
JRA「爆跳ね」条件がライバルとの熾烈なデッドヒートを後押し! デビュー4カ月の難産、関東期待のニューホープがついに「未勝利」コンプレックス払拭

馬だけでなく、ジョッキー界でも西高東低の状況が長らく続いていた競馬界。リーディング上位に軒並み関西所属の騎手が名を連ねているが、若手騎手については関東勢の健闘も目立つようになった。
今年の皐月賞(G1)をエフフォーリアで制した横山武史、トーセンスーリヤで函館記念(G3)を勝利した横山和生の兄弟騎手。外枠が圧倒的有利とされる新潟千直先週のアイビスSD(G3)で14番人気の超大穴バカラクイーンと、意表を突く“イン逃げ” が話題になった菅原明良騎手も関東所属である。
今年デビューした8人の新人騎手のうち、関東所属は2人。藤田菜七子騎手以来、5年ぶりの新人女性ジョッキーとして古川奈穂騎手、永島まなみ騎手も注目を集めているが、現在新人騎手の最多勝争いを繰り広げているのは、関東の永野猛蔵騎手と関西の小沢大仁騎手の2人だ。
18日に2勝を挙げた永野騎手が1勝リードしていたが、小沢騎手が24日に1勝。先週の開催を終えて勝利数はいずれも16勝と並んでいる。デビューから毎月、同じペースで勝ち数を増やしており、新人賞争いは早くもこの2人の一騎打ちとなりそうな雰囲気も出てきた。
一見、不利な環境に思える関東所属ながら関西の小沢騎手と互角以上の成績を残している永野騎手の活躍は、師匠である伊藤圭三調教師の存在が大きい。所属厩舎の管理馬を任せてくれる事で結果を出すとともに、他厩舎の依頼も増えている。
乗れる騎手と認知されてから依頼が急増するのも関東のカラー。減量の利く平場では、特に人気があるという。
その一方で、これだけ乗れると評判の若手ながらも、今後の課題とされていたのが1着どころか連対すらしていなかった芝のレースだった。
「芝で結果を出せてないのは気にしています。最初の頃は左回りも苦手意識があったのですが、新潟や東京で乗るうちに慣れてきました。なので、次は芝でも勝てるように努力したいです」と、本人も自覚していたのだが、18日の福島7Rで待望の初勝利を達成。デビュー4カ月にしてようやく「芝未勝利」のコンプレックスから解放された。
そんな永野騎手が最も得意としているのは最終12R。先週の開催終了時の成績は【16.10.16.225/267】で勝率6.0%、連対率9.7%、複勝率15.7%だが、最終レースに限定すると激変を見せる。
なんと【5.2.4.22/33】で勝率15.2% 、連対率21.2%、複勝率33.3%と、「爆跳ね」するのである。
ドル箱ともいえる得意条件を持っているということは、新人最多勝を争うライバル小沢騎手とのリーディング争いに大きな武器になる。
馬券的な妙味を考えても「最終の猛蔵」は、覚えておいて損はないだろう。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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