアルナシームの独壇場だった。あっという間に先頭集団を飲み込むと、最後は2着馬に2馬身差をつけての勝利。結局、武豊騎手は一度もムチを使用しておらず、着差以上の楽勝だった。
「高い素質を感じさせる競馬でした。直前の追い切りでは好時計をマークしていましたし、跨った武豊騎手も『初戦からやれそう』と話していたんですが、スタートはおっとり。レースでは、かなり前に行きたがっていましたし、まだ集中力に欠けるというか、遊びながら走っている風にも見えました。
ただ、その一方で武豊騎手がゴーサインを送ってからは、馬が変わったかのような真面目な走り。武豊騎手も『凄くスムーズでした』と褒めていましたが、勝負どころからの動きは圧巻でしたね。
今回は初めてのレースでしたし、次はスタートや道中の走りにも上積みが見込めそうです。父は昨年、初年度産駒がデビューしたモーリスですが、最高傑作になってもおかしくない器。十分にクラシックを意識できる馬だと思います」(競馬記者)
記者がそう話す通り、叔父にダービー馬のシャフリヤールや、皐月賞馬のアルアインがいる血統背景は大物と呼ぶに相応しいもの。今後、順調に行けば来年のクラシック戦線に名を連ねていても何ら不思議ではない。
「課題は馬体重ですね。418kgは出走メンバー14頭の中で最も軽量。今回は外を回る競馬で事なきを得ていましたが、今後馬群に揉まれた際に思わぬ脆さが顔を覗かせるかもしれません。管理する橋口調教師はデビュー前から『素質はかなり感じる』と力が入っている様子でしたよ。武豊騎手も簡単にこの馬を手放さないでしょうし、これからどう教育していくのか楽しみです」(同)
「素質はありますね」
レース後、そうアルナシームに期待を寄せた武豊騎手。ワールドプレミアとの菊花賞以来、JRAのG1制覇から遠ざかっているだけに、この“小さな大物”が逆襲のカギを握っているかもしれない。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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