JRA「合計68.4馬身差」超ハイペースでライバル置き去りデビュー! 高橋康之調教師「調教から底知れない走りをしていた」ダイワメジャー産駒「最後の大物」出現か
25日、函館競馬場で行われた5Rメイクデビュー函館(芝1800m)は、5番人気のトップキャスト(牝2歳、栗東・高橋康之厩舎)が勝利。勝ち時計の1:48.5は函館の2歳レコードに0.2秒差という好時計だった。
殺人的なペースで逃げた……いや、押し切ったと述べた方が的確だろうか。実際にトップキャストが60.2秒で通過した1000mまでは、残り7頭のライバルたちも必死に食らいついていた。
しかし、そこから11.8 – 11.8 – 11.7とさらにペースを上げられたのでは、後続が次々と千切れていくのも無理はない。1頭だけ馬なりで、しかも2番手以下に4馬身以上の差をつけて4コーナーを回った時、すでにレースの勝敗は決していた。あとはトップキャストの独走劇が待っているだけだった。
「正直、2歳の新馬戦としては残酷ささえ感じるレースでしたね。高橋康調教師が『調教から底知れない走りをしていた』と話していましたが、それくらい今日のトップキャストは強かったと思います。
昨日、函館・芝1800mで行われた2歳未勝利の勝ち時計が1:50.3。ですから1:49.1で走り切って3馬身半差の2着だったシンティレーションも、この先十分に期待できる馬です。実際3着だったコスモルーテウスには大差をつけているわけですから。
ちなみにトップキャストの勝ち時計1:48.5は歴代2位の好時計。レコードホルダーのウィクトーリアがフローラS(G2)を勝ってオークス(G1)でも4着したように、この馬も今後が楽しみな逸材ですね。師が『ゲートが速いし、性格もいい』と絶賛していましたが、新馬戦でこれだけ全体が千切れるレースも珍しいです」(競馬記者)
このレースは勝ったトップキャストから最下位のビップソリオまで、11.4秒の差がついた。ちょうど1秒差で走り切った3着コスモルーテウスと、4着アリシアンとの差が6馬身だったことから、約68.4馬身の差がついたことになる。
仮に集団にまったくついていけず、終始最後方のままゴールしたビップソリオを除外しても7着ソアリングまでは5秒、つまりは約30馬身の着差がついていたことになる。いくら能力に差がつきやすい新馬戦でも、なかなかお目にかかれない着差だ。
なお、気になる次走について高橋康調教師は「オーナーと相談してからですが、札幌2歳S(G3)は視野に入ってくる」と話す。函館・芝1800mデビュー勝ちから、札幌2歳Sという流れは、昨年の2歳女王ソダシと同じだ。
また父ダイワメジャーは、一昨年に同世代のキングカメハメハが他界し、今年になってハーツクライが種牡馬引退を表明。すでに名種牡馬の地位を確立している存在だが、今年で20歳だけにトップキャストが最後の大物になる可能性もある。
「今日の内容は強かったです」
そう語る団野大成騎手は今伸び盛りの若手騎手の1人だが、G1は未勝利。暮れの大一番に向け、相棒の手綱はしっかりと握っておきたい。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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